「紫陽花は鎌倉。六月の鎌倉なのよ」と愛知のコユリは言った。
木曜日のことだった。私は有意義な読書会を堪能した。正確には有意義だったということがハッキリ分かったということだ。谷崎潤一郎についての読書会ということで参加したのだが、ほぼ覚えていない。緊張で何を喋って何をしたのかほとんど忘れてしまっていた。それを吉穂みらいさんという稀有な記憶力の持ち主がいてくれたおかげであの日確かに私は読書会に参加していたことが分かった。
どうしてその木曜日の出来事から話さないとならないかだ。それは金曜日の話をしたいからだ。木曜日の次は金曜日と決まっている