『ヌーのコインロッカーは使用禁止』 『うさぎのおやこ』 別府ブルーバード劇場、舞台挨拶上映参加レポ
2024年9月28日、別府ブルーバード劇場に
『ヌーのコインロッカーは使用禁止』
『うさぎのおやこ』
2作品の、舞台挨拶上映参加。
珍しく登壇は、上西雄大監督おひとり。
また、少し感想が長くなったので、こちらにまとめてみました。
今年、福岡市在住中、kino cinéma天神で続編とは知らず、『宮古島物語ふたたヴィラ再会ぬ海』を観て、芝居のリズム、テンポ、構成の詰め込み方に違和感を感じていたので、ちょっと構えての参加。
しかし、2本とも内容、芝居の間、構成共々、非常にシックリ来る作品だった。
『ヌーのコインロッカーは使用禁止』は、主役の古川藍が、役を捉える解像度の高さに本当に驚いた。
構成も中々まとまっていて、山場の作り方も丁寧な印象。上映中、劇場内で鼻をすする音が、チラホラと聴こえて来た。
撮り方も1枚画を意識したカメラアングル、画作りだと感じたが、上映後の監督の話によると、まだ稚拙な技術での撮影だったと回想されていた。
もう1本の『うさぎのおやこ』は、出演の萩野崇さん目当てでの鑑賞。
まるで、浅倉威がそのまま社会に放り出されたかのような役柄で、萩野崇の笑顔が怖い怖い。また、特撮作品好きの監督の遊びなのか、クスッとするようなセリフも散りばめられてた。
出演は、上西雄大監督が、別名義で書いた脚本作品に出演していた萩野崇さんに、強い魅力を感じオファーしたとのこと。
調べてみると『織田征仁シリーズ』って、上西監督脚本で参加してたんだ!
嬉しい反面、少し萩野崇の役柄について考えてしまう。
2019年9月、小倉で萩野崇、谷口賢志両名が登壇するトークイベントがあり参加した。
劇団ジャングル第19幕。
そのトークのお題のひとつに
「お互い、どんな役をやらせてみたいか?」
というものがあり、普通の家庭の父親というのが共通した回答だった。
その時に、ゲーリー・オールドマンが『レオン』出演後、似たようなかなり危ない役柄のオファーが沢山来て、
「皆全然分かってない馬鹿ばっかりだ。俺は普通の父親役とかメチャメチャ上手いのに」
ってエピソードを谷口賢志が引用していたのが非常に記憶に残っている。
萩野崇の風貌から、役を選んでしまう難しさはあると思うが、少し違った角度の役柄を引き出せなかったかなと、贅沢にも考えてしまう。
そして、この『うさぎのおやこ』だけが、作品中の色々なトラブルや、継続中の状況を放りっぱなしで、唐突に終わってしまう。
広げた風呂敷を全然畳まないのだ。ちょっとこの作品だけ異質な感じを受け取ったまま、上映後の上西雄大監督のトークへと進んでいく。
上西雄大監督のトークで今作品2本に触れ、『ひとくず』と合わせて、この3作が3部作になるとか。『うさぎのおやこ』は、わざわざカメラマンを『ひとくず』を撮ってた頃のカメラマンを選んで撮ったそうだ。
今回上西監督、ひとりでの登壇だったためか、緩い雰囲気の中、かなり突っ込んだ裏設定まで話してくれて、これは今後の作品をカタチにする上で、心に留めておいた方が良いような内容ばかりだった。
その中で、レオン先生の設定、今後の展開の話を聞いた時に、『うさぎのおやこ』が、山場やトラブルを回収せずに唐突に終わる意味が分かった気がした。
こういう、ままならない出来事の積み重ねや、どうにもならない状況の連続が、今後のレオン先生の人格なり、人生をそちらの方向に導くのかなと。あえて、行き場や解決のない様な、シビアな現実の世界を作品に投影し、救いのあまりない展開や余白を意図的に残しておいた気がした。
かなり突っ込んだ内容の話が続き、西成ゴローについても語ってくれたのだけど…
たぶん、まだ言っちゃいけないはず。
『西成ゴロー』は、一昨年の湯布院映画祭と、別府ブルーバード劇場で観て、ちょっとだけ今後の展開、撮影のやり方について気になることがあった。
ブルーバード上映後、上西雄大監督と直接お話しできる機会があり、自分の気になる点について聞いてみると、続編でそれを解消できるような、ある人物の名前が上がった。
そのオファーや、作品への影響が、上手く軌道に乗っていれば、メチャメチャ期待出来るなぁと思いながらも、それは正規発表までの楽しみとして取っておこうと思った。
しかし、2020年の別府ブルーバード劇場での『ひとくず』での舞台挨拶上映参加の時もそうだったが、自分の状態が先も決まらず、フワフワしてる時の参加が多い。
この作品をキッカケに、顔を上げて前を向けるようになれば良いなと思いながら、感想をまとめてみました。
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