米国発前川のニュースレター
いつも私のニュースレターを読んで頂き有難うございます。
2週間の御無沙汰です。急用で日本に戻っておりましたので、
今回が8月最後のニュースレターとなります。
また、再度日本に一時帰国いたしますので、次回のニュースレターは
9月16日にお送りすることになります。 この写真は実家の近くでたまたま出会った光景です。日本は真夏真っ盛りで、日差しが強く蝉も日陰に入りたがっていたようです。
8月26日のニュースレターをお送りします。
【株式・為替市場の動き】
ダウ工業株は先週から続伸して65.44ドル高の41,240.52ドルと過去最高値を更新しました。パウエル議長がジャクソンホール会議で “The time has come for policy to adjust.”と述べ、9月18日のFOMCでの利下げが確実に行われると事を示唆しました。ただし、どれぐらい利下げするか、その後はどれぐらいのペースで下げて行くかは経済データ次第だとも言っています。投資家は織り込み済みとはいえ、議長のこの発言を聞いて安堵し、株価は上昇、米国債の利回りも下落、円高が進みました。一時143円台に入りましたが、現在144.50円となっています。
7月の米耐久財受注が前月比が予想に反して9.9%増加したことが影響した様で、米国債の利回りが若干上昇しましたが、このデータは恐らく低調だったボーイングの受注が急増したことによる一時的なことが原因と考えられます。輸送機器を除く新規受注は0.2%の減となっており、コア資本財の出荷は0.4%減
でこの数字はGDPに反映されますので、インフレ、景気減速と整合性が有ります。
S&P500はほぼ横ばい、ナスダックは28日のエヌビディアの決算発表前の売りが影響して148.52ドル安で引けました。
【不動産・住宅ローン金利動向】
不動産価格は全米平均すると未だ若干の上昇ですが、地域によって横ばい、下落、上昇とまだら模様の状況です。レントは以下の5都市で下落が最も大きくなっています。この下落はCPIやPCEに影響しますので、このデータもまた、インフレが低下している証拠となります。
Austin, TX -16.9%
Jacksonville, FL -14.3%
San Diego, CA -12.7%
San Francisco, CA -7.6%
Tampa, FL -5.9%
ローン金利は8月5日のレベルとほぼ同様、若干下落しています。
住宅ローン金利は長期金利なので、(ただし、変動金利は短期金利です)米国10年国債の利回りに連動していますから、9月18日のFRBの利下げが直接影響しませんが、変動金利には直接影響してきます。 FRBの利下げを待たずに長期金利はじりじりと下落しており、その影響で住宅ローン申請件数が増えてきています。
物件購入のみならず、リファイナンスも増えていますが、2時抵当ローンであるホームイクイティーローンの申請件数が大きく伸びてきています。
手元に未だ統計が届いていないので具体的な数字はありませんが、 物件購入は投資物件、アパート購入用のローンも増えています。
ホームイクイティーローンが増えているのは、クレジットカートなどの高い金利の負債を支払う為です。中低所得層では、クレジットカードの未払い、延滞が増えており、家計を圧迫しています。何せクレジットカートの金利は高いものでは24%ぐらいになっているからです。この負債をホームイクイティーローンで支払い、毎月の支出を抑えるのです。時には、車のローン、学生ローンなども一緒に、このローンに組み込んでしまう事もあります。
ホームイクイティーローンも10%前後の金利で決して低くはありませんが、クレジットカードと比べると断然低くなります。
このローンが急激に増えているのは景気後退、依然として高止まりしている物価が原因です。米国景気は好調で、雇用も堅調と今まで言われて来ていますが、 実際はそうではないことのひとつの証明でもあります。 物価高、景気後退に無関係な高所得層や投資家は物件の購入が出来ますが、中低所得層は物件の購入よりも生活費の捻出が一番の問題となっています。この様な状況はこれから当分は続いてゆくと思われます。その結果、景気後退による購買力の低下、会社業績の悪化により失業率の上昇へと向かう懸念が大きくなって来ています。一時的にホームイクイティーローンで負債を賄ったとしても、物価の下落や収入の増加が無ければいずれ行き詰まってしまう人たちが出てくるでしょう。そうなれば、FRBは急いで利下げを続けて行くでしょう。 結果、ドル安、円高は暫くは続くと考えられます。
【経済の動き】
上記でドル安、円高がしばらくは続くと予想しましたが、もう少し詳しくそのあたりの話をいたします。失業率の上昇で景気後退懸念が出てきたのことがFRBのポリシー・チェンジに繋がったのですが、インフレも収まってきていることを示すデーターも出ています。その為、FRBが利下げを今後続けてゆくと思われます。FRBが利下げすると、ドルが弱くなります。ドル安=円高です。以前にも言いました様に、今後の予想では、FRBは今年3回の利下げ、来年9回の利下げですから、FRBが利下げを続ける間、多少の上下はあるでしょうが、円高へと振れて行くでしょう。このドル安、円高は日米の株価にも影響を及ぼします。日本では、世界でビジネスをしている大企業、輸出企業は円高になると為替差益が減ってしまい、或いは、為替差損が出てしまいます。日経平均を引っ張る大企業の業績後退は株安に繋がります。輸入企業や国内中小企業は逆に業績が上がりますので、株価も上昇するでしょう。 資源、食品など、輸入の多い日本では、輸入価格の下落から物価の安定にはつながるでしょう。消費が増えればいいのですが。
米国株はドル安になると上昇する可能性が出てきます。世界企業は外貨をドルに換える時に為替差益が出ますので、大きく利益を増やすことになります。 輸入主体の仕入れをしている企業は逆にコスト増になります。そうであれば、これからのドル安はインフレを高進させてしまうかもしれません。ドル安誘導はトランプの意図するところでもあります。ドル安になれば、割高な輸入を減らして、国内調達を増やし、国内の企業業績を上げ、景気を刺激することになる。 一時的には、景気後退を後押ししてしまう事にもなりかねません。しかし、長い目で見れば持続的な経済対策となると考えているのでしょう。直近では、米国株、景気は先行き危ういと思います。その場合、投資家は資金を米国債、金などのCommodity、ビットコインなどに移す可能性が高くなりますので、株安、債券高、Commodity高へと動いてゆくことになるでしょう。不景気が来ると、収入が減り、家の購買意欲が下がりますので、物件価格の下落が起こり、米国債への資金の流入により長期金利が下がり、ローン金利が下がる可能性が高くなります。物件価格下落、ローン金利下落の絶好の物件購入チャンスが来る可能性が大きくなってきます。さらに、円高となれば、日本からの投資の絶好のチャンスですね。 このシナリオはかなりの確率で起こると私は信じています。
【今週の???な国際ニュース】
カマラ・ハリスがトランプを支持率で上回っていると日本のマスコミは報道しています。トランプの悪口とカマラ・ハリスがとてもいい大統領候補だとのマスコミの報道が流れ続けています。その為、カマラ・ハリスに大統領のなって欲しいと考える日本人は75%、トランプ支持は15%とういう統計を見ました。この報道を見て、びっくりしました。米国では、彼女は、極左、共産主義、何を言っているのかわからない受け答え、何もしない無能な副大統領というとらえ方です。大統領候補になって以来、マスコミのインタビューには答えず、ただ原稿を読むだけ。彼女の経済政策は例えば次のようのものです。子供税額控除の拡大、食料品価格の上限設定、新規住宅所得者への頭金補助、建設会社優遇措置、医療給付の拡大、大学の学費無償化などなど。まるで共産主義の経済政策で、これらの費用は国民の税金?で賄うか、国債発行で賄うしかない訳で、インフレを高進させることになってしまします。今までも民主党はバラマキなど財政出動のやり過ぎで、インフレを招きました。いくらFRBが金利を上げて、インフレを止めようとしても、財政支出の拡大(戦争支援、環境問題関連支出、移民への補助金、学生ローンの免除、コロナ対策関連支出など)をすれば、アクセルを踏みながら、ブレーキを掛けるようなもので、なかなかインフレが止まらなかったのは、この為です。
また、不法移民全員に市民権をあたえるとも言い始めており、現在の米国の問題、大統領選挙、議員選挙の争点であるインフレ問題、国境問題を二つとも悪化させることになる政策を発表しているのですが、本人は私が大統領になったその日からインフレ対策をすると言っています。
何を言っているのでしょうか? 今副大統領なんだから、直ぐ、インフレ対策をしたら? これらの政策はインフレを悪化させるだけですよ?といいたくなるのは私だけではないと思います。
トランプの一番の政策である、原油の採掘量を上げて、石油価格を下げてインフレを解消すると言っていますが、実にシンプルで具体的な方法だと思うのですがいかがでしょうか? 中立な世論調査会社のデータではトランプ支持が上回ており、激戦7州(スイングステイト)ではトランプが6州でリードしているという結果が出ています。 前々回の大統領選挙でもヒラリー・クリントン楽勝と世論調査では言われていましたが、それは民主党側の息のかかったものでした。
【豆知識】
全米で所得税の無い州は?
Washington 州
Nevada州
Texas州
Florida州
Alaska州
South Dakota州
Wyoming州
ネバダ、テキサス、フロリダへの国内移住が多い理由の一つが州税がない事なんですね。
【本日の住宅ローン金利】