
わかりやすい文章を書くための参考書籍
わかりやすい文章を書くためにはある程度の知識が必要です。
認知速度:伝えたいことを認識するまでの時間が短い。
一義性:文の内容の解釈がひとつしかない。
を「わかりやすい文章」と定義し、その参考になる本を「必須書籍3選」「オススメ書籍10選」まとめました。
必須書籍3選
まずは、購入必須だと思っている「必須書籍」です。選出理由は以下です。
これがないと文章を書く仕事ができないレベル
文章が出てくる場面ではどこでも使うことができる
ライティングのレビュー時にも根拠として示せるようなものになる
代わりになるような本があまりない
他人からの評価も高い
日本語スタイルガイド
「こういう書き方は読みにくい」「こういうときにこういう言葉は使わないほうがいい」「こうすると読みやすい」などが細かく分けて書かれています。
例えば「同じ意味の言葉を重ねない」というルールが書かれています(下記参照)。そういったルールがたくさん掲載されています。この他には文章の書き方なども載っています。

まずは見出しをざっと読む。そして、文章を書くときに「そういえばこんなこと書いてあったな」と思い出しながら該当箇所を確認するやり方がいいでしょう。
【新版】日本語の作文技術
「修飾語の順番」「読点の位置」の2つが主に参考になります。この2つだけで書籍全体の1/3以上を占めます。著者の文章のクセはかなり強めではありますが、これほど詳しく書かれた本は他に知りません。長年売れ続けているのにも頷けます。
複数の出版社からほぼ同じタイトルのほぼ同じ内容の本が出ています。『新装版 日本語の作文技術』は少し内容が削られていますが、紙の本で買うのであれば大きめのサイズで読みやすいです。電子書籍で買うなど、そうでなければ上記のものをオススメします。続編である『〈新版〉実戦・日本語の作文技術』もありますが、深く知りたい人向けの内容です。
記者ハンドブック
主に新聞記事を書くために漢字をひらく(ひらがなで書く)かどうかを記してくれるものです。文章を書く現場では「漢字の表記については『記者ハンドブック』に従う」という使われ方もします。

例えば、「ない」の項目を引くと「(無い)→ない」と表現されています。これは漢字ではなくひらがなで書くほうがよいことを示しつつ、注意書きで漢字でもよい場合もあることを示しています。
ひらくかどうかの他にも、言葉の表記についても書いてある本です。
オススメ書籍10選
続いて、必須ではないけどあるといい書籍を紹介します。
NHK漢字表記辞典
『記者ハンドブック』は新聞記事を書く人たちが作成した規則なのでそれに類する文章を書くには便利です。こちらの本はNHKというだけあって、ウェブの表記と相性がよいと思っています(個人的な感想です)。ですので、基本的には『記者ハンドブック』と同じような使い方ですが、表記方法が食い違った場合はウェブの文章においては『NHK漢字表記辞典』を採用することもあります。
句読点、記号・符号活用辞典。
記号の意味が書かれている辞典です。
すごくニッチな本だと思います。しかし、ここまで記号系のことが詳しく書かれた本はおそらく他にないため代替本がありません。
適切な記号を使いたいという方向けです。意外と新しい発見もあって面白いです。
「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。
こちらの本は他と比べると少し俗物的な感じがします。しかし、私がこれを推奨したい理由は「自分の代わりにまとめてくれた感」が強いからです。
名著と呼ばれる谷崎潤一郎の『文章読本』を読んだこともありました。だけど半世紀以上前の本ですし、読みづらいですし、こういった本を数十冊読むのもしんどいなと思っていました。ちょうどそのタイミングでこの本が出版されて、これを読めば早いなと感じました。
大事なことが頻出順で掲載されてるので、簡潔に要点を知りたい方にはうってつけの一冊です。少し『日本語スタイルガイド』と被るところはあるかなと思います。
日本語表記ルールブック
表記についての本です。内容量も多くなく、簡潔にまとまっているため、表記のルールを作りたいときに根拠の出処として持っておきたいものです。
こちらの本は必須にするか迷いましたが、他のもので代替できそうなのでこちらのカテゴリーにしました。
理科系の作文技術
主に論文のような理科系の文章を書く方のための本です。
活字が苦手な方は『まんがでわかる 理科系の作文技術』もあります。
はじめての論理学 -- 伝わるロジカル・ライティング入門
文書を書くのに直接関係ないかもしれません。ですが、前後の文章の矛盾をなくし、適切な接続詞で繋いでいくために参考になるかと思います。
UXライティングの教科書
主にプロダクトデザインをしている方向けなのかなと思います。
英文サインのデザイン
英語の表記は知識がないと間違えてしまうことがよくあります。それを回避するための本です。
段落論 日本語の「わかりやすさ」の決め手
個人的に好きな本です。段落についてみなさんあまり気にしていない人が多すぎるのではと感じています。段落ひとつ取っても本一冊になってしまうくらい奥深いものです。
公用文作成の考え方
10選目は書籍ではない参考文献をひとつ紹介します。
文化庁のサイトに掲載されている「公用文作成の考え方」(PDF)です。もし読むのがしんどい方は、次の2つの書籍もオススメです(どちらか1冊だけで大丈夫だと思います)。
補足とまとめ
今回紹介したものは、あくまでわかりやすく書くための本です。ですので、目的によっては「やわらかい表現で書く」「物が売れるように書く」「バズるように書く」「説得するように書く」「就活で受かるように書く」などが求められると思います。そういったものは今回は取り上げませんでした。
本を読んで文章を書く。このサイクルをたくさんまわしていくことで、分かりやすい文章を書けるようになると思います。ぜひ参考にしてみてください。