千恋*万花 プレイ後感想

※ネタバレあり。未プレイの方は回れ右しましょう。


はじめに

乙女の恋はしのぶれど──────

人気作「千恋*万花」やっとプレイできました。自分の備忘録も兼ねて色々と感想書いておこうと思います。
筆者について:エロゲ初心者。ゆずソフト好き。過去作はサノバ、リドルジョーカー、喫茶ステラプレイ済。
プレイ時間:11/16(水)~11/26(土)
社会人で平日あんまり進められない&W杯見てて時間取れなかったというのもあり全√完走まで結構かかってしまったなと。ただゲームの全体量としては重すぎるということもなく、標準的な量だと思います。
プレイ順:芳乃→小春→ムラサメ→芦花→茉子→レナ
軽くググったところ、千恋はルートの順番がかなり大事だと聞いたので素直にそれに従いました。本当にメインヒロイン最初にやってもいいのか……?

共通ルート

共通から楽しんで読めました。いきなり婚約させられて女の子3人と同棲、化け物退治して呪いの謎を解く、目的もハッキリしてるし、同棲してる3人を中心に各ヒロインの魅力も満遍なく味わえるシナリオだったと思います。今作の男友人枠はチャラ男なのか(笑)

「親に勝手に婚約者を決められ、最初は険悪な仲だったけどいつのまにか・・・」ってのも、超ベタな設定ではありますが何度見てもニヤニヤさせられちゃいます。
あと、ヒロイン3人と他人のお父さんと一つ屋根の下で同居してるってのも特徴的でしたね。後でも書きますが、3人とも本当に姉妹みたいな感じの子なのでこの子と付き合ったらどういう顔を見せてくれるのか、逆に他ヒロインを選んだときは家の中でイチャイチャしたりエッチするの見せられてどういう反応をするのか、そういうの込みでプレイ中も妄想が膨らむ楽しさもありました。

キャラクターの人物像・魅力・イジリポイントがしっかり確立されている、共通√から個別に入るまで飽きることなく楽しめる、ここら辺がゆずソフト作品の安定した強みの一つだと個人的に思ってます。
他のエロゲだと共通のシナリオが退屈すぎたり、序盤から主人公や友人キャラの振る舞いに不快感を覚えたりで投げてしまうこともありました。そういった心配が殆どないのが良いですね。

あとOP映像がとても良かった。和テイストを印象づける、新たな物語の始まりを感じさせる曲と映像でした。


個別ルート

芳乃ルート

巫女衣装可愛い!ケモ耳可愛い!私服の時の赤リボン髪留めも可愛い!怒り顔も照れ顔も全部可愛い!!

本作のメインヒロイン。朝武家の三姉妹長女一人娘。しっかりしてて真面目な子。
個別√プレイ前は、「巫女姫とその婚約者、それぞれが自らの肩書・重責にどう向き合うか」「亡き母との関係性」あたりが主軸になると予想してました。
実際は、お母さんの想いに触れたこと、死の呪いを解いたことで、過去を受け入れ周囲や未来のことを見つめられるようになっていくお話、という感じだったでしょうか。

芳乃と将臣君のことを茉子がよく新婚夫婦と茶化してましたが、芳乃√はまさにそんな感じだと思います。
まだ恋の気持ちを自覚していないけれど、"あくまでお礼"と言いながら朝早く起きて大切な人のことを想いながら不慣れな弁当を一生懸命作ってくれる女の子なんて最高じゃないですか。絶対惚れますね、ハイ。

その後色々あって交際に至りますが、中盤で呪いが再発しそれを解く章は一番のターニングポイントでした。
死を意識させる暗い話でしたが、亡きお母さんや将臣たちの想いを感じ、芳乃自身の内面も大きく変化するきっかけになりました。
一線を超えた後は凄まじいバカップルっぷりを見せつけ、最後は呪いからの解放を示唆するハッピーエンドで読後の後味も良かったです。たぶんグランドルートな気がするけど、最初にやっちゃってよかったのかな?

このルートの魅力はやっぱり前半の初々しい距離感ではないでしょうか。芳乃はお姫様だけあって俗世のことや恋愛についての知識が殆どなく、将臣も将臣で童貞なのでぎこちなさはありつつも着実に心の距離を近づけていく。そんな2人にニヤニヤさせられっぱなしでした。

気になった点を言うと、後半どんどんエッチなことに前のめりになって食いついてくるのがちょっとイマイチでした。普段は尻に敷かれる関係なんだけど、夜は明かりを消して恥じらいながらそっと体を求めてくる、芳乃ってそういう女の子なんだろうなーと勝手に思ってる部分があったので。エッチに貪欲な子も嫌いではないですけどね。

小春ルート

幸せそうに食べる子ってかわいいよね

OP見てびっくりしました。「今回サブヒロイン2人おるやん!しかもメイン張れるぐらいかわいい!!」と。(サノバ〜ステラまではいつもサブヒロイン1人でした)
ということでサブヒロイン枠1人目。ロリ従姉妹最高。
呪いは関係なく、バイトに励み親交を深めていくという短めながら平和な話になります。

残酷なことに、サブヒロインのルートは途中まで2人同時に惚れさせるので1人は曇ることになります。小春も芦花姉も魅力的なだけに選べない、辛え…
でもどちらかが出し抜くとお互い後味が悪いのでフェアに競争してたのは良かったですね。交際後も幸せそうなカップルで何より。あと2回目のエッチは刺激強すぎてヤバかったですね(笑)
付き合ってからデートもなくいきなりエッチ2回で両親にご挨拶END。良くも悪くもエッチシーンを中心に楽しむライトなシナリオだと思います。

義兄さんいいこと言うじゃないですか


ムラサメルート

そうなのか、知らなかったよ・・・

個人的にはこのルート結構好きです。
ロリ幼女。朝から甘えてきたり、頭を撫でられて喜ぶなど、さながら姉妹の末っ子という感じで見てました。
共通ルートでは主人公のナビゲーターとかペットみたいな存在だったムラサメちゃんの、隠された一面を見出していくのがこのルートの真髄だと思います。
穂織の人には神様として崇められていますが、中身は容姿相応のフツーの甘えんぼの女の子なんですよね。そんな子が500年の時を一人で過ごしてきた。孤独や家族との別れを経験し、人との心の距離が分からなくなってしまった子が再びふれあいを取り戻し強い絆を結ぶ、ある意味究極の純愛だと思います。
人外ヒロインなので受肉までにまた一山重い展開があるのかなと思いましたが、意外とあっさり人に戻ることができて良かったと思いました。むしろその後の方が色々葛藤があったようですけどね。とにかくめでたしめでたし。
良くも悪くもイチャイチャ特化のシナリオ。裏で進んでた町おこし云々の話は、主人公や他キャラの魅力をあまり引き出せずグダグダだったかなあと。流し読み程度で読んでました。

ところで、エロゲーやらギャルゲやらラブコメやらでたくさんヒロインがいるとき、「(私は孤独になっても別にいいから)気にしないであなたの望みを叶えてくれ」みたいな少し寂しそうな目をして笑う女の子がいたら、どうしてもその子を選んじゃいたくなりませんか?
守ってあげられる・笑顔にしてあげられるのは自分だけだ、って男の本能的に思っちゃうんでしょうね。反則ですわ。
(ムラサメちゃん√にグッときた方は、コードギアス復活のルルーシュもぜひ見ましょうね)

芦花ルート

・・・筆下ろしの練習ですか?

サブヒロイン2人目。幼馴染にして頼れるお姉さんキャラ。どちらかというと他ヒロインの√で主人公の恋路を応援してくれる印象が強い子です。
ヒロインの中でも唯一の年上属性、何かにつけてリードしたがりです。が、その一方で恋愛に対してはあたふたしたり、酔った時には甘えてくるギャップもたまらん!!

年下の将臣君相手に、告白のシーンでいきなりお嫁さんにしてくださいって懇願してくるのはちょっと驚きました。実は重い子なの?
芦花姉もまだまだ若いのに親に結婚しろ結婚しろ言われるのは、田舎特有のめんどくさい感じを妙にリアルに表してますよね(苦笑)

サブヒロイン√なので、小春√同様にイチャイチャとエッチを楽しむの中心のライトなシナリオでした。

茉子ルート

大本命。期待を裏切らない良ルートでした!!!
(ゆずソフトは代々セカンドヒロイン人気がエグいことで有名ですが、茉子についても十分納得できるシナリオだったと思います。)

家事上手で女子力高い下ネタ大好き忍者さん。明るく無邪気で他人とも打ち解けやすい雰囲気は次女っぽい感じ。
呪いも万事解決して、芳乃との婚約を解消するかどうか、というところから物語は始まります。
芳乃ルートではとんでもない性教育を施したり、ムラサメルートでは夜這いをけしかけたり、他のヒロイン口説いてる時もいっつも冷やかしてくるので恋愛慣れしてる子なんだろうな~と思ってましたが、意外にも自分の恋愛のこととなるとあたふたしたりめんどくさいこと言いだします。まあそういうとこが可愛いんだけど!

んんんんんん!???!!?!!
ああぁ─────────────(絶命)

「私はヒロインにはなれない」とかめんどくさくて重い女みたいなこと言ってる茉子でしたが、ヒロイン力でいうなら全ルート最強でした。間違いなく。根がめちゃくちゃ乙女で、好きになった人にはとことん甘えて温もりを求めてくる女の子、控えめに言って最高ですね。
この子は共通√でもフレンドリーながらどこか一線を引いていて、全然自分をさらけ出そうという素振りが見られませんでした。その反動というのか、犬になったりデートしたり心を許してからのデレデレっぷりの破壊力は凄まじかったです。付き合った後なんかはバカップルすぎて見てるほうが恥ずかしくなる・・・
(茉子は少女漫画好きという設定でしたが、好きな人の前で犬に変身しちゃうってなんか少女漫画チックな展開ですよね、フルーツバスケット…?)
あと交際に至るまでの間芦花姉にかなり助けられました。芦花姉グッジョブ!
エロシーンは言わずもがな。相当な色好みでお互いグイグイ求めて狂ったようにヤリまくります。茉子ニー最高。

依代の獣に取りつかれたことがきっかけで恋をしなくてはならない、というのが大義でした。獣が望む通りに茉子は恋をし、夢の中で対話して親近感すら覚えていきます。最後の方は茉子のあまりのバカップルぷりに獣すら若干引き気味でしたね(笑)

貴方もいつか誰かを好きになったら、きっとわかるわ

獣の回想で現れた優しい女性のセリフ、いったい誰の言葉だったのでしょうね・・・

レナルート

仲居さん衣装とても似合ってます。色気出まくり

外国人留学生の女の子。皆に対してオープンでフレンドリー。何がとは言わんがデカい。
主人公と同じく穂織の外からやってきた子なので、あんまり重い話はないだろうと舐めてましたが、まさかの実質グランドルートでした。これは本当に最後にやってよかったと思います。

レナルートでは、共通√ラストバトル(最後の依代集め)の部分からもう話が変わります。戦いにレナも巻き込まれてしまい、依代を吸収し二人は過去の穂織の夢を見る様になる。レナを救ったことで個別√開始時点でもう惚れられてるし、他√の様に穂織を離れるかどうかの選択もできません。""主人公が自発的に選ぶ前から、物事が勝手に進んでいく""のがこのルートの特徴の一つです。
最後のまとめの章でも言及しますが、穂織に住み慣れた人間ではなく他所から来たレナが真実の歴史の語り手を務めるシナリオはよく考えられているなと感心しました。
「芳乃がメインヒロインなんだし、答え合わせのグランドルートも芳乃√に入れるべきだったのでは?」と少し思いましたが、朝武の呪いや穂織の伝承の当事者ではなく傍観者・観測者としてのヒロインはレナだけだったので、この役目は必然だったんじゃないかと私は勝手に思ってます。
芳乃√の「呪いを解き、亡き母の真意を知り、未来に目を向けられるようになる」というテーマを描くにはそれだけで十分ボリュームあるので、ここに全体の答え合わせまで入れてしまうと詰め込み過ぎて内容が薄まり逆にイマイチになってしまっていたかもしれません。

この√で印象的なのは、なんといっても夢の中で語られる、山の娘・叢雲の悲愛と山の子・白狛の忠臣っぷりでしょう。とても心打たれる話でしたね。
茉子√で茉子に取り付いてバカップルしぐさを延々と見せつけられていた、良心ある怪物はこの犬神様でした・・・

恋愛に関しては、この子序盤からかなりグイグイ来ます。やっぱ海外の子って積極的なんでしょうか、茉子や芳乃が奥手でなかなか素直になれなかったのと対照的でしたね。負傷した将臣君を気遣ったり少しでも傍にいようと頑張るけなげな様子は見ててニヤニヤしてしまいました。
付き合ってからもラブラブっぷりを見せびらかすことに抵抗はないようで、バカップル通り越して「これが当たり前でしょ?」と言わんばかりの感じでした。将臣君もだんだんそういうノリに染まっていくのも笑えたし、これも文化の違いなのか・・・
あと、星座の話もありましたが離れていても家族を大事に思うとこは純粋に良い子なんだなあと思わせる一面でした。
エッチのほうも巨乳っぷりを生かした凄まじいものでした。

ジャパニーズ夜這いでドン引きされる図。メンツがキツい・・・

統括

すごく面白かったです!!
さすが人気作だけのことはある、裏切らない面白さだったなと思いました。世界観に没入できたし、古の物語をじっくりと味わうことができました。

全体的なテーマとしては「穂織の古くからの呪いや、しがらみに囚われている女の子たちを主人公が解放していく」というお話しだったように思います。各ヒロインがそれぞれ深刻な悩みを抱えていて、特に朝武家の3人なんかはこれまで青春を謳歌し恋や遊びを楽しむこともままらなかった。そんなヒロイン達に対して主人公が奮闘し解決に動く中で、穂織や呪いの謎を紐解いていく。そうして断片的に語られてきた穂織の歴史が、最後のレナ√で伏線回収されひとつの線となる。
これまで私がやったゆずソフトの過去作は、各ヒロインはあまり関連性のない、独立したシナリオになってることが多かったです(リドジョは結構他ヒロイン√で得られる情報が伏線になってたりしたかも)。
が、本作は全ヒロイン√プレイすることで初めて壮大な物語を味わうことができるのではないかと思います。

ムラサメちゃんのこのセリフ、割と本作品全体のテーマに近い核心突いてるかもしれません

まあ、あと最初に「千恋*万花はプレイする順番が大事」と書きましたがこれは本当にその通りだなと痛感しました。芳乃√や茉子√よりも先にレナ√やってしまってたら台無しだったと思います。
ヒロインも朝武家3人をはじめ魅力的な子揃いで、ゆずソフトの十八番である純愛とイチャイチャを存分に味わえるシナリオだったと思います。
エロだけじゃなく物語で推せるエロゲなのでぜひとも色んな人にプレイしてほしいゲームだなと思いました。

最後のここのタイトル回収で感極まって涙してしまいました。ありがとう・・・

<おわり>


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