リーマン最後の日
▶2025年１月17日、サラリーマン最後の出社日を迎えた。思えば阪神・淡路大震災から30年目。詳細は伏せるが、入社２年目のこの日、初めて仕事に使命感が生まれた気がした思い出の日だ。
▶とりとめもないあいさつをする場を与えられ無事終えた。妻は私の傍若無人ぶりを知っているから、誰ともしゃべってもらえずポツンとしているんじゃないかと、気が気でなかったらしい。
▶私53歳。妻55歳。私東京、妻大阪。この「遠距離恋愛」が辛かったというのは退職理由になるのだろうか。単身赴任が辛いというより、この年になっても一緒にいられないことが違和感でしかなかった。
▶言い訳になるかもしれないが、仕事ばかりで、ゆったりとした時間を30年間１度も過ごしていないのに。これが定年まで続くのかと思うと、やりきれなかった。
▶単身赴任先に戻ると妻がいた。自分は55歳を過ぎてから働いているのに、引っ越しだけのために、大阪から会いに来てくれた。今回退職するから特別に、というわけではない。月に１度、自分の働いた給料を使って、飛行機で必ず会いに来てくれた。時に掃除と２週間分の料理をつくって帰る時もあった。
▶妻は特に改まって私に声をかけなかった。ただ後輩から、思いがけず、たくさんの記念品をもらったことを知ると、にっこり笑ってくれた。そのひとつに、レイバンの高いサングラスがあった。誰がどこで使うのだ？ まあ俺しかないか。。。
▶すると妻はおもむろにサングラスを手に取り、顔にかけた。そして何やらメロディーに乗せて口づさみだした。
チャンチャンチャ～ン、チャチャチャチャチャチャ～ン、チャンチャンチャ～ン、チャチャンチャ～ン。
▶私は理解するまで数秒あった。そして２人、顔を見合わせて爆笑した。そう50代ならわかる。一世を風靡した刑事ドラマ、西部警察の、あの大門圭介ではないか！
▶チャンチャンで終わるはずの私のリーマン人生が、チャンチャンチャ～ンで終わったのであった。
ありがとう奥さん！
▼東京を去る前に食べた思い出の食事たち
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