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2022 WEEK15 Detroit Lions(前半)
今シーズンもいよいよ最終盤を迎えて、プレーオフ争いから目が離せない。Jetsが最後にプレーオフに進んだのは2010年シーズン。そう、レックス・ライアンHCとマイク・タネンバウムGMのコンビで、「Core4」と言われた4人のスター選手(ダレル・レービス、ニック・マンゴールド、デブリックショウ・ファーガソン、デイビッド・ハリス)を中心に2年連続AFCのチャンピオンシップゲームに出場したのが最後なのだ。現在、NFLで最もプレーオフから遠ざかっているJets。なんとか残り4戦全力を尽くして、ワイルドカードの最後の1枚を掴んでもらいたい。
ゲームプレビュー
先週のBills戦で肋骨を痛めた(亀裂骨折)マイク・ホワイトが欠場し、ザック・ウィルソンが再びスターターに返り咲いた。3週間のオフがザックにどのように影響を及ぼしたかが、ゲームの帰趨を決するだろう。ザックがスターターから降格されたとき、サラHCは「基本的な動作(投球フォームやフットワークなど)が崩れており、一度リセットした方がいい」と語っていた。3週間でこの大きな課題は解決したのか?していなければ、再び同じミスを繰り返すことになるだろう。ザック本人は、「フットボールをプレイする楽しみを再発見した」と言っているが、メンタル面での復調も不可欠だ。
Jetsにとっての痛手は、ホワイトだけではなくオールプロ有力のDTクウィネン・ウィリアムスとWRのコーリー・デイビス、FSのラマーカス・ジョイナーが負傷欠場することだ。フットボールにケガはつきものとは言え、この大一番で主力4人が欠けるのは痛すぎる。こういう時こそチームとしての総合力、ロースターの厚みが問われるわけだが、彼らの穴を埋めることはできるのだろうか。
一方のLionsは1勝5敗のスタートから、6勝7敗まで盛り返してきており、今NFCで最もホットなチームと言ってもいい。ディフェンスは、パスが30位、ランが26位といまいちだが、QBジャレッド・ゴフ(元LA Rams)を中心としたオフェンスが絶好調で、1ゲーム平均3.2個のTD(リーグ4位)を奪っている。(ちなみにJetsは2.1で22位)
前回の対戦は、2018年の開幕戦。そう、サム・ダーノルドのデビュー戦だ。この時は、ダーノルドが2TDパスを決め、守備陣はLionsのマシュー・スタッフォードから4INT!(うち一つはダロン・リーのピック6)を奪い、スペシャル・チームのアンドレ・ロバーツが78ヤードのパント・リターンTDなど、48-17で圧勝している。さすがにそこまでは望まないが、とにかく勝ってほしい…。
1Q
Jetsのキックオフで試合開始!
OPドライブで、Lionsのゴフのパスが面白いように通り、あっという間にJetsゴール前7ヤードで1stダウン。しかしここからJetsディフェンスが踏ん張り、Lionsのランプレーを3つ連続でストップしてフォースダウンでゴール前1ヤード。ゲーム開始直後だし、まずはFG蹴るかな、と思っていたら、さすが強気のダン・キャンベルHC。ジャマール・ウィリアムスに持たせてTDを狙うが、LBクィンシー・ウィリアムスとSのウィル・パークスが見事にストップ。14プレイ、8分5秒を費やしたLionsのドライブは、結局無得点で攻守交替となった。
これでやれやれと思ったのがいけなかったのか、自陣ゴール前1ヤードからのJetsの攻撃は、あっさりスリーアンドアウトに終わってしまい、自陣2ヤード地点からパントを蹴る羽目に。ここのところ不安定なパントが目立つブレイディ・マンだが、ここでも大チョンボ。エンドゾーン奥深くから蹴られたパントはラインドライブ気味に低い弾道で飛び、Jets陣47ヤード地点でLionsのリターナー、カリフ・レイモンドがキャッチ。カバーが遅れてタックルも甘くなるJets選手を次々に躱し、なんと47ヤードのパントリターンTD!なんやねんこれ。さっき折角ディフェンスが頑張ってゴール前で耐えたのに、あっさり得点されてしまう。0-7で早くも追いかける展開に。
次のシリーズ、Jetsの攻撃は、ギャレット・ウィルソンへのパスがインターフェアランスを誘い、デンゼル・ミムズへの短いスラントが決まって1stダウンを2回更新。しかしこのプレーでミムズの頭に相手の膝が入ったようで、ミムズはメディカル・テント行き。結局コンカッションプロトコル入りとなり、ミムズはたったの4プレーでフィールドを去ることになってしまった。結局このシリーズはパントに終わる。先週からスターターに昇格したRBナイトが、2回走っていずれもノーゲインと精彩を欠いているのが気になるなあ。
次のLionsの攻撃を1stダウン更新1回に抑えて再びパントを蹴らせる。クィネンを欠いたDLにはいつもの相手を圧倒する迫力はないものの、爆発力のあるLionsオフェンスをここまでよく抑えている。サードダウン・ラッシャーのブライス・ハフは今日も好調のようで、ジャレッド・ゴフにプレッシャーを与えてパスを通させない。
自陣22ヤードからナイトが左のオフタックルを抜けてなんとか5ヤードゲインしたところで1Qは終了。0-7でLionsにリードを許している。
2Q
最初のプレーはギャレットへのパス。プレッシャーを受けて右にロールアウトしたザックだが、走りながら冷静にダウンフィールドを見ていた。右サイドライン際でフリーになったギャレットを見つけ、見事なパスを通して33ヤードのゲイン!Lions陣40ヤードまで前進する。
次のプレーはザックの真骨頂だった。プレイアクションから、左にロールアウト。そこからフィールドの逆サイドを走るTEウザマにロングパス!見事にキャッチし、するするとエンドゾーンに走りこんでTD!エクストラポイントも決まって7-7の同点に追いついた。
このプレー、ザックが2年前のBYUのプロ・デイで見せて、アナリストやファンを唸らせたパスと同じだ!右利きのQBにとって、左にロールアウトしながら右のサイドラインに投げるのは、体の使い方が逆になるので相当難しいパスになるのだが、プロ・デイのときと同じくザックは軽々と決めて見せた。こういうスーパープレイをやってのける能力を持ちながら、簡単なスラントを投げ損ねたり、スクリーンを通せなかったり、当たり前のことができないのはなぜなんだろう。NFLのフランチャイズQBに求められるのは、時たま見せるスーパープレイの片鱗ではなく、コンスタントに安定した能力を発揮し、プレーブック通りのプレーを確実に決めることだ。コーチ陣やチームメイトがマイク・ホワイトを評価するのは、こういう点でザックより優れているからに他ならない。ともあれ、ウザマにとってもJets移籍後初めてのTD。シーズン最終盤の勝負所で調子を上げてきてくれるのは心強い。
次のLionsのシリーズ。ゴフがショートパスをポンポンと決めて、Jets陣45ヤードからの1stダウン。ゴフのターゲットはポストルートを走るWRジェイムソン・ウィリアムズだ。マンカバーしていたCBのD.J.リードは抜かれて2ステップ差で追いかけている。これはやられた。TDかな…。と思ったが、最後の最後でリードが驚異的なリカバー!左手を差し込んでボールをカットした。ゴフのボールがわずかにアンダースロー気味だったのも幸いしたが、信じられないようなスーパープレイだ。NFL選手の身体能力は凄すぎる…。
3プレー後、Jets陣38ヤードでフォース・ダウン残り3ヤードとなり、Lionsはギャンブルを選択。ここでゴフが見事に12ヤードのパスを決め、26ヤード地点まで前進。さらにRBジャクソンへのパスでJets陣11ヤードからの1stダウンを得た。同点に追いついた次のシリーズでまた突き放されるのは痛い。なんとかここで止めないと、と思った途端にジャクソンが右タックルを突破してエンドゾーンへ。クウィネンがいないせいだけではないだろうが、ラン・ディフェンスがいつもの姿ではない。
しかしなんと、このプレーでLionsにホールディングの反則があり、TDは取り消し!ラッキーだとしか言いようがない。その後も、Lionsオフェンスに反則があり、結局FGの3点のみに抑えることができた。やれやれ。
7-10でLionsが再び3点のリードとなる。
次のシリーズは、お互いパントの蹴りあいとなり、残り25秒からJetsの攻撃。ボールは自陣19ヤード地点で、タイムアウトは2つ残っている。このままニーダウンして7-10で前半を終わっても、後半はJetsの攻撃から始まる。どうするのかなと見ていたら、サラHCはアグレッシブに行く選択をした。
最初のプレー、ザックから、ミムズに代わって入っていたWRジェフ・スミスに50ヤードのパス!これで一気にLions陣内31ヤードまで進んだ。さらに次のプレーもサイドライン際のスミスへショートパスを通し、相手陣16ヤードでの1stダウンを獲得!残り時間は12秒。FGを蹴るまでに、あと1プレーか2プレーはできるし、あわよくばTD!と祈ったものの、ザックのパスは通らず結局ズーレインが34ヤードのFGを決めて、10-10のタイスコアで前半終了。
しかし、残り25秒からよく同点に追いついた。このモメンタムをそのまま後半に繋げていきたい。
ハーフタイム
前半は10-10のタイスコアで終わったが、Lionsはオフェンスの得点は3点のみ。クウィネン・ウィリアムズを欠きながら、Jetsディフェンスは健闘していると言えるだろう。サラHCの方針で、DLはローテーションさせて常にフレッシュに保つようにしていたため、スターター以外の選手層が厚くなっているのも役立ったようだ。
一方のオフェンス。スターターに復帰したザック・ウィルソンの出来が注目されたが、前半はまずまずだった。相変わらず簡単なパスを失敗することもあるが、ウザマへのTDパスや、前半終了間際のジェフ・スミスへのパスなど、本来持つ能力の高さを伺わせるプレーもあった。もう少し浮き沈みを減らしてプレーに確実性が増せば言うことないのだが、それでザック本来の魅力が失われるのも困る。コーチ陣も悩ましいところだ。
前半は、トータルYDSで193-190、1stダウンで9-10とほぼ互角。ラッシングが21ヤードと出ていないのが気になるが、その分ザックに頑張ってもらわないと。