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インストラクショナルデザイナーのひとり言「日本語、上手、ですね」その2 DEI研修のポイント/マイクロアグレッションが生まれるわけ

たとえば、年配に見える方に、
「お若いですね!」
と声をかけたり、障害のある方に、

「たいへんですねぇ」
と同情したりすることも、マイクロアグレッションだと言われます。

たしかに、ほんとうに若い人には「お若いですね」とはいいませんから、言われた方は、「(本当は若くないけど)若く見えるってことね」とひがんでしまうかもしれません。

「そんなことにイチイチ気を使っていられない」と思う方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、最近、このマイクロアグレッション対策に力を入れる企業や団体が増えているのは、切実なわけがあるのです。

それは、外国籍の方や定年後の再雇用の方など、国籍も年齢も多様な人材を受け入れている現場が増えていることがあります。

そんな職場で、マイクロアグレッションを放置することは、すなわち「パフォーマンス・キラー(従業員のやる気を奪う人)」を増やし、やがては、
・授業員のエンゲージメントの低下
・組織のイノベーション力のダウン
・顧客サービスの低下
・離職率の上昇

など、さまざまな経営的リスクの要因となることが、多くの調査や研究から明らかになっているからです。

さらに、マイクロアグレッションを見逃すことによって、やがては嫌がらせや差別が横行し、企業イメージや企業価値に影響するだけではなく、ヘイトスピーチやジェノサイドのような人権侵害にもつながる、社会的な問題でもあるのです。

そんなリスクを孕んだマイクロアグレッションを防止するには、どうしたらよいのでしょうか。

まず最初に受け入れなくてはならないのは、
「マイクロアグレッションは誰の心にもあるし、きれいさっぱり払拭することは難しい」
という悲しい事実です。

悲しいことではありますが、まずそのことを受け入れて、「だから、私の中にもある」と自覚すること、つまりマイクロアグレッションを生む基盤となるアンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)を意識して、自分ゴト化することから始めるのです。

つぎに、「では、どうしてマイクロアグレッションが生まれるのか?」という点について、脳の働きという観点からマイクロアグレッションのメカニズムを客観的に分析します。

ひとつには、ヒューリスティック(近道思考)という、日常的な意思決定を効率化するための脳の仕組みにあるのです。(続く……)

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