2022 WEEK14 NYJ@Buffalo Bills

先週Bearsに敗れて7勝5敗に一歩後退したJets。今週はまたまた敵地でAFC EASTの首位を走るBillsとの一戦。プレーオフ争いはまだ混沌としているが、現状11勝6敗ならほぼ大丈夫、10勝7敗なら微妙、という感じ。となれば、今週含めて3勝2敗が最低ラインとなりそう。
この後はDET、JAX、MIA、SEAと続くので、ここでBillsに勝てばかなり有利に進めそうなのだが、Billsとしてもホームで負けてJetsにスイープされるわけにはいかないし、プライドを賭けて立ち向かってくるだろう。

ゲームプレビュー

先々週からスターターとなったQBのマイク・ホワイトだが、実は昨年の第10週のこのカードにも、故障したザック・ウィルソンの代役として先発した。そのゲームではBills守備陣の前に4INTを喫し、チームも17-45と大敗…。まあ、昨年のWR陣と言えばコーリー・デイビス、キーラン・コール、ジャミソン・クラウダーに新人のイライジャ・ムーアという面子だったのだが。
オフェンスでは、ホワイトが昨年の悪夢を払拭し、ギャレット・ウィルソンを中心として一新されたWR陣の能力を引き出すことができるかどうかが第一のポイントとなるだろう。
また、先週ジェームズ・ロビンソンに代わってプロ初出場を果たしたRBゾノバン・”バム”・ナイトが、今週はスターターとなった。OTとOTの間を駆け抜けるパワーランナー（ワンカット・バック）としての才能の片鱗を見せたナイトが、極寒のバッファローでどのような走りを見せるのかも見どころだ。
ディフェンスは、今季第9週の対戦（Jetsのホームゲーム）でBillsのQBジョッシュ・アレンから2つのインターセプトを奪い、5サックを浴びせて、18/34の183ヤード（パサーレイティング46.8）と今季最低の成績に抑え込んだ。このゲームでも、クウィネン・ウィリアムスを筆頭に、DLがBillsのOLをどこまでコントロールできるか、そしてBillsのエース・レシーバーであるステフォン・ディグスをCBのD.J.リード、ソース・ガードナーが抑え込めるかが大きなポイント。そして前回の対戦で86ヤードを走られたジョッシュ・アレンのランもきっちり止めなければならない。

1Q

雪交じりの雨の中、ゲーム開始。気温は2.8℃で冷たい風が吹き抜けている。Jetsがコイントスに勝ち、ディファー。まずはBillsの攻撃となるが、簡単にスリーアンドアウト。パントを蹴るが、このパントをリターナーのベリオスがキャッチせずにスルー。Billsに有利なバウンドとなり、Jetsゴール前2ヤードで押さえられてしまった。これはせめてフェアキャッチしないと。
で、自陣2ヤードからJetsの最初のシリーズ。ホワイトからウィルソンへのパス、ナイトのランで2つ1stダウンを取ったものの、コーリー・デイビスのファウル（フォルス・スタート）もあって結局ストール。ブレイデン・マンのパントはいまいち当たりが悪く40ヤードしか飛ばない。さっきのベリオスといい、今日はスペシャル・チームの調子が今一つのようだ。この天候だし、今日のゲームはロースコアのフィールド・ポジション争いになる可能性が高い。スペシャル・チームの出来が悪いと不安だ。
その後もお互いにパントを繰り返し、1Qは両チーム無得点で終了。最後のプレーでクウィネン・ウィリアムスが今日最初のサックを決めた。

2Q

2Qに入っても、お互いオフェンスが低調でパント合戦の様相。
BillsのOLはJetsのDLに圧倒されており、パスは通らずランも進まない。OLのペナルティも多くなっている。唯一、アレンのスクランブルは相変わらず脅威だが、いつもの爆発的な攻撃力とは程遠い。ちなみにBillsが4ポゼッション連続でパントを蹴るのは2019年以来3回目で、相手はいずれもJets！だそうな。
一方のJetsオフェンスも、ナイトが時折切れ味の良いランを見せるものの、ドライブが続かずこちらも4ポゼッション連続！のパント。雨が降り続く中、ホワイトもパスのコントロールには苦労しているようだ。
さて、残り8分34秒でJetsのパントをナイヘイム・ハインズが23ヤードリターンしてハーフラインから攻撃権を得る。1stダウンはTEノックスへのショートパス。このプレーでクウィネン・ウィリアムスが負傷…。しばらく起き上がれず、左足を抱えて倒れている。リプレイを見ると、いわゆるノンコンタクト・インジャリーだ。うわー、これは最悪。下手するとアキレスかも…。現在のJetsのベスト・プレーヤーとも言えるクウィネン。このゲームでも既に2サックを決めている。このままいけばプロボウルだけじゃなくオールプロも有力なだけに、ケガだけは勘弁して…。なんとか自力で立ち上がり、足を引きずりながらメディカルテントへ。自力で歩けてるので最悪の事態は避けられたかも。
さてゲームの方は、ゲーム開始から両チームで10連続パント（2016年以来！）と重い展開が続き、前半残り1分17秒、自陣39ヤードからのBillsの攻撃はフォースダウン1ヤード。ここでBillsはパントチームを送り込まずにハードカウントでディフェンスのオフサイドを誘う手に出た。よくある見え見えのトリックなので、まさかこれに引っかかるはずもない…と思いきや、♯57がなんと相手センターを越えて飛び込んだ！そんなアホな。リプレイを見ると、QBのアレンはショットガンの位置におり、TEのノックスがモーションのあとアンダーセンターに入ってスナップを受ける「恰好」をしている。C.J.モスレーはこれを見て、ノックスがQBスニークすると勘違いして飛び込んだのだろう。それにしても大ボーンヘッド。ベテランLBでチームの精神的支柱でもあるモスレーがするようなことではない。これでBillsはしてやったりの1stダウン獲得だ。
ここからBillsのハリーアップ・オフェンスが進みだし、残り34秒でJets陣24ヤード。アレンのパスは右サイドライン際を走るTEノックスへ。10ヤード地点でパスをキャッチしたノックスが、最後はセーフティのホワイトヘッドを飛び越える形でエンドゾーンに飛び込みタッチダウン。やれやれ。モスレーのペナルティはマジで高くついた。
前半はこのまま終了し、7-0でBillsのリード。

前半はとにかく両チームともオフェンスがさっぱり。天候の影響もあるし、双方のディフェンスが頑張っているとも言えるが、ほとんど見せ場がなかった。予想通りのロースコアで、フィールド・ポジションを争う展開となっているが、こういうゲームではスペシャル・チームの出来が勝敗を左右することも多い。そしてターンオーバー争い。前半はゼロだったが、雨の中ファンブルの可能性は高まる。
Jetsとしては、なんとか前半は0-0で折り返し、後半の勝負所で相手のミスを誘って得点を挙げ、強力ディフェンスで逃げ切りたかったところ。前半終了間際、逆に痛いミスで得点を与えたのは誤算だが、早い段階で追いつければ十分チャンスはある。クウィネン・ウィリアムスのケガは痛いが、これ以上の失点を防いでオフェンスの奮起を待ちたい。
後半はJetsのレシーブからスタートする。

3Q

Billsのキックオフをベリオスが24ヤードリターンし、自陣28ヤードから攻撃開始。このシリーズはホワイトがいくつかいいパスを通してモメンタムをキープした。まずは自陣26ヤードからのサードダウン12。ホワイトから右サイドラインへとアウト・ブレイクしていくウィルソンへのパス。キャッチしたウィルソンがラインを越えてから、BillsのFSポイヤーにタックルされるがノーファウルの判定。これはあかんやろ。2ステップしてるし。Jetsのブースが映ったが、OCのラフラーもご立腹のよう。
そして3プレー後、今度はサードダウン10でベリオスへのパス。これまた難しいパスで、2人のディフェンダーにはさまれたタイトなウィンドウの中、ここしかないというピンポイントにボールを投げ込んだ。ベリオスも雨の中、キャッチしにくいバックショルダーパスを上手く掴んで25ヤードのゲイン。これでBills陣36ヤードに到達した。
さらにデンゼル・ミムズ、TEウザマへのパスが通ってBills陣13ヤードからの1stダウン。ホワイトからのハンドオフを受けたバム・ナイトが、Billsのタックルをかわしてエンドゾーンへ。プロ入り後初めてのタッチダウン！
このドライブでは、解説のトニー・ロモも、「Wow！Big time throw！」「He has It！」などとマイク・ホワイトを絶賛していた。「正確性（Accuracy）、判断力（Decisiveness）、予測力（Anticipation）を兼ね備えたいいQBだって。7-7のタイスコア。ゲームが動き出した。

次のBillsのシリーズ。アレンからステフォン・ディグスへの短いパスが通り、これをディグスがJets陣43ヤードまで32ヤードのゲインとする。さらに、WRシャキールへのパスプレーでJetsのニッケル・コーナーのマイケル・カーターⅡがインターフェアランスを取られて20ヤードのペナルティ。JETS陣17ヤードでの1stダウンを許してしまう。やはりクウィネンが抜けた影響は大きいようで、パスラッシュにも前半のような迫力がなく、DB陣への負担が増している。最後はアレンに5ヤードのスクランブルを許し、タッチダウン。7-14と再びリードを許す展開に。
なんとか早く追いつきたいJets。次のシリーズではナイトのラン、ミムズへのパスでハーフラインでの1stダウンを獲得。しかし次のプレーでホワイトがBillsのLBマット・ミラノに強烈なタックルを受けて立ち上がれない。ノーフラッグ。確かにクリーンなタックルではあったけど、これが反則でないなら第8週のNE戦で、JFMがラフィング・ザ・パサーを取られたプレーは一体何だったんだろう。ホワイトはこのゲームの前半でも同じようなプレーで負傷し、控えQBのジョー・フラッコと一時交代したが、2プレー後に復帰している。おそらく同じ個所（肋骨？）だと思われるので、これはもうダメかも。またまたフラッコが登場したが、その最初のプレーでグレッグ・ルーソーにストリップ・サックされてファンブル！これをダクワン・ジョーンズにリカバーされてしまう。嫌な場面で嫌なターンオーバー…。フラッコもしっかりしてくれよ。来週からバックアップQBはザック・ウィルソンでしょ。

さて、Jets陣44ヤードからBillsの攻撃となった。ここでもう一本取られると、精神的にもダメージが大きいし、モメンタムが一気にBillsに傾いてワンサイドゲームになる可能性もありそうだ。はらはらしながら見ていたが、ここはJetsディフェンスが奮起。相手の反則もあり、なんとかFGの3点のみに抑えるが、7-17となってBillsに2ポゼッションのリードを許す。
次のJetsのシリーズは反則もあってスリーアンドアウトとなり、そのまま3Qも終了。

4Q

いよいよ最終クォーター。自陣48ヤードからのBillsの攻撃でスタート。RBシングレタリー、クック、アレンとランプレーを続けてJets陣29ヤードまで進まれるものの、アレンのデザインドランを止めてフォースダウン。FGにとどめた。ここでなんとマイク・ホワイトが再びフィールドに現れ、Jetsファンからは歓声が。トニー・ロモも驚いていた。「見てよ！ヘルメットをかぶってる。『闘うダニエル・ラルーソー』（カラテ・キッドの主人公）だね！思いもしなかったよ」
Billsのキッカー、マーティンが再びFGを決めて7-20。13点差に広げられる。残り時間は12分28秒。まだ焦ることはないが、次のシリーズではなんとしても得点が欲しい。

Jetsはフラッコに代わりホワイトがQBに。相当ダメージを受けたはずだけど、すごい闘争心だ。自陣25ヤードから、ウィルソン、ミムズ、イライジャ・ムーアへとパスを投げ分けて、Bills陣47ヤードまで前進。しかしここでホワイトがサックされて11ヤードのロス。サックしたのは昨年途中Jetsにリリースされ、Billsと契約したシャック・ローソンだった。
結局このシリーズもパントに終わり、残り8分26秒でBillsに攻撃権を渡す。そろそろ厳しくなってきたかな…と思ったが、ここでディフェンスが意地を見せる。アレンのパスが2度不成功となってあっさりスリーアンドアウト。よし、もう一度流れを引き戻せるぞ。
その次のプレー、自陣9ヤードからのBillsのパントをジャーメイン・ジョンソンがブロック！ドラフト1巡指名ながら、ギャレット・ウィルソンやソース・ガードナー、ブリース・ホールたちの陰に隠れてここまであまり目立ってこなかった。エッジ・ラッシャーとしての活躍は今後に期待だが、スペシャル・チームでビッグプレーを決めて見せた。欲を言うなら、ブロックしたパントをエンドゾーン内で押さえることができてればなあ。ともあれ、セイフティとなって2点を獲得。9-20と11点差につめる。2スコア・ゲームだ。

一気にモメンタムを引き寄せたいJets。次のシリーズ、自陣20ヤードからのBillsのフリーキックをベリオスが20ヤードリターンして、自陣37ヤードからの攻撃スタート。ウィルソンへのパス、ナイトのランなどでBills陣28ヤードまで進んで1stダウン。残り時間はまだ5分以上あるので、このシリーズでTDできれば流れはこっちのもの。ディフェンスも好調だし、逆転も十分可能だ。
その次のプレーはマイケル・カーターへのハンドオフ。最近はナイトの陰に隠れてちょっと元気のないMCだが、昨年はルーキーながらエースランナーとしてチームを引っ張っていた。ここで意地を見せてほしい！と思ったとたん、Billsのセイフティ、ハムリンにボールをはじき出されてファンブル！これをミラーノにリカバーされて2つ目のターンオーバー…。これは痛い。

昨年までのJetsなら、ここでギブアップしていただろう。しかし、今年のチームは決してあきらめないし、既にそれを第2週のBrowns戦や第4週のSteelers戦で証明している。
次のBillsのシリーズを、またもやスリーアンドアウトに抑え込み、パントを蹴らせる。自陣36ヤードから、仕切り直しの攻撃開始だ。残り時間は3分13秒。コンクリン、ムーア、ウィルソン、そしてマイケル・カーターへとパスを通して敵陣ゴール前9ヤード地点でのサードダウン、残り1ヤード。ベリオスへのパスは手を弾いてインコンプリート。フォースダウンとなる。解説のロモは、「ここでFGを蹴る人もいるだろうが、俺ならギャンブルするね。FGで3点取って、相手をスリーアンドアウトでパントを蹴らせ、もう一度TD県内までドライブしてくるのは至難の業だ。勝つためには、ここでTDを取って2ポイントコンバージョンを決め、次のシリーズでFGを目指す方が遥かに楽だ」と言ってるけど…。サラHCはズーレインのFGを選択。12-20のワンスコアゲームに持ち込む。
残り時間は1分18秒、タイムアウトは3つとも残っている。

さて、ゲームもいよいよ佳境だ。逆境に強い今シーズンのJetsだが、奇跡を起こすにはまずディフェンスから。アレンのパス不成功のあと、ランプレーを2つ続けて止めてフォースダウン5ヤード。見事にスリーアンドアウトに追い込んだものの、タイムアウトも2つ使って残りは1つだ。
おそらく最後のシリーズ、Jetsは自陣21ヤードからの攻撃。残り時間は46秒、タイムアウトは1つ。ホワイトはマイケル・カーター、ベリオス、ギャレット・ウィルソンにパスを試みるが、いずれも失敗。さすがにBillsのディフェンス陣も必死だ。土壇場に追いつめられたフォースダウン10でのパスは、無情にもスクリメージライン上でBillsのDEエペネサに叩き落とされ、万事休す。20-12でBillsが第9週の雪辱を果たした。

ゲームレビュー

これで7勝6敗。
先週のVikingsに続き、地区首位を走る強豪との戦いとはいえ、ここでの連敗は痛い。
今日の敗因は、やはりターンオーバーだろう。フラッコといい、マイケル・カーターといい、チームが勢いづいて乗っていこうというタイミングでのファンブルなので、ダメージが倍増する。確かに冷たい雪交じりの雨の中、ハンドリングは難しかっただろうが、当然相手も同じ条件だし言い訳にはならない。
また、2度にわたるホワイトの負傷につながった、パスプロテクションの甘さも気になった。アサインメントのミスなのか、コミュニケーションエラーなのか、いずれにせよあれだけフリーで漏れてきたらQBはどうしようもない。今日の解説のロモも、現役時代にRBがブリッツをピックアップし損ねて、フリーでタックルされ、シーズンを棒に振るケガをしたことがある。誰よりも怖さを知る男の一人だが、マイク・ホワイトの勇気とタフネスを称賛してはいたものの、即ケガに繋がるミスについては厳しく指摘していた。
一方のディフェンス陣は、クウィネンの負傷退場にも関わらず、今日も大健闘だった。Billsを僅か232トータルヤードに抑え込み、アレンは16/27の130ヤード。ラッシングでもアレンの10キャリー47ヤードが最高と圧倒した。C.J.モスレーのボーンヘッドはあったものの、立派な成績だったと言えよう。

ゲームには敗れたが、その中でもホワイトの勇気、タフネスと献身的なリーダーシップは素晴らしかった。終了後のインタビューで、ギャレット・ウィルソンは「彼は仲間たちのために自分の全てを賭けている。俺も同じことをするよ」、マイケル・カーターは「奴は戦士だ。奴とプレーするのは楽しいよ」と語っている。Jetsがプレーオフ争いにとどまる限り、ホワイトがスターターから降ろされることはなさそうだ。

シーズンも終盤にかかり、どのチームも負傷者続出で苦しんでいる。中でもJetsはこれまでもOL中心にスター選手を含めて痛手を被ってきたが、今日新たにクウィネン・ウィリアムスがリストに加わった。まだケガの程度は分からないが、長期離脱となれば計り知れないダメージだ。どうか軽傷でありますように。

冒頭に書いたように、10勝7敗がプレーオフ進出の最低ラインだとすると、残り4試合を3勝1敗で乗り切らなければならない。というか、ここから既にプレーオフが始まってるような感覚で、一戦必勝で臨むしかないだろう。道のりは確かに厳しいが、サラHCは、「彼ら（Bills）とはもう一戦交えることになるだろう」と、初めてプレーオフへの自信を見せた。「我々はプレーオフに十分値する。もちろん毎週毎週目の前の戦いだけど、いいチームになったよ」
来週は後半戦に入って見違えるように調子を上げてきたLionsとの戦いだ。厳しいゲームになるのは承知の上。最後まであきらめないチームこそ勝利に値する。
Go Jets！