わたしの「同居人」について
2021年1月から再びメキシコで生活することになったのですが、タイトルにもあるように私の同居人について。
同居人というと響きはいいのですが、私がただ居候させてもらっているようなもの。
同じ福岡出身というご縁でよくしてもらっている、メキシコ歴60年以上の「おじいちゃん」の話(スペイン語でおじいちゃんはAbuelo:アブエロと言います)。
このおじいちゃんも知り合いのつてでメキシコに来たそうですが、当時は終戦後で日本には何もなかった時代。
メキシコに来るのも今と違って船便で30日くらいかけて来たそうです。
今では飛行機の直行便があるので12時間ほどで日本まで行けますが、ケタが違います、、。
以前は事業をされていたそうですが、今ではメキシコ人の子どもや日本人・日系人の子どもたちに対して書道を教えている習字の先生です。
(最初の写真もおじいちゃんからいただいたもので、なんでも侍スピリットとはこういうものだと教えてもらいました。)
「仁」-Virtud:おもいやり、いつくしみの心。 「義」-Ser feliz:正しい道。利害を捨て、公共のために尽くす気持ち。 「禮」-Respeto:敬う。敬意を払う。 「智」-Sabiduria:物事をよく知り、わきまえている。 「信」-Confianza:疑わない。嘘をいわない。
こんなおじいちゃんですが、一緒に暮らす中でこの方の生活を見ていくと実に面白いことがわかりました。
①目覚めてベッドの上で30分かけてゆっくり体を起こす。その後ストレッチ。
②食事は朝10時と夕方5時の2食の生活をもうかれこれ10年以上
③昼間はゴルフの練習や習字の練習をする
④スポーツは全般観る
⑤就寝前は読書をする
おじいちゃんはこのような感じの生活をしています。
最近「空腹が体によい」や「オートファージー」ということをよく耳にしますが、おじいちゃんは知らないうちから自分自身の食事のことを考えて、行動していました。
「自分は現役じゃないし、そんなにお腹が空かないから食べない」や「今日はゴルフでよく動いたから、お腹が空いてる」とその日の体調に合わせて調整しています。
これは日頃からよく自分の体を観察しているということではないでしょうか。東洋医学の視点から見てもとても素晴らしいことだと思います。
またすごいなと思うことは、自分の知らないジャンルをどんどん吸収しようといろんなものを読んだり聞いたりします。
いつも読書をしたりYoutubeをみたり、若造のわたしの話にも耳を傾けてくれますし、けっして頭ごなしに否定することはありません。
物事をいつも”違った角度”からみているような感じで、「それはこんな風にも言える?」や「これとこれは繋がっているの?」など裏と表、両方からみる習慣がついているような気がします。
向上心や好奇心はいつまでたってもその人を若々しく、生き生きさせるんだなとおじいちゃんをみているといつも思うのです。
そしていつも私に哲学的なことを教えてくれます。
「そんなに急いでどうすんの?長い人生の中でそんな急いで変わるもんでもないよ。気長にいきなさい」や「この歳になるとだんだん仏教の考えに興味が出てきて、お前も若いうちから少しずつ勉強しておきなさい。」と言われます。
自分が経験せずとも人の経験をそのまま聞ける、ましてやこんな色んな経験をしてきた人の人生や人生観をいつも聞けるこの環境がとても有難いです。
【歳月人を待たず】
中国の詩人の言葉ですが、「若々しい時はもうもどってこない。人も鳥も植物も一生一回、生命一個、生と死の間の人生劇場で、脚本はなし。どう演じるかどんなセリフを言うかも自分次第。一刻も早く、自分が何者かをとらえ、ほんものの人生を送る」
といったことを書かれてました。
おじいちゃんの話を聞いたり、いろいろ見ているうちに、人生の意味や自分に与えられた役割を早く見つけたいなと思う今日この頃でした。
以上。