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「本が読めない」のは「読書嫌い」なのではなく「文字は読めるのに文章が読めない」のかもしれません

今年の春、小5息子のWISC(注:義務教育の年齢の子が受けられる知能検査の1つ)の結果が出ました。それを見て、息子が困っていたことが分かってほっとしたのと同じくらい「今まで気づいてあげられなくてごめんなさい」という、懺悔に似た感情がドワーッと押し寄せてきたのです。
今思えば、低学年のころから兆候はいくらでも出ていたのに…許されるのならば時間を3年くらい巻き戻したい心境です。
ただ、私の場合、知人に小学校の先生が数人いた(その中に支援級を担当したことがある人がいた)のでここまでたどりつけました。運が良かったのかも。
最近は、発達障害の中でもADHDあたりは知られてきたように感じます。しかし、「学習障害」はまだまだ知られてないし見逃されているし、知的に遅れがない場合は単に「勉強が出来ない」「努力が足りない」って思われている感はあります。

「本を読みたくない」でググってみると

「うちの子、本を読まないんですよね」って言うと「男の子は本なんて読まない!」とか「中学生になって読むようになったよ」「今の子は大学生でも本を読まないよ」とか…本当によく言われました。(その後ろには「だから心配しなくていいのでは?」「考えすぎでは?」というニュアンスが含まれています)
うーん?そうなのか?3年生になっても「かいけつゾロリ」に見向きもしないのは単に読書が嫌いなだけなのか?成長に伴って読むようになるのかな?様子を見てればいいのかな?って思ったのですが…。
今となってはこれが落とし穴でした。

「文字が読める=文章が読める=本が読める」という風に、みんな思い込んでいますよね。
文字が読めるんだから文章が読めるでしょ?って…。
文字としては読めても「文章」が読めなくて苦労している子もいるんです、ってことを広く知ってほしいです。

今でも「本を読みたくない」っていう言葉でググると…「読書嫌い解消法」みたいなブログ記事は大量に出てきます。
しかし、「本を読みたくない…それは、読書嫌いなのではなく『ディスレクシア』(読字障害)かもしれませんよ」っていうブログ記事は見つかりません。

「文字は読めるのに文章が読めない」という現象

うちの息子の場合、運がいいのかワーキングメモリが通常以上の数値だったので、低学年のうちは「書けなかったところは聞いて覚えて後から書いていた」という彼なりの処世術が通じてました。
周囲も板書の遅さは気にならなかったのでしょう。(そもそも、低学年は板書の量も少ないし)
学校でも、音読が拾い読みであることと、漢字が何回書いてもきれいに書けない…という以外の問題点は特にありませんでした。
喋りに問題があったり、会話の受け答えに違和感があったりすれば気が付くのかもしれませんが…。
詳しくはこちらにも書いたのですが、「うさぎ」は息子にとっては「う」「さ」「ぎ」という文字であっても…動物の「ウサギ」が思い浮かばないんですよ。

あとは、音読の宿題をしていて、文末を適当に読み替えるのも特徴です。
とにかく、「一般的には幼少期に自然に身に着く」はずの音韻処理能力があまり身についていないので、「文字」は読めてもそこから「文章」として理解するところに問題があるのです。

見え方の問題…見えてるのに見えてない?

学校の視力検査は、近視の可能性しか分かりません。うちの子は、クラスで数少ない「視力検査の再検査にならなかった」のでした。そう、うちの子は「遠視」だったので再検査にならないのです。
でも、視機能の発達検査にはひっかかるのですねw
学校の視力検査はなんだったのか…と思うようになりました。
近くを検査する「近見視力」は問題なく、どういうことなんだろうと思ったら…「動体視力」が…。遠くを見て、すぐに手元のノートに書き写すときにピントがスムーズに動作しないとか、文字を「形」として捉えるのが苦手なため、漢字が覚えられない…ということも分かりました。

早期発見が大切…だけど、年齢が上がってから分かることも

視知覚に問題がある場合は、年齢が低い方がトレーニングの効果があるそうです。(8歳くらいまでには目の成長は止まってしまい、小学校卒業くらいには完成してしまう)これを知って、私は泣きました。あと3年…いや、2年でいい、どうしてもう少し早く見つけることが出来なかったのだろう。(見つかった時には10歳でした)
泣いてもしょうがないので、今できることをやっていくしかないのですがね。
ちなみに、日本語は大丈夫なのにアルファベットだけダメなケースもあります。小学校では問題なかったのに、中学に入ったら英語だけが「1」で、気が付くケースもあるとか。

小学校低学年でスクリーニング検査が出来ないものか

音韻認識が苦手な子は、出来ないことに特徴があるので、2年生くらいでスクリーニングしたら早期発見できそうな気がするんですよね。
知人の小学校教諭が「こんなのがあって、導入する学校もちらほら出てきている」って言うのを聞いて知った「MIM」。これを全国の小学校で導入したら、低学年のうちにディスレクシアの可能性がある子をピックアップ出来ると思うんですがね。

ホント、小学校の先生でも学習障害については知らない先生もいらっしゃるので、「漢字が書けない」「字がきれいに書けない」となると、「書けるようになるまで同じ文字を何度も書かせる」という、LD(ディスレクシア)としては地獄でしかない指導方法をする先生もいらっしゃいます。

困っているのは子ども。動くのは親。

2016年より、公立の学校は保護者が申し出たら「合理的配慮」をする「義務」がある、という法律が出来ました(私立は「努力義務」です)。
例えば、同じ現象(板書が遅いとか読み書きが苦手とか)が出ている子どもがおなじ教室にいたとします。
親が認識して学校に相談すればその子は「合理的配慮」を受けることが出来ます。しかし、親が対応せずにそのままだと、定型発達の子と同じ扱いになります(保護者の申し出がなく、先生が配慮をすることはありません)。
周囲から「サボっているのでは」「あいつはバカだ」などと言われることに、親が知らないところで人知れず傷ついていたりするのです(我が子の実話です)。
子どもに兆候はあるのに「うちの子は発達障害じゃない」と言って、現状を受け入れない方もたくさんいらっしゃいます。かつての私も、頭の片隅ではそう思っていました。
発達凹凸の問題で一番難しさを感じているのは「困っているのは子どもなのに、実際に動いて対応しなければいけないのは親」だということです。
学校で友達関係でトラブルが多発するケースの発達凹凸だと、対応しないと親自身が困るケースもあるので対応する人も多いと思います。
しかし、学習障害はソーシャルスキル(人間関係)で問題がなければ、(成績が良くないだけで)親自身は困らないので、「うちの子、バカでさ…」で放置されているケースもあるのでは…と思っています。

最後にもう1度書きます。子供が本を読みたがらないのは、もしかしたら、単なる「読書嫌い」ではなく、発達の特性に問題があるのかもしれません。そして、それは、成長に伴って気にならなくなる…どころか、学年が上がるにつれて本人の「困り感」が増えていくのかもしれません。中学生になってから勉強しても成績が一向に上がらなくて、その時点で初めて気が付く親御さんもいらっしゃいます。その方たちに話を聞くと、みなさん口をそろえて「もう少し早く気づいていれば…」と言います。

・学年が上がっているのに、鏡文字書いてませんか?
・新出漢字の練習で、書き順無視して書きませんか?
・習ったはずの漢字、よく忘れませんか?
・ローマ字覚えるのに苦労していませんんか?
・音読の宿題で、文章の語尾を勝手にアレンジしませんか?
・初見の文章、やたらと読むの遅くないですか?
・小さい「つ」や「やゆよ」がある単語の読みが苦手じゃないですか?
・「る」と「ろ」、「ぬ」と「め」を読みまちがえませんか?
・理科や算数でも、問題文が読み切れなくてテストの点数が悪かったりしませんか?
・算数の筆算、スピードがやたらと遅かったりしませんか?
・キャッチボールやサッカーがなど、球技が苦手じゃないですか?

これは全部、うちの子が4年生までにすでに出していた「特徴」です。これを私はそれまで「単に勉強が苦手な子」だと思って対応してきませんでした。WISC(という知能検査)を受けてみて、それで初めて息子の発達での特性だと知ったときは私はショックと後悔で胸がいっぱいになりました。

どうか、これを読んで、「うちの子もそうかも」って思った人がいたら、ぜひ、学校に相談してみてください。
ここで「学校」と書いたのは、ファーストチョイスは確かに学校なんですが、学校に相談しても何も起こらないケースがあります。
なぜなら、先生によっては発達関連の知識がほとんどない先生もいらっしゃるからです。そういう場合は、スクールカウンセラーでもいいですね。
学年がすでに上がっている場合(本人がすでにかなり困っていて、一刻も早く対応してほしい場合など)は、どこかでWISCを受けてからその結果を持って学校に話をした方が早く動いてくれるケースもあります。
 
お子さんが生きやすくなるために動いてくれる人が、1人でも増えますように。





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