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インストラクショナルデザイナーのひとり言 『山登り型からフィールド型へ★ AI時代のキャリアデザイン 』その2
キャリアは積むもの?上るもの?
キャリアの時間軸・空間軸の変化にともなって、キャリアデザインのイメージも変わってきています。
かつては「キャリアを積む」とか「キャリアを重ねる」という表現にあるように、めざすゴールにむかって一歩一歩上っていくもの、定められたルートを着実に進むもの、というイメージが強かったのです。
しかし最近は、「山上り型」から「フィールド型」へ、「ステアーズ(階段型)」から「ドット(点)型」へと、既成の枠組みにとらわれないダイナミックで自由なものになっています。
伝統的なキャリアアップのモデルである「山上り型」は、文字通り、頂上をめざして決められたルートを地道に上るスタイルです。
より早くより高く、上をめざすことが目標だという垂直志向のキャリアモデルです。
やる気と能力、チャンスがそろえば、一気に頂上も制覇できるのですが、運悪く登頂を断念せざるを得ない状況になったとき、スピーディにルート変更するのはなかなか厳しく、下山するにも体力と気力が必要です。
また、途中であきらめること自体が失敗と短絡的に捉えられてしまい、レジリエンス(困難をしなやかに乗りこえ
る力)が身につきにくいこともデメリットです。
それに対して「フィールド型」は、広々としたキャリアの大地に立っているイメージです。
垂直思考から水平思考のキャリアデザインへ
大地の一画にある畑を耕してみて、期待通りの収穫がなかった場合、自分のやる気や能力が足りなかったからとガックリ肩を落としてうずくまるのではなく、「水はけが悪い?」「日当たりが問題?」「土壌と作物の相性がイマイチ?」など、多角的に要因を分析します。
そして、環境を変えることで課題解決できそうだと判断したら、今までの畑に執着せずにサッサと移動して、別の畑でやり直すのです。
ひとつの環境にこだわらず、自分の能力がより生かせる場へとフットワーク軽くジャンプする、という水平思考のキャリアデザインです。
「フィールド型」が最近注目されるのは、どこを耕したら偉いとか、なにを作ったら成功、といったワンパターンの評価基準ではなく、多様な評価指標があること、やり直すことは失敗ではなく、むしろ臨機応変に、大胆に、環境を変えることができるアジャイルな能力が高く評価されることが、その理由です。
一歩一歩上る階段型からあちこちスキップする点々型へ
キャリアアップに必要な能力を磨くキャリアディベロップメントにも、新しい考え方が生まれています。
今までは、キャリアに必要な知識やスキルを、一段一段階段を上るように身につける「ステアーズ(階段)型」というスタイルが一般的でした。
みんな一緒の既定プロセスなので、
安心安全で間違いないように見えますが、急激な技術の進化や社会の変化が起こると、途中のステップが必要なくなったり、エレベーターで一気に昇らないと間に合わない、という事態も起こりかねません。
階段を作り直すのには手間暇がかかるため、どうしても変化に後れをとってしまうことと、みんな一緒で多様性に乏しいのが弱点です。
それに対して、最近注目されているのが「ドット(点)型」のキャリアディベロップメントです(続く……)
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