インストラクショナルデザイナーのひとり言「日本語、上手、ですね」その1 DEIのポイント/マイクロアグレッションって、なに?
NJD攻撃、ってご存じですか?
世界のあちこちで不穏な動きがある昨今、もしかしたら最新兵器のことかしら、と思うかもしれませんが、実はこれ、
「Nihongo Jozu Desune(日本語、上手、ですね)!」
の頭文字をとったものです。
一見、誉め言葉のように感じる「日本語、上手、ですね」という表現が、場合によっては、差別的だと捉えられたり、人のやる気を奪うキラーワードと言われたり、人の心を攻撃する心理的ミサイルといわれるようになっている、というわけで、NJD攻撃などという物騒な表現がなされているのです。
グローバル化、人材の多様化を進める日本の企業や様々な仕事の現場では、外国人人材が急増していますが、そこで最近問題になっているのが、このNJD攻撃なのです。
そこで今回は、NJD攻撃という言葉の裏に潜む、多様な人材活用に欠かせないアンコンシャス・バイアス軽減のポイントを紹介します。
NJD攻撃について、もう少し具体的に説明しましょう。
たとえば、ある打合せで初めて会った人が、どう見ても外国の方だと思われるのに、名刺交換しながらスラスラとよどみなく、
「いつもお世話になっております。〇〇株式会社の△△と申します。本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございます」
と挨拶したとしましょう。
思わす、「日本語、上手、ですね!」と言ってしまいそうになること、ありますよね?
実はこの方、日本生まれの日本育ちで国籍も日本、という生粋の日本人であることもあります。ほかにも(いかにも日本人という外見の)メンバーが並んでいるにもかかわらず、その人にだけ、「日本語、上手、ですね!」と声をかけてしまうことは、かけられた方からすると、「なんで自分だけ?」と感じてしまいます。
こうした、些細なひと言だけれど、言われた方からするとなんだか差別されたみたい、と感じる言動をマイクロアグレッション(小さな攻撃)と呼んでいるのです。
マイクロアグレッションの研究で知られる中国系アメリカ人で、コロンビア大学教授のデラルド・ウィン・スー氏によれば、
「日常生活のあらゆる場面に潜んでいるもので、話した本人には相手を差別したり傷つけたりする意図がないにもかかわらず、相手に対して軽蔑したり侮辱したりするようなメッセージを含んでいて、受け取った人の心を傷つけてしまう言動」を指すといいます。
彼の著書によれば、マイクロアグレッションは言葉だけではなく、たとえば就職面接会場でズラリと並んだ面接官が全員白人男性だったときも、「アジア系の自分の心にかすかな絶望感が生まれた」といいます。
マイクロアグレッションはアンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)によって起こるコミュニケーション・トラブルの一種です。小さなことのように思いますが、言われた人の心にチクッと刺さり、ほおって置くと大きな疼きになってしまうことから、こう呼ばれています。
ややこしいのが、言っている本人は、「褒めてるつもり」「悪意はまったくない」という点です。(続く……)
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