第3回Beppuブルーバード映画祭 3日目レポ
11月29日、30日、12月1日に開催された、『Beppuブルーバード映画祭』3日目の参加レポです。
初日、2日目のレポは別記事でアップしています。良かったら通しでどうぞ
(かな~り☓2 長いけど)
Beppuブルーバード映画祭3日、1作品目 劇場版ウルトラマンオーブ 絆の力おかりします
最終日12月1日は、自分の中で『Beppuブルーバード映画祭』全てのプログラムの中で1番優先すべき『HE-LOW THE SECOND』の上映のある『Beppu特撮フェスティバル』枠が開催。
『Beppu特撮フェスティバル』は、映画祭の中のどの作品よりも上映時間が早く、1本目は9:00開始。劇場には8:00に整列しなければならない過酷なスケジュール。
タイムスケジュールが発表されてなかった頃は、
『ウルトラマンオーブ』 ⇒ 『凪待ち』 ⇒ 『HE-LOW THE SECOND』
のハシゴを考えていたが、タイムスケジュール発表で、『凪待ち』と『HE-LOW THE SECOND』が被ると分かり、すぐに気持ちを切り替え、特撮枠通し参加を一瞬で決意した。
それに加え、特撮枠参加を強くオススメし、県外よりお客様(以下Mさん)をお招きしており、去年のボッチとは異なった条件での参加となった。
Mさんをお招きした経緯は、今年の5月、新高輪プリンスホテル飛天の間で開催された、『仮面ライダー龍騎』のイベント『龍騎ナイト』参加までさかのぼる。
ざっと、去年から今年5月までの流れを追うと
・去年5月、ブルーバード劇場での『HE-LOW』単独上映。
・第2回Beppuブルーバード映画祭、『Beppu特撮フェスティバル』枠での 『HE-LOW』の再上映。
・『仮面ライダージオウ』で、オリジナル出演者による龍騎回放送。
・仮面ライダージオウのスピンオフとして、17年振りとなる、3話完結の仮面ライダー龍騎最新作、『RIDER TIME 仮面ライダー龍騎』のWeb配信。
そしてWeb配信の決定時に公式から、『RIDER TIME 仮面ライダー龍騎』出演者が集うイベント、『龍騎ナイト』が、新高輪プリンスホテルで開催されると発表があった。
『仮面ライダー龍騎』をかじりついて観ていた自分としては、去年のブルーバード劇場『HE-LOW』上映から続く一連の状況で、17年前からタイムリープしたのではと錯覚する贅沢な時間を満喫。
総括のような、新高輪プリンスホテルでの『龍騎ナイト』開催の公式告知で完全に火がつく。
もう2度と、こんなメンツでのイベント機会は無いかもしれないと思い、『龍騎ナイト』最速先行のチケットを申し込む。
1週間後の結果で、当選しているのを確認しガッツポーズ(+雄叫び)
20年振りの上京のため、飛行機、宿泊先の予約して、否応なしに気持ちは高まっていった。
だが、チケットの発券をコンビニで行い、目を疑う。
席順が『35列目』
最速先行で当選したので、席は前の方だとばかり思っていたが、『35列』とかなりの後方席、丸々2日は落ち込んでいたと思う。
テンションが全く上がらないまま、上京し参加した『龍騎ナイト』
案の定、飛天の間のステージに立つ、須賀貴匡さん、高野八誠監督が非常に遠く感じた。(1番の目当ては、仮面ライダー王蛇役の萩野崇さんだったのだが)
去年の『Beppuブルーバード映画祭』で、ありえない程の近い距離で接することのできた、あの時間は夢だったんじゃないか?
と疑う程のステージまでの距離。
そして、ものすごい数の参加者の中にズブズブと埋もれていく感じ。
改めて、「あぁ、彼等はスターなんだ」と痛感するイベントだった。
その時、隣に座っていたのがMさん。
開演前に話をすると、福岡県在住で、Mさんも最速先行チケットでの当選だったとのこと。
しかし、開演するとオペラグラス、ペンライトを準備しており、楽しそうにイベントに参加するMさんの姿を見て、席順が悪いからと落ち込んでいた自分を深く反省。
これだけ、龍騎を愛しているなら、ブルーバード映画祭でのゲストとの距離の近さを是非感じて欲しいと思い、
「もし、今年も『Beppuブルーバード映画祭』に、高野監督、須賀貴匡さんがゲストで登壇することがあれば是非参加を」
とかなり強引に推し、連絡を取っていた。
今年も無事に、『HE-LOW THE SECOND』上映が決まり、『Beppuブルーバード映画祭』へ高野組の皆様が参加していただけることとなり、一安心。
須賀貴匡さんや、高野監督を近い距離で感じてもらいたいという以外に、『龍騎ナイト』で後方席だった時に生まれた、自分の強い怨念を、この機会に浄化させたいという気持ちも根底にはあった。
六根清浄、六根清浄。
かなり気合いを入れて家を出発、劇場前には8:00少し前に到着。
前乗りだったMさんと、特撮枠常連のAPUに通うハーフの子と劇場前で合流。
ブルーバード劇場は常日頃、特撮作品出演経験のある役者が、頻繁に舞台挨拶に訪れ、舞台挨拶参加の常連さん、顔見知りが何人かいるのだが、APUの子もそのひとり。
ちなみに、なぜ特撮枠の整列に気合いが入るかというと
ウルトラマンオーブ ⇒ 全国自主怪獣選手権別府大会 ⇒ HE-LOW THE SECOND までの3本を、チケットが2枚あれば、会場を出ることなく通しで参加でき、全国自主怪獣選手権から参加しているお客さんは、劇場内で『HE-LOW THE SECOND』用チケットのもぎりをしてもらえるスタイル。
『HE-LOW THE SECOND』上映前には、クラウドファンディングで優先チケットを支援したお客様に、上映前に良席を確保していただき、その後、通し参加者の着席順から順番に『HE-LOW THE SECOND』の席が決まる仕組みになっていた。
優先チケットでない自分は、否応無しに気合いが入った。
この告知は、映画祭開催前々日の『大分怪獣クラブ』の公式Twitterのみだったが、早くに知りたかったと思ったのは、自分だけだろうか?
来年は、大分怪獣クラブと運営との打ち合わせを密に取り、公式HPでも告知が欲しいところ。
整列できる1時間前になるのを待っていると、劇場前の横道からフラッと高野監督が徒歩で現れビックリ!
あまりに自然に、街中を歩いての登場だったので、思わず監督に
「おはようございます。フラッと現れるんですね」
と挨拶。
こういうのも『Beppuブルーバード映画祭』のスゴイところ。
参加ゲストが何の気負いもなく別府の街をブラッとして、そのまま劇場に入る。こういう緩さは、本当にこの映画祭の強みだと思う。
県外勢のイベント参加常連さんも含め、1時間前に早々と『特撮フェスティバル』上映待ち列が形成される。
無事劇場に入ると、1列目の席は優先席として座れないようになっていた。
2列目の席を無事確保。
去年は、司会が島崎淳さんで、力の入ったオープニングだったのだが、今年は、島崎さんと田口清隆監督が、ゆるっと入ってきて淡々と進行。
2回目だけに、肩の力が抜けた感じで、去年との差が激しい。
去年は、初めての開催ということもあって、力んでいたのかもしれない。
「青柳尊哉は、まだ夢の中ですかね……」
と田口監督。
まだ劇場に来てないのか?
『Beppu特撮フェスティバル』枠の構成説明、段取りを説明した後、唐突に青柳尊哉さんと、去年も登場した大分怪獣ブゴンをステージへ呼び込む。
どうやら青柳尊哉、無事起床し、劇場にたどり着いたようだ。
高野監督に
「朝、ちゃんと劇場行ってよ」
と促され、ちゃんと起きれたらしい。
ブゴンは去年と材質が変わっていたようで、田口監督、青柳さんと、ペタペタとブゴンに触りまくっていた。
「進化してるねぇ…」
と青柳さんが触りながらつぶやく。
1本目の上映作品、『劇場版ウルトラマンオーブ 絆の力、おかりします』は、急遽応援上映に。
「いきなり応援上映と言われてもとまどうと思いますが、1番前列の人達を参考にして。もう、ズブズブの関係だから…」
と、毎回イベントに参加しているのだろう、見知ったファンの人達をダシにする青柳さん。
上映が始まると、青柳さんの言う通り、1番前の大きいお友だち(全て女性)が、いい仕事をしていた。
上映終了後、再度、青柳尊哉さん、田口清隆監督、島崎淳さんが登壇。
ウルトラマンオーブについてのトークが始まる。
「グズグズの前列が、最高の仕事をしてくれたよ」
と青柳さん。
「俺には応援上映は無理…… 拍手するのが限界」
とのこと。
この作品は、応援上映を前提に作った作品で、作品内でもあからさまに応援を煽るシーンも入れられている。
応援上映は、アニメではちょこちょこあるが、ウルトラマンシリーズでは、オーブが初だったそう。
ウルトラマンXの劇場版上映時に、「がんばれ~」と叫ぶ子供がいたことを田口監督が人づてに聞き、感動したとのこと。
それなら意図的に応援するタイミングを作品に入れようと、設定したのが本作。
SSP(SOMETHING SEARCH PEOPLE 作品中に登場する3人)のカメラ目線が、うまく設定で使えたと田口監督。
話は、ジャグラスジャグラーについてになり
「ジャグラーって悪役なのかな?」
と田口監督、青柳さんからも疑問が。
ジャグラスジャグラーは、やっちゃいけないことが無いので、作り手側としても楽なキャラクターのよう。
段々話が脱線していき
「『ジョーカー』じゃなくて『ジャグラー』で映画撮る?」
と田口監督。
街の子供にヤキ入れられて、多摩センターの階段で踊ったり、ヒーヒー笑ったり……
田口監督、青柳さん両方が乗っかって、ジョーカーオマージュの会話が尽きない。
ジャグラーには闇が足りないということで、双方感想は落ち着いたようです。
本作品の感想は、ウルトラマンオーブは初めて観るのだが、
「最近のウルトラマンの変身は、こんなに凝ってるんだなぁ」
と新鮮な気持ちになった。
Beppuブルーバード映画祭3日、2作品目 全国自主怪獣映画選手権 別府大会
少しの休憩を挟み、そのまま通しで、『全国自主怪獣映画選手権 別府大会』が始まる。
休憩中、1列目の優先席付近に、3人の男性がソワソワしていた。
ひとりは、30代くらいで、ふたりは、高校生くらいの若い子。
年配の男性が話す声を聞いて、すぐに誰だか分かり話しかける。
「田中監督、映画祭ご参加いただきありがとうございます。去年監督の作品観て衝撃でした」
去年の『全国自主怪獣映画選手権 別府大会』で優勝した、『ゾギラ ゲポパ ギギーメ 地獄の怪獣最前線』を撮った田中まもる監督だった。
声が独特なんで、すぐに分かった。
「あのぉ、この席は座ってもいいんですかね?」
1列目の優先席用に確保されている席を指して尋ねられたので
「HE-LOW THE SECONDの優先席だと思うので、この枠は大丈夫ですよ」
と返答。
3人が1列目の端の席に座る。
後から分かるが、高校生くらいのふたりは去年の選手権で上映された、『機械忍者 完全版』を制作した兄弟で、そのうちのひとりが、黒川陽平監督だった。
全国自主怪獣映画選手権は、怪獣が出ていればOKという、緩いルールで作品を募集してノミネート。上映後、観客の挙手が1番多かった作品が優勝となる。
自主映画といっても、中には驚くような作品もある。
去年は特に、田中まもる監督の作品、『ゾギラ ゲポパ ギギーメ 地獄の怪獣最前線』が印象的だった。
会場に入る時に、選手権用に、採点と感想を記入するアンケート用紙を配られるが、実際の投票は挙手で行われ、記入したアンケートは、後日、参加監督に届けられるそうだ。
今年の参加作品から、エントリー作品前半部分
『大怪獣グラガイン カルネアデス編』 渡邉聡監督
『ヤマラ ~YAMARA~』 山本伸哉監督
『絶対怪獣戦線スクール 予告編』 井小萩樹監督
『鉄の探偵』 黒川陽平監督
までが上映された。
印象に残ったのが、『ヤマラ ~YAMARA~』と『鉄の探偵』
『ヤマラ ~YAMARA~』は、怪獣としておもちゃの人形を使っているのだが、それが非常にシュール。
ただ、自主映画にありがちなのだが、シュールに作っているのに、落ちを唐突にギャグに持っていこうとするところが残念だった。
あのままシュールに、逆に泣かせに行くくらいのストーリーで締めて欲しかった。
『鉄の探偵』は、黒川陽平監督作品。
兄弟3人で結成した『Yプロジェクト』で、去年の自主怪獣映画選手権にも『機械忍者 完全版』で参加している。
前作の『機械忍者 完全版』、今年の『鉄の探偵』でも感心するのが、特殊効果でお金をかけられない部分を、手書きのアニメーションで代替している点。
そのシーンが、かなりいい味を出していて、まるで、実写とアニメを合成した、水谷豊主演、手塚治虫原作の『バンパイア』を思い出させる。
惜しかったのは、ナレーション、本編のセリフの滑舌が悪かったこと。
ストーリーもしっかりしている分、そこが非常に目立ってしまった。
YプロジェクトのY1とY2が、田口監督に呼ばれ登壇する。
Y1こと黒川陽平監督は、高校を卒業前に、田口監督から
「で、将来どうすんの?」
と聞かれ
「映像やりたいです」
「じゃあ、東京来るしかないな」
と言われて、上京したら、
「本当に来たんだ…」
との監督の反応だったそう。
でも、しっかり造形の会社を紹介してもらい、今そこでがんばっているらしい。
監督からの
「造形で行くの?」
との質問に
「いや、まだ決めてません」
との返答。
黒川監督が10年後くらいに、大作を発表したら、
「この監督の自主映画、別府の特撮イベントで観たことあるんだよ!」
って周りに自慢します。
ここで、いったん休憩。
『Beppuブルーバード映画祭』は、劇場内での飲食が自由なため、休憩中にコンビニで軽く食べるものを買い、会場内で昼食。
昨日は、上映 ⇔ 整列の繰り返しで、食事を摂る暇もなかったので、休憩があるだけありがたい。
休憩後、上映を再会
『宮田バスターズ(株)』 坂田敦哉監督
『新モモトラマン2019』 田中まもる監督
『DUST』 田口清隆監督
『UNFIX 特別総集編』 田口清隆監督
田口監督の自主制作作品も2本上映された。
『宮田バスターズ(株)』は、何となくノリが田口監督の自主制作作品に似ている気がした。
かなり本格的に作り込まれており、車を使ったシーンでは、作り込んだ舞台美術に驚いた。
「これ、美術が作った部屋なのか…」
本気度が伝わる作品で、役者の演技、ストーリーの練り方(台詞の伏線回収等)レベルは他の作品に比べて頭ひとつ抜けている印象。
今年も、かなり期待していた田中まもる監督作品、『新モモトラマン2019』は、上映前に田口監督曰く、
「合法の映像ドラッグです」
田口監督、前回の優勝作『ゾギラ ゲポパ ギギーメ 地獄の怪獣最前線』は、お酒を飲みながら、10回連続再生したとか。
今回も、映像、音響チェックのため、前日に劇場で作品を確認していたが、作品の熱にやられ、これだけは、最初から最後まで観入ってしまったそうだ。
ただ、本作は上映時間が短く、去年の衝撃が大き過ぎたのか、期待が高過ぎたためか、いささか物足りなかった。
田中監督の良さは、長い尺の作品の方が、より際立つと感じた。
合法ドラッグなだけに、以前の刺激以上のものを新作に求めてしまうのかもしれない。採点は辛めに提出。
田口作品を上映して、また舞台には3人が登壇。
上映された、『UNFIX』はyoutubeで配信中の作品。
去年の映画祭で、1話の先行上映があり、その時は本当か冗談か
「月に1話づつ、youtubeに上げていきたいね」
と言っていたが、その後、本当に実現。
全体的に緩い作品なのだが、今回はその中でも、かなりシリアス寄りの話を選んで総集編にしていた。
所作は、かなりこだわって撮っていて、特殊部隊の突入方法は、本物が観ても、そうそうと納得する動きらしい。
建物に突入する時点で、1番前に位置する隊員は弾が当たるのを覚悟して突入、突入後は打ち合いを想定せず、殲滅するのを前提にしている動きだったようだ。着用した防弾チョッキも本物を使用していたとのこと。
ただ、自主制作のため、銃撃戦のシーンなどでは、銃を撃ってる人の周りで、スタッフが写ルンですのフラッシュをたいて、それっぽく観せて撮影していたとの裏話もあった。
銃撃戦のシーンのような、長回しは準備が必要で、撮影も長くなり大変とのこと。
かと思うと、UNFIXの10話のように、ほぼアドリブで緩~く撮影されたものもあったりする。
この後、『全国自主怪獣映画選手権』 別府大会の上映作品ごとに、お客さんの挙手を求め、優勝作品を決める。
優勝は、『宮田バスターズ(株)』
準優勝は、『鉄の探偵』
田口賞が、『新モモトラマン2019』となった。
Beppuブルーバード映画祭3日、3作品目 HE-LOW THE SECOND
『全国自主怪獣映画選手権』枠が終了すると、一旦、席に座っていたお客さんが、真ん中通路に席順に整列。
その間、クラウドファンディングで、優先チケット支援されたお客様の席確保を行う。
優先席が埋まった後に、通し参加のお客さんが、真ん中通路から一旦前を通って、空いている席を確保する形。
着席後、その場でチケットのもぎりが行われた。
去年から、下手に高野監督、須賀貴匡さんは、上手寄りの真ん中か、上手に立つことが多かったので、当たりをつけて、左ではなく、右寄りの席を確保する。Mさんが、須賀貴匡さん目当てでの参加のため、なるべく須賀さんに近くなるのではないかという位置狙い。
後日、高野監督のツイキャス配信で話していたが、『HE-LOW THE SECOND』の優先チケット支援は、全部で14枚だったそう。
優先チケットの枚数が微妙だったため、劇場内が埋まるか心配だったようだが、上映前には3階劇場が9割埋まっていた。
2階の上映が『凪待ち』なのを考えると、大健闘だと思う。
ちなみに3階には、『HE-LOW THE SECOND』の物販があり、物販コーナーは朝から、ずっとお客さんで溢れていた。
『HE-LOW THE SECOND』の感想は、
「ヤバい」
としか言いようがない。
特に、特撮が好きな方には、そのヤバさが確実に伝わると思う。
登場する役者が、無駄に豪華なヤバさ。
この出演者にこんなキャラを演じさせるか? という突き抜けた演出のヤバさ。
既存の特撮ヒーロー、特撮作品を、完全アウトでオマージュ(パクリ?)しているヤバさ。
そして、ラスト落ち前には、制作批判とも取れる特撮業界の根っこの部分に触れたヤバさ。
未見の方は、是非、このヤバさを感じてもらいたい。
仮面ライダー龍騎、響鬼が好きな人、ウルトラマンガイアが好きな人、特撮が好きな人…
もしかしたら、特撮の知識の無い方が観ても、純粋に楽しめるポテンシャルを持っている作品かもしれない。
是非、HE-LOW3の制作につながるよう、この作品が広がり、多くの方に支持されることを願ってます。
本当に「なんじゃこりゃ?」なラストを迎え
無駄に贅沢な『JAM Project』の主題歌が流れるエンドロールで、会場内に自然と手拍子が発生。
エンドロールの間、この手拍子は途切れることがなく、ものすごい会場全体に一体感が生まれた。
上映終了後、ステージには、高野八誠監督、吉岡毅志さん、須賀貴匡さん、青柳尊哉さんの並びで登壇。
ボトルを2本空けた吉岡さんが誰よりも声を張り、トークが絶好調。
昨日は、温泉に入り体中の邪気が出てしまい、吉岡さん、須賀さんは、早々とホテルで就寝してたそう。
「体中の邪気が出たら、何も残らないじゃん」
とのツッコミが吉岡さんに入っていた。
吉岡さんが、軽快なトークで回す中、残りの3人はニコニコしながら
「調子いいねぇ」
と楽しそうに吉岡さんを見守っている。
しかし、高野組は、ブルーバードを訪れるたびに、毎回恐ろしい量のお酒を飲んでいるはずなのだが、舞台に上がるとフラフラしないし、ずっと立ったままトークし続けてるし、どんだけタフなんだ……
須賀さんは、上映が終わる寸前まで、舞台袖でタバコを吸っていて
「本当に、信じられないよ。舞台上がる寸前までタバコ吸ってるなんて……」
と、半ば呆れたように高野監督。
上映中も、須賀さんは近くにある竹瓦温泉の砂湯に入っていたそうで、劇場に入ったのが10分前とか。
フリーすぎるのにも程がある!
須賀さんに関して『フリー』という言葉つながりで、昨夜少なからず驚いたニュースがあった。
所属していた事務所を11月30日付けで退社したとの告知をTwitterで見た。
特撮出演経験の役者で、フリーランスの方は珍しくないが、このBeppuブルーバード映画祭、『HE-LOW THE SECOND』の舞台挨拶が、フリーランスになって1発目の仕事ということ、ここに立ち会えたことが、非常に感慨深かった。
同じ龍騎に出演していた萩野崇さんも、現在フリーランスで精力的に活動しているので、須賀さんにも是非、どんどん新しい作品の発表、出演を期待しています。
上映後のトークで、まず高野監督が
「初めて観た人?」
と挙手を求める。
かなりの人数が初見で、もちろん自分も今回が初鑑賞。
前作の『HE-LOW』も、ブルーバード劇場の単独上映、去年の映画祭での再上映に参加して観たが、今作の作り込みは、前作を遥かに超える高い水準だった。
企画会議という名の飲み会は、飲み代の領収書がすごかったらしい。
高野監督が指で示した厚さをみて唖然とする。
「戦隊もやったし、仮面ライダーもやったし、次は何か残ってる? 雨宮作品?」
と振る吉岡さんに、高野監督が
「ウルトラマンやってないね。続編の構想は、ウルトラマンで練ってる」
との返答。
「ミニチュア撮影とか、やって欲しいなぁ」
という吉岡さんに、心の底から声色さえ変えて
「ミニチュアね、ほんっと、面倒くさいのよぉ~」
と高野監督。
本当にやりたくなさそうな反応だった。
そういえば、去年の映画祭で『HE-LOW』上映後のトークで、全国自主怪獣映画選手権にノミネートされた『ビビットマンV』を観た感想で、
「スカウトしようかなぁ…」
と言ったのを思い出す。
「もう、ミニチュアをシルバニアファミリーとか、レゴとかにしたら?」
という意見に、色々手を出して、どこで怒られるか選手権みたいにしてみようかと、冗談のように話す監督。
『HE-LOW THE SECOND』でも十分怒られそうだけどなぁ……
4人でのトークの時間はあっという間、
その後、館主の照さんを入れてフォトセッションタイムが設けられる。
その後の締めの挨拶で(青柳さんの挨拶はメモし忘れているか、須賀さんと混同しているのか… 申し訳ありません)
「俳優、個人個人の応援もよろしくお願いします」(須賀さんだったかな?)
「相方が映画を撮り始め、こんだけのお客さんが観に来てくれて感無量」(吉岡さん)
「これからも、映像制作は攻めて、遊んでいきたい」(高野監督)
のような挨拶で登壇は終了となった。
この後、『HE-LOW THE SECOND』の物販で3000円以上購入された方対象に、劇場地下で高野組によるサイン会が開催される。
サイン会の準備までの間は、大分怪獣ブゴンとの撮影、特撮フリーマーケットのブースが地下に催されているようなので移動。
地下には、大分怪獣クラブの物販コーナーや、『Yプロジェクト』のオリジナルキャラクターのコレクションフィギュアの販売、田中まもる監督のオリジナルDVDの販売ブースがあった。
自分は、田中まもる監督のDVDの購入をかなり迷ったが、結局手が出せなかった。
ここで、ちょっと自分のネガティブスペック紹介
昔からなのですが、とにかく人の顔と名前が覚えられません。
若い頃、接客業のバイトをしている時も、同じ年の同僚に怒られました。
この時も、1名話しかけられて、ものすごく自分の記憶を辿るのですが……
申し訳ない、思い出せませんでした。
そういう時、どう対処するといいのか、裏技募集中です。
高野組のサイン会の整列が始まったので、一旦自分は劇場の外へ。
この時の時間が、今年唯一『Beppuブルーバード映画祭』らしい雰囲気を感じられた時間だった。
去年の映画祭の上映待ちの間は、整列に追われることなんてなかったのだが、今年は、ちょっとづつ映画祭の規模が大きくなって来ているのを感じた。
次上映の整列までの間にできた時間は1時間ちょっと。監督やゲストで参加された役者の方々が、劇場周りにフワッといらっしゃる。上映参加した作品で登壇されたゲストには、軽く挨拶なんかしてみたり。
映画祭の連続参加に対してのお礼を含め、挨拶した田口監督からは、自分が一番苦手とする質問
「どこか美味しいお店知らない?」
を受ける。
ほとんど外食しないし、別府駅周辺で食事目的で訪れることが無い旨を、申し訳なく伝えた。
そして、劇場前で初日に上映参加した『彼女は夢で踊る』の時川英之監督と遭遇。
今年、大分市で開催された『スポーツオブハート大分』で正式発表されたが、時川監督は来年大分市内で、中村設備工業を舞台にした映画の撮影を開始するとのこと。この映画祭に参加する時に、機会があればと思っていたことを実行してみた。
時川監督に、映画祭参加のお礼を言い、スポーツオブハート大分にも参加したこと、大分で撮影される映画を楽しみにしていることを告げる。
「大分での映画の制作が始まった時に、ボランティアで構わないので、制作のお手伝いは出来ないでしょうか?」
我ながら不躾なお願い。気分はダメ元なので開き直る。
監督の反応は、そんなに悪くなく、たぶんフィルムコミッションなんかで募集がかかると思うのでチェックしていただけますか、との返答後、名前を尋ねられた。
3日間のフリーパスを首から下げていたので、名前を告げる。
フィルムコミッションから募集がかかるのは、エキストラが多いのだが、脚本から映像を形にする瞬間に立ち会ってみたいという気持ちが強いので、制作のサポート募集が出ますようにと祈っている。
出たら最初から最後までガッツリ参加したい。何でもやりますよ!
ちょっとショックだったのは、その直後、APUのハーフの子に、時川監督自ら話しかけ、映画の撮影がある時、通訳でサポートをお願いしたいとスカウトしていたこと。
自分からアピールしなくても、サポートをお願いしたくなる存在とは、羨ましいぞ! この野郎。
地下からは、『HE-LOW THE SECOND』のサイン会を終えた人達が続々と上がって来始めた。
自分がお招きしたMさんも劇場外へ。
『HE-LOW THE SECOND』上映後に、帰路につく予定だった。
無理矢理参加してもらった気もして、少し気が引けてたこと、映画祭に参加してもらえたお礼を伝え、お見送り。
いい思い出が出来たのなら本望なのだけど、また来年、須賀さんの参加が決まったら是非お越し下さい。
お見送りをした後、劇場に戻ると、ちょうど地下から高野組の面々が上がって来ていた。
ドッと人が集まるのかと思いきや、皆、遠巻きに見ているだけだったので、須賀さんへ近づき、ご挨拶。
去年に引き続き、映画祭に参加していただけたお礼。
去年の『HE-LOW』単独上映、映画祭に参加して、火が付いて『龍騎ナイト』に参加したこと。
その時、須賀さんから
「品川まで来られたんですか…」
と言われ、少しジンとなる。
『龍騎ナイト』では、かなり後方席で悔しかったこと。
その時、隣の席だった方を今回の映画祭に、ゲストとの近さを感じてもらいたくお招きしたこと。
その方が、地下でのサイン会に参加し、喜んで帰ったこと。
諸々、須賀さんに伝えることができた。
須賀さんは、ものすごく丁寧に
「その方に、よろしくお伝えください」
と返してくれた。
もう、気持ちが高ぶり過ぎて、つい
「フリーになっても、しっかり支えます!」
と言うと、少しはにかんだ笑顔をされていた。
Beppuブルーバード映画祭に参加し、別府ブルーバード劇場に足繁く通うようになって感じていることのひとつが、ブルーバード劇場を訪れてくれた役者さんへの感謝と、これからの活動を応援したくなる気持ちが高まること。
特に、昨今の映画に関して、予算、制作期間の確保、配給の難しさを観客ながら感じてしまう。
もっと言うと、役者として生き残ることの難しさを否応なしに感じてしまうのだ。
本当に、東京に比べたら、取るに足らない、動員も少ない田舎の映画祭かもしれない。
でもこの先、参加していただいたゲストを応援し、微力ながら支えていきたいという気持ちでいっぱいになる。
受け取った感動を、できれば形にしてゲストの方には返していきたい所存です。
Beppuブルーバード映画祭3日、4作品目 青い春
『HE-LOW THE SECOND』の上映、サイン会の終了後、どっと疲れが押し寄せた。
1番のメインを終え、気が抜けたのかもしれない。
特に、昨夜参加した『ZEROでナイト』で爆音の中、声を張って話してたので、喉がガラガラ。
豊田利晃レトロスペクティス『青い春』『ナイン・ソウルズ』『狼煙が呼ぶ』の3本立てに参加する予定でいた。1時間前、上映待ちの列に並ぶ。
2階劇場内に入り、2列目の席を確保。
舞台挨拶は、上映前、上映後にも行われた。
上映前は、渋川清彦さんと、豊田利晃監督と、映画ライターの女性の方(名前を失念しました)でトーク開始。
1本目の『青い春』について、豊田監督から
「とにかく売れてない若手俳優を沢山オーディションに呼んだ」
らしく、出演者は、今では有名になった役者の方々ばかり。
その中には『線香花火』時代の『又吉直樹』さんもいた。
この話題は、上映後の登壇トークでも語られる。
とにかく、『青い春』は『松本大洋』を描こうと思った作品との締めで、上映が開始される。
上映終了後は、司会が森田真帆さんに変わり3人で登壇。
豊田監督は
「また話すの? 上映前にかなり話したよ?」
と少々戸惑い気味。
仕切り直しのように、『青い春』についての話題に触れる。
「この作品、カッコよかったですよね?」
と客席に同意を求める森田さんに、客席は拍手で応える。
劇中に『THEE MICHELLE GUN ELEPHANT』の曲が何曲も挿入されているため、いつもより音量を上げて上映したらしい。
豊田監督も、
「『THEE MICHELLE GUN ELEPHANT』の『アベフトシ』のギターがカッコいいね」
としみじみと語る。
渋川清彦さんに、森田さんが、
「この作品の思い出は?」
と訊くと、役として登場する時に、改造バイクで登場するシーンについて
「運転が難しくて、バイクで道を曲がる時に足をついてしまったのが心残り」
との回答。
ここで、森田さんが、主演の松田龍平さんにとんでもないことをしたことが、渋川さんから暴露。
これは… 松田龍平さんの名誉のためにも… 文字に起こすわけにはいきません。
どんだけ、向こう見ずだったんだよ、森田さん。
ここで、この映画の感想
この映画は、自分にとってはカロリーが高過ぎた。
体調が優れなくなるくらい、当てられてしまった。
「この作品、カッコよかったですよね?」
と森田さんは、客席に問うたが、この作品を『カッコいい』と感じるのは、学生時代に良好な人間関係を築けていた人じゃないかなと、漠然と思う。
学校生活を孤独に過ごした人はもちろん、学校がある時には人とのつながりを感じるが、いざ夏休みのような長期休暇になると、途端人とのつながりが切れてしまう人達は、観ていて辛いんじゃないかなと感じた。
また、くしくも、この作品のラストシーンの新井浩文演じる『青木』のアクションと、初日に観た『彼女がその名を知らない鳥たち』の阿部サダヲ演じる『陣治』のラストシーンのアクションが、ほぼ同じなのだ。
同じラストシーンの同アクションなはずなのに、上映後に受け取るものは、まったく正反対のものだった。
『彼女がその名を知らない鳥たち』の方は、いびつでも、しっかりとした人とのつながり。嫌悪感を覚えていた日常のワンシーンが、実はとても大切な思い出の瞬間だったのではという思い。
逆に、『青い春』では、人とどうしてもつながれない焦燥感、つながっていたとしても、いびつすぎて、自らの手で断ち切らざるを得ない人との関係に対しての自暴自棄な感情のように受け取った。
全く同じアクションをラストに持ってきているのにも関わらず、これだけ印象が真逆に変わる映画の不思議。演出、ストーリー構成の妙を感じた。
どちらも感傷的になるのだが、振り幅は、全く逆に振られた2作品だった。
そして、この『青い春』での受け取った感情が、去年、ブルーバード劇場を初めて訪れてた頃の自分の心情。
『彼女がその名を知らない鳥たち』で受け取った感情は、今年、映画祭に参加している自分の心情と重なる。
誰ともつながれてない、去年の5月。
少なからず、映画というものを通して、人とつながることができている今。
とても象徴的な対比作品となった。
この後、『ナイン・ソウルズ』の舞台挨拶、トークを聞いて、上映に参加するも、体調が思わしくなく、今年の映画祭参加は、これで終えることに決めた。
上に記した作品への感想もあり、『青い春』の鑑賞を今年の映画祭の最後の作品にしてもいいかな、という気持ちにもなった。
そして、『手放す』ことの経験。
何がなんでも、映画祭を完走することはできたかもしれない。
でも、『もうここでいいや』と自分で線引きできることも大事な経験のような気がした。
劇場を出ると外は激しい雨。
劇場入り口で、森田さんが地元テレビ局のインタビューを受けていた。
邪魔にならないように、会釈して帰ろうとすると、わざわざこちらに挨拶に来られ、最後まで参加する体力が残ってないことを詫びる。
そして、去年と同じ質問を森田さんから受ける。
「今年、一番良かった上映作は何ですか?」
迷うこと無く『彼女がその名を知らない鳥たち』を挙げる。
ラストの衝撃、心への揺さぶりが、タイムラグで襲って来たこと
エンドロールで涙を止められなくなったことを伝える。
「あっ、分かります」
と返す森田さん。
毎年、恒例の質問になりそうな気がして来た。
来年、映画祭の準備で苦しい時には、もっと地元の力、人のつながりをフルに使ってもいいんじゃないかと最後に森田さんに伝え、劇場を後にした。
人に迷惑をかけてしまうということではなく、こんなすごい映画祭に関われるチャンスがあるよ、という風に受け取ってくれる人達が、別府、その近郊に沢山いると思います。
ネガティブな気持ち、どうしようもない状況になった時、それを直接外に吐き出す前に、その人の輪が、クッションになり、1度受け止めてくれる気がします。
来年は、もっと笑顔が溢れる映画祭になるように、みんなで支えますよ。
Beppuブルーバード映画祭に携わり
夢のような時間を提供してくれた
ゲストの皆様
運営の皆様
劇場関係者の皆様
ありがとうございました。
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