福岡インディペンデント映画祭に参加して、『死仮面』
福岡インディペンデント映画祭
3日間の参戦を終え、無事に帰宅。
ミーハーでも、何でも無く、1番収穫のあった作品は、中村優一監督の 『死仮面 』だった。
まず驚くのは、脚本の作道雄がミステリー… いやサイコサスペンスと言っても過言ではないジャンルを手掛けてること。
脚本者名伏せて、全編観ても、まさか作道雄が脚本とは絶対分からないだろう。
岡本天音のような、ホンワカした雰囲気の主役が織りなすハートフルな日常を切り取る…
とか、全然ない!
「何で? 何で作道雄にこれを頼む?」
と、疑問に思っていたが舞台挨拶トーク中に中村優一監督から説明が。
「映画を撮りたい。
脚本を作道雄監督に(作品も撮られてます)お願いしたい」
と、ここで、書いてもらうなら、作道雄が普段書かないようなジャンルで脚本をお願いしたい。と、依頼したそう。
そこで今回の『死仮面』の作品世界になったという。
でも、書こうと思って書けるのか?
悔しいながら
「やっぱ、京大出た人は違うな」
と、思ってしまった。
ヒャダインといい、作道雄監督といい、京大出た人からひねり出るアイデアが凄すぎる。
来世は、絶対ちゃんと勉強して京大目指そうと思った。
と、学歴高いから脚本書けるというのは冗談だが、普段の作品との振り幅がデカすぎる。
例えるならば、フォークもロックも演歌まで歌いこなした忌野清志郎みたい。
あえて言おう、作道雄は、脚本界の忌野清志郎であると!
と、ここまでシナリオの話ばかり。
中村優一監督の話に移る。
まず、本編全編に英語字幕が付いていること。
初監督作品で、いきなり世界をちゃんと意識している。その高い心意気が受け取り側にも気持ちがいいし、作品からもその心意気の強さを感じられる。
また、主役の演技が乗ってる。
元々、こういう役がやりたいということで、中村優一監督、作道雄さんが作品の世界観を拡げたそう。
だから役者の演技が丁寧。
本編の物語上、乱暴に見えるかもしれないが、表情ひとつ、リアクションひとつ、全てに役者の演技に魂が乗っていると感じる。
だからこそか、受け手としての役者に、ベテランの 渋江譲二 を起用したのは、監督の最良の選択だと思う。
受け手が中途半端だと、成立しない物語じゃないかと思った。
舞台挨拶中は、中村優一監督が喋り倒す。
「この人、こんなに喋り立つんだ」
と、感心するくらい話を回していた。
そのくらい、この作品を人に届けたいんだと改めて受け止める。
これからドンドン作品を撮って、齊藤工監督と同じ、役者と監督を両立できる稀有な存在になってもらいたい。