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バイトテロ、バカッターを育てたヤツがいる。
今週に入ってもバイトテロ・バカッターの話題はなおも炎上中で、いよいよメディアとしては
「企業側が損害賠償を請求し始めた!」
という点もニュースになっているようです。
こうしたバイトテロや、バカッター事件について、アルバイトのみなさんが、自分もその当事者にならないために知っておくべきことは
の記事に丁寧に書いておいたつもりです。
この前回の記事は、とくに若いみなさんへの人生の大きな教訓「周りはみんな敵だぜ!」ということを示したものでしたが、今回はもうすこし社会全体の俯瞰した視点から、これらの事件が起きる要因について書いておきたいと思います。
さて、
窪田順正さんが、これらのバイトテロは「賃金をアップしなければ止められない」という話を書いておられます。
ようするに、質の低い労働力を選別するには、「高い賃金を提示する」以外にない、というわけですね。
これは別の言いかえをすれば
「学歴フィルターがなければ、質の低い学生が企業に入ってきちゃうよ」
と言っているのと、同じだったりします。
こうして、日本全体は、
「良民と悪民を選別する、選別社会=つまりは差別的社会」
へと変わってゆくわけですね。
良民は、学歴と行動によって分けられ、高待遇と高賃金によって守られますが、悪民は低い学歴、低いモラルによって貧困に貶められる、というわけです。
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まあ、こうした傾向は、望むと望まざるとに関わらず、そうなってゆくであろうことはなんとなく推測できるのですが、実はこんな事態になってしまった「途中のプロセス」が存在することに気付いている人がいます。
バカッターやバイトテロリストは、職場で事件を起こす以前から、すでにそうなるような傾向を示していたのです。
そして、そのことを問題視せず、後押ししていたヤツらもちゃんと存在するということを、みなさんは知らないと思います。
バカッターたちが、事件を起こす前に、すでに同じような行動をとっていた場所があります。
それは、「学校」です。
考えてみると面白いことに、これらの問題を起こしそうなアルバイト店員に対しては、
「携帯電話の持ち込み禁止」
「モラルについて教育する」
などの対応が企業から掲げられていますが、
「なんだか学校みたいなことを言ってるなあ」
と思うことでしょう。その感覚は正しいです。
まさに90年代くらいまでの学校は、今これから企業が「なんでもかんでも禁止じゃ!」と言い出しているように、基本はなんでもかんでも禁止を掲げていたのです。
「学校に不要なものは持ってくるな!」
ですね。
もともと、校内暴力以降の学校体制は、「管理教育」という名称で、「児童生徒をガチガチに管理する」というシステムで運営されていました。
それは、奇しくも、これから企業のアルバイト指導体制が「管理指導」へと変化してゆくことと似ています。
簡単に言えば、現在の学校では「管理教育」は死んでしまいました。むしろ自由と個性をベースとしているため、こどもたちは
「何をやっても別に怒られない」
という感覚で学校生活を過ごしているわけです。
その感覚のまま、アルバイトにやってきますから、当然、「内輪での楽しいこと」をついつい撮影してしまうし、内輪で回してしまうのです。
むしろ彼らからすれば
「今まで18になるまで、あるいは22になるまで誰にも何も言われなかったことが、なぜ突然問題とされるのか?」
がまったく理解できないと言っていいでしょう。
「なんかよくわかんないけど、ダメなんっすね。じゃあ、ボクが悪かったんじゃないですか?よくわかんないけど」
と、大半のアルバイトはそう思っているだけだから、事件が起きてもニュースになっても
「あの行動と、この行動が、同じ部類に属していて、それは批判される」
ということが理解できないのです。
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では、これらのバカッターたちを育てた元凶は、学校だ、あるいは学校の教師だと言うのでしょうか?残念ながらそれも異なります。
すでにみなさんお気づきの通り、学校の教師は
「個性と自由を尊重するという社会の要請」
に答えてそうしているだけで、体罰指導や暴言も許可されるというのであれば、おそらく多くの教師は今日からでも態度を切り替えて暴言を吐きまくることでしょう。
(内外に、ぶん殴ってでも管理するのが正しいと考える教師や保護者は、一定数まだ存在します)
バイトテロや、バカッターを育てたのは、わたしたち自身だ、ということなのです。
これはものすごく強大な敵であり、一朝一夕に事態が解決するとは思えません。
「教師や上司、会社というものに管理されるべきだ。従うべきだ」
というイデオロギーをひっくり返してしまったわけですから、
「ぎゃあぎゃあ言うなら、すぐ辞める。3年もせずに正社員だって辞めてやる。しょせんアルバイトなんだから、知ったことか」
という自由と個性の時代がやってきます。
「自由で、個性的な笑顔溢れる職場」
と
「笑いながら撮影しちゃえる仕事場」
は紙一重なのです。その違いをきちんと説明することは、とても難しいのです。