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米国発前川のニュースレター

いつも私のニュースレターを読んで頂き有難うございます。
大変申し訳ありませんが、再度2週間ほど私用で日本に一時帰国しますので、ニュースレターを2週間お休みさせて頂きます。次回のニュースレターは10月14日になります。日本はまだまだ30度越えの日が続いている様ですが、カリフォルニアではもう秋が始まっています。
私のオフィスがある建物の駐車場に植わっている木では既に紅葉が始まっています。常夏の象徴の様なパームツリーと色づき始めた広葉樹は何とも南カリフォルニアならではのコントラストです。

9月23日のニュースレターをお送りします。

【株式・為替市場の動き】
株式市場では、ダウ工業株、S&P500, ナスダックとも上昇しています。
市場の見方は、FRBによる政策金利(短期金利誘導目標)の50BSP利下げにより、米国経済がソフトランディングできるとの見方から相場が上昇しています。複数の連銀の総裁や理事が相次いて11月、12月の追加利下げに前向きな発言をしていることもソフトランディングがより確実になると市場が見ているのでしょう。ダウもS&P500も最高値を更新しており、過熱気味の相場になっています。
一方米国債券市場は値下がりし、10年国債の利回りが3.6%台から3.7%だいへの上昇したこと、日銀の政策金利決定会合で利上げを見送ったこともその理由となっているのでしょうが、為替はFRBが利下げ発表の直前の141円台からげらくして、現在は143円半ばで推移しています。
9月27日のPCE(個人消費支出)、10月4日の雇用統計の発表で大きく動く可能性が有ります。特に雇用統計で失業率の上昇が発表されれば、大きく円高に振れるでしょう。しかし、長い目で見た円高トレンドの始まりとは言えないでしょう。円が上昇している時は絶好のドル買い、為替予約のチャンスぐらいに考えておいた方が良いと思います。
 
【不動産・住宅ローン金利動向】
 住宅ローン金利は小さな上昇、下落はありましたが、この所の米国10年国債の利回りが上昇したにも拘わらず、あまり変わっていません。
ただし、外国人投資家さん用のプログラムの金利は再度下がりました。

国債利回り上昇の一つの理由はFRBが考える中立金利(景気抑制でも刺激でもない程度の金利)の見通しを引き上げたからです。 要するに市場やFRBは未だ大きくはないけれど、インフレが続いてゆくだろうとの認識を持っているからです。政府の大きすぎる財政支出。国債発行も影響しているでしょう。また、別の要因もありそうです。債券市場はFRBの利下げが決定される前から利回りが下落を続けていました。その要因としては、市場が労働市場の悪化を織り込み始めていたからでしょう。 この所のインフレ率の報告、労働市場、小売売上高、活況指数などどんどんと景気が悪化している様には見えない底固い経済データが発表されているので、10年国債利回りが3.6%台から3.7%台へとじりじり上がっています。しかし、別のデータを見ると、失業率は確実に上昇しているように見えるものもありますので、次回10月4日に発表される雇用統計が悪化しているデータが発表されると、為替市場同様に、10年国債の利回りも下落して、長期金利が下がり、住宅ローン金利も下がるでしょう。ローン金利が下がると、物件の購入意欲が高まって、物件価格も高止まりするとの意見が多い中、私は、その様には考えていません。 国債が買われると金利が下がります。先にも言いましたが、労働市場が悪化、景気後退を織り込み始めている市場で、失業率の更なる悪化が発表されると、  株価が下落し、株から国債へ資金の流れが移ります。そうなれば長期金利が下がり、ローン金利も下がるのですが、これは不景気だから起こる現象です。不景気なら、失業の恐怖や実際に正規社員からパートタイムへのシフトなど収入の減少なども起こりますので、住宅購入意欲が減退してゆきます。 であるならば、住宅価格は下落してゆくと考えられます。また、新規住宅着工件数も上昇とのニュースは逆に不良在庫増加とも考えられ、新築物件の在庫一掃セールの可能性も出てきます。似たような状況はリーマンショックのバブル崩壊時にも起こりました。このような時期に物件を安く買い叩いた投資家が儲かったのを覚えておられる方も多いのではないでしょうか? 景気後退は嬉しくありませんが、良い物件が安く買えるチャンスでもあるわけで、考えようによっては面白状況に入って行くのではないかと考えています。
 
1つ全米の不動産市場がいかにバラエティーに富んでいるかを示すデータがあります。物件が市場に売りに出されて売れるまでの期間のランキングがあります。最も早く売れている都市のランキングとその日数が以下です。
1. Grand Rapids, MI   6 days,
2. Wichita, KS  8 days
3. Albany, NY & Seattle, WA  9 days,
4. Omaha, NE  10days
5. Spokane, WA  11days.
 
他方、最も売り出しから購入に時間が掛かっている都市のランキングが以下です。
1. Miami, FL  84days  
2. New Orleans, LA  82days 
3. Honolulu, HI  78days 
4. Daytona Beach, FL  73days
5.Palm Bay, FL  67Days.  
参考までにFlorida州平均では売り出された価格より5.2%低い契約価格となっています。また、Durham, NC は2023年に売れるまでに37日かかっていたのが今年は12日、Raleigh, NCは36日から16日になっています。いまNorth Carolinaがホットです。 逆に、Cincinnati, Ogden, UT, Sarasota, FL, Des Moines, IO などの都市の物件の売れ行きが悪くなって来ています。
 
【経済の動き】
大統領選挙まで42日となりました。国民の関心事は経済、不法移民流入(国境問題)、イスラエル・ウクライナ戦争でしょう。 特に経済政策はいつも国民の最重要関心事です。トランプとカマラ・ハリスの経済政策の違いは明らかで、一言でいえば、トランプは米国経済を内側から強くしてゆく政策を中心に米国民第一主義。 カマラ・ハリスは社会主義・共産主義的な大きな政府政策(黙って政府に従えばお金をあげるよ)となっています。米国における中立的な調査会社のデータや実際の国民の気持ちはトランプ支持が圧倒的ですね。このまま何もなければトランプ当選になるのは確実だと思われます。それではトランプが大統領になった場合経済に何が起こるのか、我々の関心事である為替を中心に考えてみたいと思います。まず、トランプが大統領に就任すれば、インフレは沈静化すると思います。米国内で採掘される原油、天然ガスの量が一気に増えて、ガソリン価格が下がり、輸送コストも下がるでしょう。また、パリ協定離脱によって不要な環境関連費用の削減、高コストの発電のから、コストの低い火力発電へのシフトも始まるでしょう。さらにウクライナ、イスラエルへの異常な支援金支出もなくなるでしょうから、財政支出も大きく減少するでしょう。
輸入関税の導入、特に中国への60%関税の導入などでインフレが高進すると見る向きもありますが、今の景気後退局面では高い商品は売れないので、輸入業者は購入を控え、中国は関税のかからない方法を考えるでしょう。(これはまた別の機会にお話しします。) 
さて、トランプは国内産業を強くしたいと考えているので、今のドル高を是正しようとしています。これは日本と真逆の様に思えますね。日本は円安で輸入品の価格高騰で困っているので、円高に誘導するために金利を上げると言っていますが、実際は輸出業者やグローバル企業の決算収益が上昇し、円安になると株高になっていますね。 米国でも同じことで、ドルが安くなると世界各国でビジネスをしている企業の名目収入はドル安になるだけでかなり上昇します。 輸出企業にとってもドル安は助かります。 しかし、金融業界にとっては、大きなドル安はあまり歓迎されません。世界中から米国にお金が集まってくるのを止めてしまうからです。ですから、トランプさんが幾らドル安を望んで、FRBが金利を下げても、大きなドル安にはならないでしょう。米国が金利を下げると、ドルが安くなるとも限りません。   FRBの政策金利と共に、米国債の利回りが下がって行くと、逆に債券価格が上昇して、債券市場にお金が集まります。そうなると、またお金が世界から米国に流入し、株価も上昇しやすくなりますから、大きくドル安に動きにくくなります。今までアベノミクスで金利を下げ続け、国債の利回りが過去最低水準となっていました。その時は円高でしたね。それと同じことが米国でも起こるでしょう。そう考えると、今後日銀が利上げを徐々に続けてゆくと円安に動いてゆくでしょう。債券利回りが上昇=債券価格の下落となり、円が売られるからです。 しかし、円安はグローバル企業、輸出企業の決算を後押しして、景気を浮揚させますから、日本の株価が上昇するとこに繋がります。 だから、これから日本の平均株価が5万円、6万円になると予想するエコノミストがいるんですね。
この動きはマクロの長期の見方で、米国経済を見ると、直近では景気後退が起こり、トランプ大統領誕生でも当初の2年間ぐらいはインフレは下がるでしょうが、急激に景気回復は難しいでしょう。一旦後退した景気がインフレ低下、ある程度のドル安でGlobal企業の収入の上昇、中国、メキシコからの工場シフト、 下落し、買いやすっくなった不動産市場の回復などを経て、景気上昇局面に入って行くと予想しています。その不動産価格の下落が来れば買い時です。金利も不動産価格も下がる比較的大きな景気後退時にしか起こらない、るめったにない状況になるからです。
 
【今週の???な国際ニュース】
先週、バイデン政権はウクライナに提供したミサイルをロシア本土攻撃用に直接使用することを許可したとのニュースが届きました。と言いましたが、
これはガセネタでした。すみません。未だ許可していないようです。しかし、英国やブリンケン国務長官らは直接攻撃を指示しています。

 
 
さて、今話題になっているのが中国経済の崩壊の話です。不動産市場は完全崩壊。国民の3倍の人数を住まわすことが出来るほどのマンションを建てて、入居する人は誰ばおらず、家賃収入が入ってこない状況でローンだけを払い続けている人たちが沢山おり、お金持ちだけでなくなけなしの金をかき集めてマンション購入した庶民も困っています。それでもマンションが完成していれば未だ使い様もあるでしょうが、未完成のまま放置された物件も多数あり、デベロッパーは夜逃げ、倒産、ローンを貸し出している銀行はローン回収不能、担保価値の崩壊と踏んだり蹴ったりですね。 日本のバブル崩壊とは比べ物にならない酷い状況です。さらに、米国からの制裁が発動されていますから、可哀そうですらあります。しかし、彼らはしぶといので、安くものを世界に売り続けようとあの手この手で頑張ります。でも限界がありますね。習近平は有効な手を打ちません。無能だからではなく、敢えてそうしていると思われる節があります。それは西側諸国のルールに従う資本主義経済からの離脱ではないか? 国民が困っているのを見ながら、自分の信じる共産主義への回帰です。もしそうなら、中国共産党は人民を救済しないでしょう。今でも若者の失業率が政府発表で18.8%、実際はその倍はあると言われています。初任給も半分以下の水準に落ち込んでいます。 この状況では、国内暴動、治安の悪化、中国から脱出する人が増加し、中国との深いつながりを持った国が困ったことになるでしょう。          それは、日本、ドイツ、フランス、それと米国もそうですね。中国からの大量難民の流入が起こるかもしれません。米国は止めるでしょうが、日本政府は止められないでしょうね。
この時限爆弾が何時爆発するか?何が起こるかわからない。世界が戦々恐々としています。

【豆知識】
卒業生の収入が高い米国の大学ランキング
1.マサチューセッツ工科
2.スタンフォード大学
3.プリンストン大学
4.ジョージア工科大学
5.ペンシルベニア大学
6.カリフォルニア工科大学
7.ハーベイ・マッド大学
8.バブソン大学
9.ミズーリ工科大学
10.カーネギーメロン大学

【住宅ローン金利表】

9月23日の金利


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