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662. PIDJに掲載された小児感染症系論文6つ

1. Pediatric Utilization of Methicillin-resistant Staphylococcus aureus Nasal Swabs for Antimicrobial Stewardship

https://journals.lww.com/pidj/fulltext/9900/pediatric_utilization_of_methicillin_resistant.595.aspx

感染症治療のために入院した小児における鼻腔MRSAスクリーニングの陽性、陰性適中率評価。患者172例中、11例(6.4%)の鼻腔スワブがMRSA陽性、10例(5.8%)がMRSA感染症であることが確認された。スクリーニングの精度は、感度20%、特異度94%、陽性的中率18%、陰性的中率95%であった。660. でも示した通り、陰性ならバンコマイシンは外せそうな印象。

2. Prescribing Pattern and Efficacy of Oral Antibiotics for Pediatric Urinary Tract Infections in Japan: A Descriptive Study Using a Nationwide Claims Database

https://journals.lww.com/pidj/fulltext/9900/prescribing_pattern_and_efficacy_of_oral.604.aspx

日本から。NBDを使用した小児尿路感染症に対する経口抗生物質の処方パターンと有効性の評価。4,127例のうち、2,766例(67.0%)に第三世代セファロスポリンが処方され、347例(8.4%)にアモキシシリンが処方されていた。トリメトプリム・スルファメトキサゾールは63例(1.5%)、アモキシシリン・クラブラン酸塩は50例(1.2%)に処方された。治療失敗は118例(2.9%)に認められ、セフカペンピボキシル投与例よりもアモキシシリン投与例に多かった(OR 2.18)。クラクラしますね。まあ、小児だと選択肢がなくて難しいと思うけど。

3. Ten-year Single Center Experience With Colistin Therapy in NICU

https://journals.lww.com/pidj/fulltext/9900/ten_year_single_center_experience_with_colistin.599.aspx

NICUでのコリスチン治療評価。77例をコリスチン群、77例を対照群とすると、コリスチン群では、低ナトリウム血症、低カリウム血症、低リン酸血症、低マグネシウム血症、急性腎不全が対照群より多くみられた。コリスチンと併用した場合、他の薬剤の腎毒性も増大した。

4. Differentiate Clinical Characteristics Between Viral Pneumonia and Mycoplasma pneumoniae and Nomograms for Predicting Mycoplasma pneumoniae: A Retrospective Study in Primary Hospitals

https://journals.lww.com/pidj/fulltext/9900/differentiate_clinical_characteristics_between.601.aspx

ウイルス性肺炎と肺炎マイコプラズマの臨床的特徴の違いを検討。市中肺炎の小児375例を対象としてウイルス性肺炎と比較したところ、低体温、嘔吐はウイルス性肺炎と比較してマイコプラズマ肺炎で低かった(低体温:10.50% vs. 0.00%、嘔吐:7.90% vs. 0.00%)。高体温の有病率はマイコプラズマ肺炎で高かった(高体温:89.5% vs 100%)。プロカルシトニン、末梢血白血球数、リンパ球数はウイルス性肺炎群で高く、好酸球数は逆に低かった。罹病期間の平均はウイルス性肺炎で5.20±2.12日、マイコプラズマ肺炎で6.27±2.48日(M.pneumoniae)であった。マイコプラズマ肺炎に罹患した小児は、病院全体の費用が高く、より多くの治療を必要とした。

5. Assessment of the Clinical Course of Human Rhinovirus/Enterovirus Infections in Pediatric Intensive Care

https://journals.lww.com/pidj/fulltext/9900/assessment_of_the_clinical_course_of_human.602.aspx

PICUに入室したヒトライノウイルス/エンテロウイルス(HRV/EV)感染症の臨床経過を評価。合計75例が研究に組み入れられた。全症例の年齢中央値は21ヵ月で、PCRの陽性率が最も高かったのは10月(37.33%)だった。症例中、32例(42.67%)が気管支肺炎/肺炎、24例(32%)が急性細気管支炎/気管支炎、7例(9.33%)が敗血症/敗血症性ショックを呈していた。小児急性呼吸窮迫症候群の頻度は6.67%であった。1~24ヵ月齢ではリンパ球と肝酵素の平均値が高く、24ヵ月齢以上ではヘモグロビンと腎機能検査の平均値が高かった。酸素は65.3%に、CPAPは33.3%に、HFNCは32%に、侵襲的人工呼吸は16%に施行されていた。

6. Clinical Practice Patterns, Health Resource Use and Risk Factors for Severe Conditions Among Children Hospitalized With COVID-19 in Japan

https://journals.lww.com/pidj/pages/articleviewer.aspx?year=9900&issue=00000&article=00603&type=Fulltext

日本から、Medical Data Visionデータベースによる疫学研究。2020~22年にCOVID-19で入院した小児9876例を調査。COVID-19パンデミックの第1波から第7波にかけて、在院日数、医療費、X線撮影の使用、抗菌薬の使用は減少傾向を示し、点滴治療、解熱剤、抗てんかん薬、制吐剤、抗ウイルス薬の使用は増加傾向を示した。3年間で重症COVID-19のリスクは3%とほぼ安定していた。重症COVID-19に関連する危険因子は、0歳児(RR 1.69)、慢性疾患の数(1疾患のRR 4.49 2疾患以上のRR  10.2)、喘息(RR 1.84)であった。

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