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インストラクショナルデザイナーのひとり言 『不適切にはほどがある!』★世代間ギャップ・マネジメントのヒント その1
『ふてほど』があぶりだす令和と昭和のギャップ
昨年来、人事・研修担当者の心をざわつかせている言葉があります。
それは、『ふてほど』。
昨年の新語・流行語大賞を受賞した言葉で、俳優の阿部サダヲが主演を務めた昨年のTVドラマのタイトル『不適切にもほどがある!』の略です。
主人公である昭和の体育教師・小川市郎は、ひょんなことから1986年から2024年の現代へタイムスリップしてしまい、コンプライアンスでがんじがらめの令和の人たちに対して、腰が抜けそうな「不適切発言」を浴びせかける、という意識低い系タイムスリップコメディです。
野球部の顧問をしている市郎は、練習中に水を飲ませなかったり、ミスの連帯責任として部員全員にケツバットをしたり、「男のくせに」「もやし野郎」を連発したりと、令和の今なら一発アウトな暴言を吐きまくるダメおやじです。
そんな昭和なおやじが令和にやってきて、働き方改革を推進するTV局員に対して、
「馬車馬とがむしゃら以外に働き方なんてあるのかい?」
とか、
「朝から晩まで働いて、夢の中でも働く」のが高度成長期の申し子である「おれの働き方!」
だと叫び、
「頑張れそうな人に、頑張れってエール送っちゃダメなの?」
「カワイイ人に、カワイイねって笑っちゃダメなの?」
「さすがZ世代はITスキルがすごいねって褒めちゃだめなの?」
と正面切って疑問を投げかけ、
「仕事はひとりで抱えこまないで。僕にできることがあったら言って」
と部下に囁く上司を
「気持ち悪い!」と一喝する、
とにかく問題を起こしたくない組織に波風を立てまくるお騒がせなものがたりなのです。
ラブとハラは紙一重?
このドラマがこんなにも心をざわつかせているのは、なぜでしょうか?
理由のひとつは、コンプライアンス遵守、ハラスメント撲滅を掲げる職場でのコミュニケーションの不自然さや息苦しさ、踏み込みたくても踏み込めない上司と部下の微妙な関係性や、同僚との妥当な距離感の取り方の難しさを、令和に働く私たちが大なり小なり感じているからではないでしょうか?
さらに、暴力やいじめといった、もってのほかのハラスメント以外の、いわゆるグレーゾーンの行為の評価が、言われた側・された側の気持ちで決まるという不確実性に悩む人が多いこともあるでしょう。
そうしたハラハラ・モヤモヤを、
「ラブとハラ(ハラスメント)は紙一重」
と言い切り、
「がんばってとか、期待しているとか、あいまいなことより、ちゃんと叱ってほしい」
はずだと声高らかに問題提起するストーリーに、
「モヤモヤしていたのは、わたしだけではなかったんだ……」
と、ホッとさせてくれるところが、心にささるのかもしれません。(続く……)
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