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ひとり広報の奮闘記
2024年1月。
和歌山ウェイブス広報の役職へと就任。
誰かが歩き方を教えてくれるわけでもない。
エスカレーターやスロープのように、勝手に前進・上昇することもない。
右も左もわからないまま飛び込んだこの道は、自分の足で歩く以外に前へと進む術はなかった。
ずいぶんと平坦な道を歩んでいた。
それなのに転落しかけた時期もあった。
歩き方がわからないと、駄々をこねた日々も多々。
人を頼りに道標へと縋ろうとするその心意気は、いつまで経ってもはじめの一歩を踏み出せない。
“自分の道を切り拓け”
気がついたのはシーズンも中頃を過ぎてからだった。
新しいことに挑む勇気。
我慢して我慢して積み上げていくのも一つの勇気。
どちらにも共通して言えることは“行動=正解”だということ。
今までかかっていた“不安”という靄が全てクリアになった瞬間、一切の迷いが取り払われた。
寝る間を惜しんで頑張ってみた。
いや、頑張りちぎってみた。
置かれた現実から目を背け、隣の芝の青さを羨むことをやめた。
周りを気にせず自分の畑を耕すことを始めてみた。
すると目の前には立派な土を揃えた庭が広がっていることに気がついた。
視野と思考を分散させてはいけない。
文字通り“集中”して目の前の事象に立ち向かう。
人の顔色は伺わないし、気にしない。
自信を持って自分の庭を育てることに注力した。
自分の武器を一つでも増やし、手に入れた武器はさらなる高みへと進化させることに全力を尽くす。
広報はサポート・裏方なんかじゃない。
最前線で戦うべき人間なんだということに気づかされる。
次第にこの頑張りは楽しみへと変わっていた。
誰よりも動き続け、誰よりも先を見据える。
今の自分では到底足元にも及ばない存在に、僕の心は動かされた。
少しでも近づけるようにと加速してみる。
走り過ぎて心配の目が増え始めても、そのスピードは緩まない。
立ち止まっている時間の何百倍も楽しいから。
行き帰りのバスでひたすらパソコンを打ってみる。
閉店時間までマクドナルドに籠ってみる。
知らない店や会社に飛び込んでみる。
ひたすらシャッターを押してみる。
とりあえず動画をあげてみる。
常識や普通を覆す。
圧倒的時間を費やしてみる。
2024年9月。
気がつくとシーズンが終わっていた。
波風も立たず、穏やかだった波の音。
いつの間にか周りを巻き込むほどの波紋へと広がった。
目に見えなかったものを作りあげ、形となった時には認めてくれる声も上がった。
今ではそれを待ち望む声すらも上がっている。
人の心を動かしている証拠だろう。
積み上げたものを振り返ってみる。
そこにはやはり、今までとは違った世界が広がっていた。
自分が成長したことを実感した。
この成長は何よりも自信へと繋がった。
自信は表情を変えるのだろう。
周りに及ぼす影響もプラスの幅が増えてきた。
グランドは面白い野球を繰り広げる。
その魅力を僕が広める。
届けられた人はその魅力に心が躍る。
三方よしとはまさにこのこと。
そんな盛り上がりと成長を感じ始めた頃での閉幕は、やはり物足りなさすらも感じさせる。
“あっという間だった”
選手・関係者の誰もが口にするこの言葉。
確かにそう感じる部分もある。
しかしそれ以上に“早く来シーズンを迎えたい”。
こんなに面白い野球・エンタメが来年は開幕から始められるのだ。
目まぐるしく過ぎているこの日常。
シーズン中となんら変わりないこの生活に、飽きや疲労は否めない。
しかしそれすらもどこか楽しみを覚えている。
寂しく思っている暇はない。
目の前のチャンスをモノにできる人は“今”を一生懸命生きている人のみ。
過去や未来を生きている人は、転がっている好機に気づかず終わる。
選手たちは大きく成長した。
本当に良い野球を観せてくれた。
だけど広報はそれ以上に成長した。
一端の社会人へと成り上がった。
来年はより多くの人に、より多くの感動を。
和歌山ウェイブスの成長は終わらない。
これからも広報に乞うご期待。