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【Overseas】核戦争が来るんですか?

割引あり

この記事は、『ウクライナについての12の考察』と密接に関連するので、両方読まれることを推奨します。


二つのトピック

 この数日、二つのトピックが頻繁にメディアに上がってくる。一つは、ウクライナに長距離ミサイルをロシア領土へ撃ち込むことをバイデン大統領が許可したこと、もう一つは国際刑事裁判所(ICC)からネタニヤフに逮捕状が出たこと。

 前者は、第三次世界大戦もしくは核戦争の可能性という文脈で語られている。そういう危機に注意を引こうとする論者がいる一方、バイデンの決定を強く支持する人々もメディアに登場する。

 日本でどうなのだろうか?日本在住の人に訊いてみたが、アメリカで活躍する日本人の野球選手のニュースでいっぱいだということだった。野球を見ないので僕には全然分からない。日本のサッカーは男子も女子もまちがいなく今、史上最強なのだが、野球に蹴散らされたのだろうか。その方がいいと思うが。

 ともかく、第三次世界大戦も核戦争もないとしても、ウクライナ戦争が今までとはまったく違うフェーズに入ったことに、日本ではあまり関心がもたれてないのかもしれない。

 逆に、もう一つのトピック、ネタニヤフの逮捕状は、過剰な期待を日本人にもたらしているように感じる。日本語Xを眺めたり、スペースやYouTubeで話してる日本人の話を聞いたりした印象だけなので、単なる勘違いの可能性はある。

 しかし、おそらくイスラエルによるパレスチナ人に対する残虐な仕打ちに対する多くの日本人の怒りがそこにあるのだろう。こんなことが一年以上毎日続いているというのは、人類が異常な状態にあるということだと感じるのが人間として普通の感覚だと信じたい。「これを止められなかった」という記憶と共に人類は生存を続けるのだろうか。そんな人類なら絶滅した方がいいのではないかという思いが現れては消え、また現れる。

 ICCの性質とその能力を考えると、ネタニヤフの逮捕状のニュースにも実は気分が浮かない。これについて、つまり国際司法の仕組みについては別途書くつもりだ。

 ところで、この二つのトピックの間で、日本のメディアの扱いが「無関心」と「過熱」に別れたように見えること自体に、日本メディアにおける(あるいは日本人における)世界像の歪みを感じる。

ウクライナについて

 今回は、一つ目のトピック、ウクライナに関することを書く。二つ目のトピック、イスラエルに関しては次回に書くことにする。といっても、どちらも今後何度も登場すると思うが。

 ウクライナというか東欧の政治及び歴史については、シカゴ大学のJohn Joseph Mearsheimer(ジョン・ジョセフ・ミアシャイマー)教授がアメリカでは go-to person の一人になっている感がある。ウイキペディアはミアシャイマーを「攻撃的現実主義(offensive realism)の代表的論者」と説明してるので、それだけ見ると、ものすごいタカ派の論客のようなイメージだが、彼の国際政治の講義を聞くと、非常に地道な分析に基づく現実主義者であることが分かる。下のミアシャイマー教授のインタビューは、今日YouTubeにアップされていたが、現在のウクライナを巡る状況を分かりやすく説明している。

John Mearsheimer: Russia's ICBMs Combined Nuclear Bomb Sparks Global Alarm! U.S - Israel SHOCK Moves(ジョン・ミアシャイマー:ロシアのICBM統合核爆弾が世界に警鐘を鳴らす!アメリカ - イスラエルの衝撃的な動き)

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