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430. COVID, RSV and the Flu: A Case of Viral Interference?

パンデミックから3年、COVID-19はいまだ御健在で、患者数は急増、沈化、再増加を繰り返しながら、次々と波を引き起こしている。しかし、この秋にはインフルエンザが再流行した。さらに、平年はあまり話題にならないRSVが急増して、「トリプルデミック」となった。

パンデミックの最初の2シーズンは、インフルエンザもRSVもほとんど流行しなかったので、これらの急増は特に目を引くものであった。さらに驚くべきことに、ある種のインフルエンザは絶滅した可能性がある。世界保健機関の監視プログラムでは、2020年3月以降、B/Yamagataインフルエンザ株を検出していない。

「まだ誰も断定的に消滅したとは言わないと思いますが、我々は、このウイルスが絶滅することを望んでいます。このような絶滅は超レアケースでしょう」

聖ジュード小児研究病院ウイルス学者 リチャード・ウェビー

ウェビーは、COVID-19が猛威を振るっている間、行動抑制やマスクとは別の要因が従来のウイルスを抑えていたかもしれないと考えている。それは、ウイルス干渉と呼ばれるもので、あるウイルスが存在すると他のウイルスをブロックしてしまうというものである。ウイルス干渉は、細胞レベルでも、動物、人間の個体レベルでも起こるが、効果が集団に広がることもありうる。その結果、ウイルスの感染の波が交互に押し寄せることになる。「過去数年を振り返ってみると、COVID-19はインフルエンザやRSVを確実に阻止できるのだと確信しています」とウェビー。科学者たちがこのようなパターンを観察するのは、今回が初めてではない。例えば、2009年に豚インフルエンザが流行したが、秋になって豚インフルエンザが猛威を振るうかと思いきや、ヨーロッパの一部地域で突然、流行が停滞した。この期間、ライノウイルスが子供たちによって広まった可能性が高く、豚インフルエンザが再び優勢になるまでの数週間、ライノウイルスが主役の座を占めた。このインフルエンザは、典型的な秋のRSVの流行開始も2ヵ月半遅らせた。

干渉を受ける
体内で干渉が起こる可能性はいくつかある。一つは、2つのウイルスが同じ分子を使って宿主細胞に侵入する場合。もし、ウイルスAが先に侵入して、分子のドアノブをすべて掴んでしまっていたら、ウイルスBは運が悪いとしか言いようがない。もう一つの干渉は、2つのウイルスが細胞内の同じ資源、例えば、新しいウイルスタンパクを作る機械や、他の細胞に感染するためにその細胞から脱出する手段などをめぐって競争する場合に起こる。

しかし、最もよく知られている干渉の方法は、インターフェロンと呼ばれる防御分子に関するもので、これはすべての脊椎動物(おそらく無脊椎動物も)の細胞で作られるものである。実際、インターフェロンの名前は「(ウイルスによる)干渉」に由来している。細胞がウイルスを感知すると、どんなウイルスでもインターフェロンを作り始める。その結果、多くの防御遺伝子が活性化される。これらの遺伝子産物は、細胞内や細胞と細胞の境界で働き、新たなウイルスが侵入するのを防いだり、すでに存在するウイルスが複製したり、細胞から脱出するのをブロックしたりする。

また、インターフェロンは他の細胞に警戒を呼びかけるため、第2のウイルスが現れたとしても細胞はすでに防御を開始しており、ウイルスをシャットアウトできる可能性がある。この「用心せよ」というメッセージは、全身に広がる可能性がある。そのため、理論的にはライノウイルスなどの呼吸器系のウイルスに感染すると、例えば腸の防御機能も活性化し、ノロウイルスなど全く別のウイルスから身を守ることができる。その状況は、関係するウイルスやインターフェロンの産生量などによって変わってくる。

ほとんどのウイルスが、インターフェロンシステムを中和する方法を持っている。ヒト対ウイルスの綱引きだ。

クリーブランドクリニック Ganes Sen

エレン・フォックスマンは、ヒトの気道細胞から作った組織でウイルスの相互作用を調査した。ライノウイルスを感染させ、次に豚インフルエンザを感染させたところ、インターフェロンが豚インフルエンザ感染を防いだ。同様の研究で、ライノウイルス感染がSARS-CoV-2感染を妨害することも発見している。実験室データから人や集団に外挿することは難しいが、フォックスマンはこの研究が生物学的真実を反映していると考えている。「ライノウイルスに感染すると、ある期間、他のウイルスに対して相対的な抵抗力を持つようになる可能性がある」。フォックスマンは、この防御効果はおそらく数日から数週間続くだろうと推測している。

しかし、風邪が他のウイルスに対する免疫力を与えてくれると期待しない方がよい。干渉は保証されていない。同時に複数のウイルスに感染することもあり得るし、インターフェロンは必ずしも有益なものばかりではない。よく知られている例としては、インフルエンザにかかると二次的な細菌感染にかかりやすくなる。

現在進行中のパンデミックで、干渉がRSVやインフルエンザの感染阻止にどの程度の役割を果たしたのか判断することは難しい。2020年の最初のCOVID-19の波では、他のウイルスに大規模に干渉するほど多くの人々が感染していなかったとフォックスマンは考えている。(RSVは、人々がマスクやその他の予防措置を緩和したため、2021年に異常な夏のピークを迎えた)。しかし、2021年から22年にかけての2度目の冬には、干渉を示す集団レベルの証拠があるとウェビーは考えている。秋にはインフルエンザが流行し始めたが、その後、SARS-CoV-2のオミクロン変異型が登場していると彼は言う。人々が職場や学校に戻り、休暇で旅行しているにもかかわらず、インフルエンザの発生率は低下した。SARS-CoV-2に対する免疫がまだない人が多かったので、そのシーズンはSARS-CoV-2に大きなアドバンテージがあった。しかし、今後も常にインフルエンザに勝てるというわけではない。

現在、北半球で進行中の3度目の冬は、また条件が異なっている。SARS-CoV-2に感染したことがある人、ワクチン接種を受けた人が多く、RSVやインフルエンザに感染したことがある人は少ない。そのため、インフルエンザとRSVが大規模なカムバックを果たし、早期に、そして激しく襲いかかってくるという状況が生まれた。2022-23年、これらの3つのウイルスが同時に起こった冬に何らかの干渉が起こっている可能性は、疫学者がシーズンを振り返り、それぞれのウイルスが順番に流行したかどうかを確認することで明らかになる。すでに、RSVとインフルエンザの秋の流行はピークに達した可能性があり、一方、COVID-19は冬休み明けに増加傾向にあることが示されている。まだ数カ月は寒い時期が続くので、この3つのウイルスのいずれかが再び流行する可能性は残っている。

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