ヘルシンキでヘアサロンをオープンした話、かろうじて続き。
3年だったらしいです、4年ではなくて。
なんの話かというと、ここに書いた私の記憶が違っていたという話です。
そういうところなんですよ、結局。過ぎた事は曖昧で、目の前のことに夢中になってしまうのですね。このまま曖昧にしておくと2019年が終わってしまうので、2年半前のことを書き残しておきます。(あと数時間・・。ギリのギリ!むしろ日本はもう新しい年!)
「ポップアップをやりましょう」と決めた秋にまず段取りをしたのは梅沢さんの渡航日程でした。日本で梅沢さんを必要としているお客様にご迷惑がかからないように、梅沢さんが過労でめげないように、なんとか確保できたのは3日間。(今確認したら2017年4月でした。)1日に5枠を決めて、場所の確保や宿泊手配、道具類の準備、宣伝や予約はうちのオフィスが担当することに。労働ビザがない梅沢さんには働いてもらうことができないので、ボランティアとしてカットだけをしていただくことになりました。この時は結局うちのオフィス(Laivurinrinneにあった旧オフィス)で開催することになり、洗髪台がどうしても用意できなくてドライカットだったのですよね。懐かしい。
いざ告知を始めてみると、あっという間に15枠が埋まりました。キャンセル待ちをしたいという方や「こういうのを待ってました!」とおっしゃってくださった方も。フィンランド在住の方々の中に私が感じていた美容室飢餓感(?)が通じた気がして、すごく心強く思いました。
そして当日の朝。オープンよりかなり前に準備を整えた梅沢さんが有り得ないほどソワソワしていたことに強い衝撃を受けました。小さい声で「緊張するな・・」と。
え?梅沢さんって、これまで原宿で何万人のヘアスタイルを作ってきた巨匠なのでは?というか美容師歴20年は軽く超えてますでしょ?緊張?なんで?
「え?」以外は心にしまいつつ、オープン直前まで梅沢さんと時間をご一緒できたのは、今思えば本当に貴重な機会でした。そこで私が理解したのは梅沢さんに「慣れ」がないということ。鏡の前に座るおひとりおひとりとの出会いが梅沢さんにとっての真剣勝負で、そこにベテランとか経歴とかは関係ないということ。「当日を楽しみにしてます」とご予約いただいた方々の期待感と、この梅沢さんのソワソワ。常日頃コーディネートをする身として、この両者を繋げるチャンスに恵まれた事は本当に幸せな経験でした。
ポップアップは無事終了。皆様に喜んでいただけた上に「次の予約は受け付けていますか?」という声が続き・・。ならば日程を確認しようと日本へ帰国前の梅沢さんと話をしました。この時、またもや梅沢さんから予想もしない一言が。
「後輩たちにも、こういう経験をさせてあげられないかな?」
こ、後輩!
日本のサロン営業のお休みを必死に確保して、飛行機に乗ってさらに髪の毛を切りに来て。慣れない設備で切り続けの3日間が終わってお疲れのタイミングで「後輩」!
この人は芯から美容師なのだ、と感覚で理解した瞬間でした。きっとこの3日間で何かをご自身の中に得られたのだろう、と。その「何か」を同じ世界で生きる若い世代に分けてあげたいのだろう、と。そこまで理解した時点で、私に「それは無理ですね」という選択肢はありません。次の秋のポップアップヘアサロン開催はすぐに決まりました。
写真: ポップアップお疲れ様のランチをしたwagocoroさんのお寿司。幸福な色合い。
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