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法律とその歴史

今更ながらに当たり前のことを実感する日々がここ数年、続いています。

法律を知る、使えるということについて、本当にそのように語るには、その法律ができる前と出来てからの30年、40年という歴史を知っていないといけないといことです。

2019年1月、gacco というウェブでの授業サービスによって、東北大学の水野紀子先生の「家族と民法」という無料連続講義を受講しました。

そこでは、第1週、確かたった90分で次のような盛りだくさんの内容が語られました。

第1週:日本家族法の成り立ちと特徴
イントロダクション
家族に関する最近の最高裁憲法判例
日本人の法意識
徳川日本と明治維新
戸籍制度・登記制度の創設と明治民法の立法
戦後の民法改正
家庭裁判所の創設
戸籍制度とは何か
民法立法後の社会の変遷
日本家族法の特徴

明治政府によって民法という法律が制定される前、その前に先に、戸籍制度と登記制度が作られていたという話、相続が当時、どのようなものだったのか、フランス法との似て非なる点などなどが縦横無尽に語られていました。

知りませんでした。

このようなことすら、民法の生い立ちを知らずして、自分は、相続において、この民法を使っていたのかと、恥ずかしくなりました。


そして、さらには税法。

これも戦後、法人税法にしても、平成元年施行の消費税法にしても、その成り立ち、変遷について、生々しい変遷を経ています。

消費税法については、3年前から、その課税処分取消の不服申立て、さらには訴訟の代理人をしていることから、売上税法案に遡って、チェック理解しているつもりではいました。

ただ、その生い立ちに大きく関与している法人税法、所得税法については、やはり私はまだまだでした。

特に、事件に大きく関与する法人税法。法人税法の法律学の変遷と発展の歴史が不十分だったことがわかりました。

条文や通達がどのように変わってきたのかを学ぶことが、今そこにある法律を学ぶこと、使うことに繋がります。

弁護士登録20年。今更ながらに、こんなことを実感しているのが恥ずかしくもありますが、しかし、まだまだ法律は面白いと思えることにも繋がっています。

いつまでもま、いつまでも、わかった気にはならないこと。遡って、遡って、調べ続けること、考えること。

そのためには、本当は、さらには全ての法律に関して、日本だけで考えるのではなく、比較法的な視点が必要だと思います。

水野紀子教授の「家族と民法」の講義はまさにそのような講義でした。もう視聴できないなんて。東北大学やgacco は永久視聴可能とすればいいのにと思います。そして、有料で、投げ銭方式にすれば、数多くの法律実務家たちがクレジットカードで投げ銭をするのではないかと思います。

一流の人に接して、己の不甲斐なさを改めて知って、足りないを知る。分かっている、勉強しているという思い込みを粉々にする。

大事なことです。

ただ、依頼者のいる事件であって、訴訟代理人活動が仕事であって、そうでなくても法律相談であっても、期限があります。また依頼者も、一人だけではありません。

そして私は一人であって、時間は一日24時間。

何にどうのように時間を使うのかが全てです。

無駄と思える時間を、消し込んでいきます。

(終わり)