640. NEJM Journal Watchの3つの感染症に関する話題
1. Vaccinating Children Against Mpox
修正ワクシニア・アンカラババリア・ノルディック(MVA-BN)ワクチンのMPOX曝露後予防データ。全部で87人の小児がMVA-BNの単回投与を受けた。その後、MPOXと診断された子供はいなかった。保護者が安全性アンケートに回答した45人の小児のうち、16人は有害事象を報告せず、18人は局所反応のみを報告し、11人は全身反応(主に発疹と発熱)を報告した。受診を必要とした反応はなかった。7人の親が子どもの採血に同意し、接種後の血清はすべてmpoxおよびワクシニア抗原に対する抗体反応を示し、抗体価は接種後6~15週で低下した。すべての子どもでMVAに対して高いインターフェロンガンマへ反応を示した。サイトカイン応答はTh1に偏っていた。
2. Sulbactam-Durlobactam: A New Weapon to ATTACK Acinetobacter baumannii
新しく承認されたスルバクタム-デュロバクタム(sul-dur)の、A.baumannii-calcoaceticusによる院内肺炎または人工呼吸器関連肺炎に対する国際共同第3相試験。コリスチンとの対決で、両群ともイミペネム/シラスタチンを併用。intent-to-treat解析では、主要エンドポイントの28日死亡率はsul-dur群で19%、コリスチン群で32%で有意差なし。臨床的治癒は、sul-durがコリスチンよりも高かった(62% vs 40%)。腎毒性の発生率は、sul-durの方が低かった(13% vs 38%;P<0.001)。試験薬の中止に至った治療関連有害事象は両群で同様であった。
3. Adding Doxycycline to Therapy for Early Syphilis in Persons with HIV
BPG単独(単回投与)投与されたHIV患者と、クラミジアの重複感染と診断され、BPGとドキシサイクリン(後者は7日間投与)を投与された初期梅毒治療後の血清学的転帰をレトロスペクティブに検討。患者はほぼ男性で、抗レトロウイルス療法を受けており、CD4数の中央値は600cells/mm3、ウイルス量は検出不能であった。血清学的奏効(12ヵ月目におけるRPRの4倍低下)は、BPGとドキシサイクリンの併用療法を受けた群で79.5%、BPG単独療法で70.3%だった。