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キウイの枝が豊かな土を育む循環農業の物語


こんにちは、大三島で自然農法を営む吉川努です。

今回お話しするのは、キウイ畑を柑橘畑に変える作業の続編です。先日、長男と一緒にキウイ畑のワイヤーを片付けたエピソードを投稿しましたが、今日はその次のステップ、「循環型農業」の実践についてお話しします。少し専門的な内容も交えながら、自然農法ならではの取り組みを紹介したいと思います。

この日は、将来の就農を目指して当園に無農薬栽培を学びに来ている研修生と一緒に作業しました。彼女は循環型農業に強い関心を持ち、実践を通じてその技術や考え方を深めたいという意欲に溢れた方です。一緒に作業を進めながら、土壌改良の仕組みや実際の技術についてもお話ししました。


伐採したキウイの枝

枝は廃棄物ではなく土壌改良材

伐採したキウイの木の枝、皆さんならどうされますか?
一般的には廃棄物として処分されることが多いですが、自然農法ではこれを「資源」として捉え、再利用します。

今回使用したのは「チッパー」という機械。直径数センチの枝も細かく裁断し、有機物がたっぷり含まれた木材チップに変えてくれる優れものです。このチップにはセルロースやリグニンなどの有機物が豊富に含まれており、土壌の微生物がそれを分解することで有機酸や二酸化炭素が生成されます。この分解プロセスは土壌の通気性を改善し、微生物の活動を活発化させる重要な役割を果たします。

また、木材チップは水分保持力が高いため、乾燥しやすい土壌の水分管理にも役立ちます。柑橘類のように適度な水分を好む植物にとって、このような土壌改良材は非常に効果的です。

研修生も「キウイの木が次の柑橘畑を支える資源になるなんて、ただの廃棄物だと思っていました」と驚いていました。この「廃棄物を資源に変える」という視点こそ、循環型農業の基本です。

チッパーでキウイの枝をチップにしていきます

微生物のエサとしてのチップの役割

裁断した木材チップは、しばらく寝かせてから土壌に混ぜ込みます。微生物が木材チップを分解することで、ゆっくりと有機物が土壌に浸透し、ふかふかで栄養豊富な土が作られていきます。

木材チップの分解は比較的時間がかかるため、長期間にわたって土壌改良効果が持続します。この特徴は、急激な変化を避けたい果樹園にとって理想的な方法です。さらに、分解過程で生成される有機酸は植物の根にとって吸収しやすい形の栄養となり、柑橘類の成長を力強く支えます。

研修生と一緒にチップを作りながら、「この土が数年後には柑橘を育てる基盤になる」と話しました。彼女も「土を作ることが、植物を育てる第一歩なんですね」と納得した様子で、この考え方に共感してくれたのがとても嬉しかったです。



自然農法の意義と未来への挑戦

自然農法は、「作る農業」ではなく「育てる農業」。
循環型の仕組みの中で命を育むという意識が大切です。キウイ畑で育った木々が今度は柑橘畑を支える土壌改良材となり、新たな命を育む。この循環の美しさを実感できるのは、自然農法の大きな魅力のひとつです。

数年後、この畑で柑橘が実り、収穫を迎えるとき。木材チップを混ぜ込んだ今の作業を思い出し、「次の命を育てる大切さ」を改めて感じられる日が来ると思います。その時、また研修生たちと喜びを共有できたら嬉しいです。


循環型農業を日々の暮らしに

🌱 あなたの暮らしの中で「循環」を意識した工夫はありますか?
たとえば、生ゴミをコンポストで肥料にする、小さなエコを実践しているなど、あなたの取り組みをぜひコメントで教えてください。お互いの知恵を共有しながら、より持続可能な暮らしを一緒に目指していけたら嬉しいです✨


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