別府ブルーバード劇場、青柳尊哉ナイト参加レポ
別府ブルーバード劇場の熱烈的サポーター
青柳尊哉が、出演作、『美しすぎる議員』と『アイアンガール』
2作品を持っての舞台挨拶、上映が5月にありました。
Twitterのモーメントに上げてたものの、移行分です。
5月11日、別府ブルーバード劇場で、青柳尊哉さんの出演作、
『美しすぎる議員』『アイアンガール』の2本上映とご本人の舞台挨拶に参加したので感想等まとめました。
いつもよりも荒ぶって、『美しすぎる議員』の内容に踏み込みすぎている感が否めないので、ネタバレ嫌いな方はスルーでお願いします。
青柳尊哉、ブルーバードへ帰る
去年の11月に開催された、Beppuブルーバード映画祭以来になる、青柳くんの舞台挨拶有りの上映。今回は『美しすぎる議員』『アイアンガール』の2本立て。
前もって『アイアンガール』は、1作目、2作目と予習済みで参加、1本目は18:00から『美しすぎる議員』からの上映予定。
いつもの席にはすでに先客がおり、3列目の少し右寄りの席へ。
映画祭からブルーバードで良く会うようになった、APUの学生の男の子が隣の席。 東京遠征の報告と、牙狼原画展の撮影分見せたら、のたうち回っていた。
時間になると、青柳くんが一人で登壇。
え!?
司会をするはずの森田真帆さんが、まだ来てないので、一人で登壇して上映前のトークを始めるとのこと。昨日の『栞』で舞台に呼ぶはずの登壇者を忘れるわ、青柳くんの上映会の司会に遅れるわ、
モリタしっかりしなさい!
何分かして、いきなり舞台の下手から土下座をしているのか? 膝を床につけ這いながら入ってきた、司会の森田さん。
「申し訳ございません」
と腰が低いというより、貞子のように舞台中央へとにじり寄る。
そこから二人の上映前トークが始まった。
古くからの友人である二人のトークなので、上映作品の話からは大きく逸脱。
初めて会った時の作品からは、信じられないくらい演技が上手くなったという話題から、青柳くんの学生時代、上京の話におよぶ。
そのトークは、もはや舞台挨拶ではなく、ほぼ前説。
田舎の男の子あるあるや、親戚のお姉ちゃんを頼りに上京した特殊な状況など、かなり時間が押したんじゃないかなと思うが、映画に関する話は、おそらく2割も無かったのではないだろうか。
この後の予定では『美しすぎる議員』『アイアンガール』を上映後、再び、舞台上でQ&A方式のトークを行うとのこと。
別府ブルーバード劇場での舞台挨拶有りの上映時でも、質問やティーチインがあることは珍しいので、映画を観るのが俄然楽しみになった。
美しすぎる議員上映
上映は、いきなりブレブレのカメラワークから始まるので、戸惑った。
話が進むと取材のVTRであることが分かり納得。
青柳くん演じる村上が、制作サイドに調子を合わせるジャーナリストで
制作の要望のままゴシップ的な切り口で取材を進める。
あまり役柄に良い印象はない。
美しすぎる議員と呼ばれる『田中愛』は、社会的弱者のために、シングルマザーなどの貧困で困っている人々のために、政治家として力になりたいと日々活動している。
しかし、ストーリーが進むにつれて、観ていて、田中愛に違和感を覚える。田中愛の行動が腑に落ちない。
この映画は、かなり受け取る側が自由に解釈できる作品と思う。
少しづつ広がる田中愛への違和感に反して、制作側の要望に応えようと取材をしていた村上が、だんだん、田中愛の本質に迫ろうとしているように、本物のジャーナリストとして対象と向き合っていくように自分は感じた。
違和感が決定的になったのが、作品中の田中愛の
「芸能界に入ったときに、とうに女は捨てました」
というセリフ。
田中愛への違和感の原因を自分なりに納得した。
この議員は弱者を助けたいというわりに突飛なのだ。
相談に来た市民の立場になって行動しているとは思えない。
政治家としてこういう行動をしたら、人にどう印象を与えるか
という1点が、行動理由になっているのではないか。
「人の力になれなかった」
と嘆く自分の結果も込みで、政治家としての経験を積んでいるように見えた。
そして、この人が見ているのは、高みの権力を握ることのように思えてならない。ものすごく、綺麗なことを理想に掲げながら、笑顔の下でドス黒く笑っているように段々見えてきた。
逆に村上は、田中愛の本質に迫りたいが、なかなかたどり着けない、どうしてもたどり着きたいジャーナリストの顔に見えてくる。
ラストシーンが印象的で、村上と共に行動していたカメラマンが、先に戻る。その時に少し首を振ったように見えて、村上に言葉なく
「もうこれ以上、何もでてこないよ」
と伝えた気がした。
村上は自分の持っている小さいカメラで、最後にこの景色と一緒に撮影させてくれと、田中を撮る。
その村上の姿に、田中の本質に迫れず完敗したジャーナリストに見えた。
おそらく田中は、このまま国政に打って出て、最終的には内閣の主要メンバーくらいに登りつめる強かな政治家になるんじゃないかなと、個人的に感じる作品だった。
『アイアンガール』上映後、Q&Aがあるので、この時の役としての心情を聞いてみようと上映後思った。
前説で場を温めるふたり
アイアンガール上映
しばし休憩後、『アイアンガール』の上映。
アイアンガールは1作目、2作目と予習済み。
続編で予算が付いたのが分かり映像への質が上がっていく。
今回楽しみにしていた。
また、赤井沙希の演技がどうしても気になる。
親子比較がしたく『どついたるねん』もレンタルして観直した。
赤井英和という役者が、自分の中では不思議な存在だった。
一時期、テレビで赤井英和が出まくっていたが、赤井英和の凄さが分からない。当時、『どついたるねん』を観たと思うのだが印象に残ってない。
邦画ってエンターテイメント性が少なく得意ではなかった。
邦画で好きなのは、深作欣二監督の『魔界転生』
エンターテイメント性の高い、マンガのような作品が好きだった。
学生時代には食指が伸びなかったのだろう。
実際、観直した『どついたるねん』は圧倒され
「よくぞ、赤井英和を起用した! 阪本監督、流石!」
と思ったんだけど…
アイアンガールは、前作、前々作に比べ、美術に予算が付いてのが分かる。エフェクトもガッツリ入って、アクションシーンも見応えがあった。
赤井沙希は、プロレスラーとして経験を活かし、人に魅せるのが上手いと素直に思った。
表情もオーバーアクションが無く、演技も自然。
これは良いことなのだが、赤井沙希は、背が高く、全体のバランスもいい。しかし、身体が恵まれ、個性的なため共演する俳優を選ぶなと感じた。
画として、赤井沙希に負けない存在感が共演者に求められる。
初出演でこんな感想を抱かせるなんて
親子共々、逸材なんですね。
作品として改善されたと感じたのは、狂言回し役のスナッチの出番が抑えられたこと。
前作は前に出すぎた感じがして、もう少しアクセントで出てくれたらなと思っていたが、今回は絶妙な出番だった。
伏線回収とか上手いと感じたし、ラストシーンも効いていたと思う。
逆に残念だったのが、ラスト前の空へ飛んでいくシーン。
もう少し映像に臨場感があれば、確実に泣けたんだけど、映像に対して気持ちが乗れなかった。
そして、アイアンガールの感想では、青柳くんに少しも触れてないという…カッケかったスよ(軽っ
『アイアンガール』上映後、ブルーバードの法被を着て再登場。
上映後 Q&A
程なくQ&Aが始まる。
「質問ありますか?」
の森田さんの問いかけに、手を挙げる。
どうぞと指名されて、『美しすぎる議員』のラストシーンについて質問。
「田中愛の本質に迫れず、完敗した感じの村上に思えましたが、あのシーンで青柳さんはどんな心情で演じられたんですか?」
青柳くんの回答は、あの時の村上を演じて、田中愛に負けたという気持ちでは演じて無かった。逆に、取材対象に迫る内に、自分と向き合い合わせ鏡のように自分を見ているように、村上が感じていたと思う。
自分の本質を見せなかったから、相手の本質に迫れなかった。
そう言われると、もう一度そういう目線で、この映画を観直したいなとも思った。
そして、この印象的なラストシーンが、なんと! クランクインだったということを聞いてぶっ飛んだ。
丁寧に気持ちを重ねて、最後の最後に撮ったものとばかり思っていた。
全てのシーンを撮り終わった後、またラストシーンを撮り直そうと現場へ行ったが
「最初に撮った画でいいよね」
と撮り直さずそのまま帰ったとか。
その何も分からない『村上』という着地点を最初に撮って、そこへたどり着くように、本編を撮影していったという話だ。
その話を聞いた時、『楢山節考』を撮影した緒形拳さんの逸話を思い出した。初めて現地に入った今村昌平監督が、緒形拳さんに
「今、夕日がいい感じだから、背中を向けてそのまま振り返ってみて」
と言ってカメラテストのように撮影。
この時、撮影したのは『楢山節考』のラストシーン。
言われるままに、気持ちも作らず夕日に向かって振り返って
「ハイ、OK」
と今村監督があっさり撮ったとか。
緒形拳さんも、流石に撮り直すだろうと思っていたが、そのままクランクアップ。
でも、編集した映像を観ると、何とも言えない男の悲哀を感じる画になってた。
「映画っていうのは、監督のものなんですね」
という緒形拳さんの感想で締めくくられた制作秘話。
「映画ってこんなに自由に画の印象を変えることができるのか。役者の気持ちが入る入らないも、監督の見せ方次第で自由になるなんて凄い」
と感じたのを思い出した。
まさかこんな撮影方法を取った作品が、まだ他にあったなんて。
映画っていうものが、自分の予想なんてとんでもなく超えたものであること
また、役者という仕事はどんなシーンからも撮影できる準備をして臨む仕事なのだと、改めて思った時間だった。
自分の質問に真摯に答えてくれた青柳くんが、ポツっと
「ブルーバードの質問でこんな気分になるとは、酔いが覚めたは」
と呟く。
えっ!?
呑んでたんかーーーーーい!
「じゃあ次の方」
と森田さんが質問を促す。
アイアンガールについての質問が挙がる。
「大人っぽいシーンがありましたが、どんな気持ちでしたか?」
なんてオブラートに包んだ質問。ガッツリ四つに組んだキスシーンがあったが、そのシーンについての質問。
3作目のアイアンガールで良かった点を追加すると、この明日花キララと共演者のラブシーンをギャグで落とさなかったこと。
今まで、明日花キララと絡むシーンをギャグで落としていた。
もの凄く違和感を感じたシーンだったが、今回は上手く落としたなと感じていた
明日花キララと、青柳くんがかなりの人見知りを発動して、このシーンは『美しすぎる議員』とは逆に、クランクインだったのを最後に廻してもらったとのこと。
もう、この時点で、司会の森田さんのエンジンに火が付いて、まるで自分の質問のように、青柳くんを問い詰める。
「どうなのよ? 百戦錬磨の明日花キララさんとのキスは?
ピーーンとかなったの?」
いつもより、テンション上がり気味で聞く司会者。
「いや百じゃないね、千?」
森田:「万!」
青柳:「万!」
この万を森田さんと、青柳くんがハモった。
さすが長年の友人。
現場の状況が分かる人には当然なのだが、撮影には結構な人数のスタッフが現場にいる。
「50人くらいスタッフがいるんだよ? そんな ハーッ♡とかなんないよ」
と答える青柳くんに、しつこく喰らい付く司会の森田さん。
もう、Q&A形式のこと忘れてるでしょ?
キスシーンは当初、『ベッドへ倒れこんで』とのト書きがあったらしいのだが、流れ的に不自然なので却下したとのこと。
この流れの説明だけでも、役者として説得力のある流れ、画作りを心掛けて取り組んでるんだなと感心した。
結局、自分ではどうにもできないから
「好きにしてっ」
とほぼ童貞演技で臨んだらしい。
ドライ、ドライ、カメラテストX2、本番、みたいな流れで、最初からガッツリは行ってない
「須賀くんなら、最初からガッツリやるけどね」
と以外な方向から須賀っちの話題が。
その話題が挙がって、司会の森田さんと、青柳くんが須賀っちのモノマネしながら話題を膨らませた。
青柳くんの須賀っちのモノマネ上手い!
よく特徴とらえてる。
さすが、仲いいな。
「青柳くんの過去の短編作品で、かなりエロいキスシーンがあってね」
と司会の森田さんのテンションが上がっていく。
「オールナイトでキスシーンだけ集めたのやってみたいね」
と森田さんはノリノリ。
この企画が通ったら須賀っちの作品が上映されるのは、間違いない。
散々自分の聞きたいことを青柳くんにぶつけて、引っ張るだけ引っ張って、キスシーンの質問がなんとか着地点を迎える。
森田さん、絶対、自分が一番楽しんでたでしょ?
後ふたつ程質問がありましたが
すいません、体力的に限界だったのか、断片的にしか覚えておらず、2本立てのキツさが身に染みた時間帯でした。
夢の跡
別府ブルーバード劇場では恒例の、舞台挨拶登壇者と観客との記念撮影を終え、青柳尊哉ナイト(勝手に自分で言ってます)は無事終了。
劇場のカウンタで、パンフレット購入者へのサインをする青柳くんを横目に、森田さんに話しかける。
「HE-LOW2の上映をする予定はありますか?」
特撮が好きだが、平成ウルトラマンはほとんど観ていなかった自分。
青柳くんが出演していた『ウルトラマンオーブ』も1回観たことがあるだけ、悪役っぽいことだけは何となく分かった。
仮面ライダー龍騎はメチャメチャ好きだった。
食い入るように観ていた。
別府ブルーバード劇場で、『HE-LOW上映、高野八誠、須賀貴匡、青柳尊哉、舞台挨拶決定』という告知を見て、前売りを予約したのが、ちょうど1年前。
とにかく、龍騎を夢中で観ていたので、どうしても本人に会ってみたい一念だった。
後々分かるのだが、この舞台挨拶が実現したのは、青柳尊哉が自分の作品を別府ブルーバード劇場で、上映したいという思いに、高野監督、須賀っちが応えてくれたとのこと。
その年の11月には『Beppuブルーバード映画祭』参加にも繋がるのだが、
青柳くんには感謝してもし足りない。
『HE-LOW』の舞台挨拶付き上映は、夢のような時間だった。贅沢なんてものじゃない。こんなことが自分の生まれた片田舎で起こるのかと、信じられない気持ちだった。
もしも、もしも許されるなら、HE-LOW2の上映で、もう一度あの夢のような時間を味わいたいと、願っていいですか?
恐る恐る聞いた
「HE-LOW2の上映の予定はありますか?」
という問いに、森田さんが力強く
「もちろん!」
との返答。
上映だけでもいい、間違いなく、あの時の夢の続きは、この場所で観れるのだなと、胸がいっぱいになった。もしも、スケジュールの余裕がありましたら、また、3人の不思議なトークと、なんともいえないあの雰囲気を味わいたいと思っています。
去年は、御忙しい中、青柳くん、高野監督、須賀さん3名とも、上映イベント、映画祭と、2回も来ていただいて嬉しかったです。
『HE-LOW2』で、またあの夢の続きが見れるのなら、今度は自分だけでなく、もっと多くの人と、あの時間が共有できたらなと願ってます。
これをTwitterのモーメントにまとめていた、5月には分からなかったが、今年も開催される『第3回Beppuブルーバード映画祭』に、高野八誠監督作品
『HE-LOW THE SECOND』の上映と、高野八誠、須賀貴匡、青柳尊哉、吉岡毅志の登壇発表があった。
また、あの時の不思議な夢見心地のような時間を過ごせるのを、今や遅しと待ちわびている。