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アントワネットとアンソニー、アントニオは同じ名前
前回、前々回に続き、ローマ神話由来の名前アントニウスから派生した名前について解説します。
アントニオ猪木
アントニオ猪木の「アントニオ」にはどのような意味があるのでしょうか。
アントニオは英語名「アンソニーAnthony」「アントニーAntony」に対応するポルトガル語名「アントニオAntonio」から名付けられたリングネームです。
猪木は苦しい生活から抜け出すために家族でブラジルに移民し、現地で興行していた力道山に見出されプロレスラーとして戻ってきました。当時のレスラーである、アントニオ・ロッカにあやかって名付けられたそうです。
アントンの子孫
伝説によれば、ローマの将軍マルクス・アントニウスは英雄ヘーラクレースの息子「アントンAnton」の子孫であり、ヘーラクレースはゼウス(=ユーピテル)の子なので、アントニウス氏族はユーピテルの子孫であることになります。
「アントーニウスAntōnius」は氏族名として使われました。その意味するところははっきりしませんが、ギリシャ語で花を意味する「アンソスAnthos」と結びつけて解釈されています。
アントニウスはドイツ語で「アントンAnton」です。ドイツ人ではありませんが、ロシアの劇作家アントン・パヴロヴィッチ・チェーホフで知られています。
アントワネット
フランス語では、「アントワーヌAntoine」です。フランスの童話作家、「星の王子様」が有名なアントワーヌ・デュ・サンテグジュペリで知られています(サンテグジュペリはSaint-Exupéry)。アントワーヌに指小辞-etteがつくと、「アントワネットAntoinette」という女性名になります。言わずと知れた、フランス革命で断頭台にかけられたジョセフ・ジャンヌ・マリー・アントワネット(フランス語名)が思い浮かぶでしょう。
愛称はトニー
イタリア語、スペイン語では「アントニオAntonio」、カタルーニャ語では「アントニAntoni」です。作曲家のアントニオ・ヴィヴァルディや建築家のアントニ・ガウディ・イ・コルネットで知られた名前です。
アントニー、アンソニーの愛称には、「トニーTony」がよく使われます。世界的なコーチのトニー・ロビンズや元英国首相のトニー・ブレアなどが有名で、本名はアンソニーです。