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コロンブスの名前の意味
前回の続きです。地名の前にコロンブスの名前の意味についてです。
クリストファー
さて、クリストファー・コロンブスについてはこれまで何度も触れてきましたが、名前の由来については触れていませんでした。
「クリストファーChristopher」とは、ギリシャ語の「クリストフォロスKhristophoros」に由来し、Khrīstos+phoros「背負って運ぶ」で構成され「キリストを背負う者」という意味です。
3世紀に殉教した、巡礼及び旅人の守護聖人とされるクリストフォロスに由来する名前であり、小さい子供に扮したキリストを背負って川を渡ったという伝説があります。
クリストファーのバリエーションとして、ドイツ語名は「クリストフCristoph」、イタリア語名は「クリストフォロCristoforo」、スペイン語名は「クリストバルCristóbal」、ロシア語名は「フリストフォールKhristofor」があります。コロンビア共和国にはクリストバル・コロン山がありますが、これはクリストファー・コロンブスのスペイン語名です。デンマーク語名は「クリストファChristoffer」で、13世紀から15世紀にかけてのデンマーク王にこの名前が見えます。
キット・カット
クリストファーの愛称には、「クリスKris」「クリスティCristy」「トファーTopher」「キットKit」「トフラーToffler」などがあります。トフラー、クリスティは姓にも転化しており、未来学者のアルビン・トフラー、小説家のアガサ・クリスティがよく知られています。
チョコレート菓子で知られる「キット・カットKit Kat」は、18世紀にイギリスの「クリストファー・カットChristopher Catt」という人物が食堂で出していた羊肉パイにつけたメニュー名称、「キット・カットKit Catt」に由来しています。cattは「猫」の意味です。
コロンブス
「コロンブスColumbus」は、ラテン語で鳩を意味する「コルンバcolumba」から派生した名前で、鳩は平和の象徴であるとともにキリスト教における聖霊の象徴でもあります。つまり、クリストファー・コロンブスとは「キリストを背負う者+聖霊」という意味の、極めてカトリック色の強い組み合わせになります。
コロンブスのラテン語名は「コルンバヌスColumbanus」で、アイルランドとスコットランドにキリスト教を布教した大コルンバヌスとアイルランドの修道士でスイスや北イタリアに修道院を建てた小コルンバヌスが知られています。
マルコムX
コルンバがゲール語的に変化した「コルムColm」を要素に持つ名前に「モエル・コムMael Coluim」があります。その意味するところは「コルンバのしもべ」です。
モエル・コムが英語化された「マルコムMalcom」という名前は、10世紀から12世紀のスコットランド王に見られます。マルコムで特に知られているのが、映画「マルコムX」で有名な黒人解放運動の指導者マルコム・リトルです。
コールマン
さらにコルムから派生したアイルランド系の名前に「コールマンColman」があります。日本ではウィリアム・コフィン・コールマンが創業したキャンプ用品製造・販売業者のブランド名としてよく知られています。