4月28日 - クオモNY州知事の会見
統計
入院しているコロナ感染者の数の推移
入院者数の1日あたりの増減
人工呼吸器を必要とする人の1日あたりの増減
1日に入院する人の数
過去1週間の死者数の推移
再開
再開についての議論は、政治的議論でも哲学的議論でもない。事実に基づいた議論なのだ。
再開は、感染を拡大せず、かつ医療機関を圧倒せずに行わなければならない。
そのようなシステムを設計しなければいけない。それが政府の仕事なのだ。
設計するためのデータ、及びファクトがあるのです。それを使わなければいけない。地球上の全ての専門家に話を聞き、ルールを決め、ガイドラインを作るのです。
私たちは、危険信号として二つのデータポイントを設定した。
■一つは、医療キャパシティの70%を需要が超えること。
■もう一つは、感染率が1.1 を超えること。アウトブレークが始まります。
このどちらかに達すると、それは危険な領域に入ったということです。
ニューヨーク州内でも、地域によって感染率が大きく違う。そのために地域別に再開の進度が変わってくる。
再開のためのガイドライン
5月15日から、再開の決定するに当たって地域ごとに考慮するべき項目を昨日(4月27日)は10ポイント説明したのだが、今日は二つ増えて12ポイントになっていた。4月27日に詳しい説明があるので、そちらも参照して欲しい。下記が今日(4月28日)発表されたもの。番号に微妙にズレがある。
1. CDCのガイドライン。14日間連続で感染者数が減少していること。
2. 再開する産業。フェーズ1が建設・製造業、フェーズ2はこれから決定する。その場合、Attractive nuisance はないこと。
3. それぞれのビジネスがどのような注意をすれば良いか。例えば、社内ソーシャル・ディスタンシングとか、感染状況の監視はどうするか。
4. 医療キャパ、特にICUキャパが70%以上使われてないこと。インフルシーズンを考慮してること。医療サプライの備蓄が十分にあること。
5. 検査体制。検査場所(1000人につき30箇所をバークス医師は推奨)や広報。
6. 追跡調査システム。ブルームバーグ氏。10万人につき30人のトレーサー(追跡調査する人)。
7. 隔離施設の準備。
8. 地域でのコーディネーション。例えば、学校、公共交通機関、検査、追跡調査などの体制。
9. 遠隔医療の再考・改善。
10. 遠隔教育の再考・改善。
11.地域司令室。これは、感染状況をモニターし続けてバルブを開けたり閉めたり微妙な調整が必要だという話で、そのための監視をする機能を作ったかということ。
12.エッセンシャル・ワーカーの保護・尊重。検査の優先、装備、公共交通機関の消毒。
活動を再開する企業に対する要件が明確にされる。
■一つは、ソーシャル・ディスタンシング、継続的な検査、モニタリングなどがニューノーマルになるということ。
■もう一つは、連邦政府と州政府のガイドラインを満たすということ。
そして、クオモ知事は再開について討議するための諮問委員会を作った。メンバーは、企業代表、コミュニティ代表、市民代表ら100人から成る。
最初に再開する建設と製造業には46,000人がニューヨークで従事している。彼らは、人、場所、プロセスの三つの観点から安全性を確保しなければいけない。
医療キャパシティの要件としては、次の二つがある。
緊急でない手術を再開した後でも、
■病院のベッドの30%が空いていなければいけない。
■ICUベッドの30%が空いていなければいけない。
検査体制
この後、検査体制について、詳しい説明に入るのだが、検査体制については、今構築中で毎日進展があり、この後数日でNY州民も追いついていけないほど精緻化が進んでいく。
以下の人々は優先的に検査される。
1. 症状のある人
2. 症状のある人と接触があった人
3. 前線で仕事をするエッセンシャル・ワーカー
検査場の数を増加する。
住民がどこで検査を受けることができるかの告知を徹底する。今までのような具合の悪い人が検査を受けるというレベルとは全く違う巨大な検査体制を考えているので、考慮する点が多くなっている。
小規模の追跡調査はNY州でも最初の感染爆発が郊外の住宅街で起きた時行ったのだが、今計画しているのはNY州と近隣州を含む巨大な検査システムなので、体制が全く異なる。
1万人につき30人の追跡調査従事者(トレーサー)が必要と考えている。
各地域は、感染者が発見され、その人が自分で隔離できない場合に備えて隔離施設の計画を準備しなければいけない。これはクオモ氏が何度も説明している「検査+追跡調査+隔離」体制の最後のパートである。
そして、地域ごとに「司令室」を用意しなければならない。その地域の状況を監視し続け、もし感染の拡大が始まれば直ぐに必要なアクションを取る。監視するべき項目は以下を含む。
■病院のキャパシティ
■感染率
■PPEの消耗率
■ビジネスの状況
再開へ向けての覚悟
ニューヨーカーの努力が多くの命を救ってきたと彼はもう一度言う。
しかし、決して油断してはいけない。まだ用心していなければいけないとも。
何をやり遂げたか思い出して欲しいと言う。全てのモデルが、12万人のニューヨーカーが感染し入院すると予測したのだ。しかし、それを2万人に抑えた。ニューヨーカーの努力で、10万人のニューヨーカーを救ったのだ。
この経験を行かそう。そして、ニューヨークをもっとより良く作りなそう!
社会として、コミュニティとして、私たちは、より良いシステムを作り、より強い価値を作り出すのです。
最前線で働く人の保護と尊敬
彼は最後に再開のためのガイドラインの12に戻って話を始めた。コロナによってあらゆることが起き始めた時、彼は二つの悪夢を恐れていた。一つは、ロックダウンと知事が言ったところで、ニューヨーカーが誰も従わないかもしれないということ。1,900万人のニューヨーカーを強制的に家に閉じ込めるのは不可能だ。しかし、結果はニューヨーカーは家にいることを選んだ。
もう一つの悪夢は、最前線で働く人たちが拒否するのではないかということだったという。もし彼らが仕事に行くのが嫌だと言えば、どうなるのか?他のみんなが家にいるのに、どうして自分たちだけが身を危険に晒して仕事に行かなけれいけないのか。しかし、結果は、彼らは危険をおかして最前線へ出て行った。お金のためでも、誰かに言われたからでもなく、彼らは行った。それをさせたのは彼らの価値観なのだ。私たちは彼らを守り、尊敬する。
その後、彼は新聞記事を一つ見せた。ニューヨークの地下鉄がホームレスの住居になり、いかに汚くなっているかを報道する記事だった。クオモ氏はこれに不快感を顕にしていた。彼は若い頃ホームレスの弁護士としてキャリアを開始し、連邦政府に入っても全米のホームレスの生活の改善をしてきた、いわばホームレスの専門家なので、ホームレスには詳しい。しかし、彼が不快だったのは、今乗車率が92%減の地下鉄を使うのは、ほとんどが最前線で働く人たちだからだった。仕事場でコロナの危険に晒され、汚い地下鉄の通勤でも感染に晒されるのはおかしいと。彼らを侮辱するものだと相当怒っていた。これは許せない。なんとかする、でこの日は終わった。
毎日午前1時から5時まで、地下鉄全線を止めて全車両を消毒し、この時間帯に通勤する最前線で仕事する人には、ニューヨーク州政府が無料のバスか車を手配すると発表があったのは、この二日後だった。
* * *
この会見はここで見れます。