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フリードリッヒは「平和の王」

 北欧神話由来の名前の続きです。今回はフレイと関連する名前です。
 豊穣神フレイFreyと双子の女神フレイヤFreyaは父のニョルズとともに、ヴァン神族とアース神族の抗争の講和条件としてアース神族に差し出されました。つまりヴァン神族出身です。

フリードリッヒ

 「フリートfried」という名前の要素はフレイと同系の言葉であり、関係があります。フリートを要素に持つ、よく知られている名前には「フリードリッヒFriedrich」があります。歴史上の人物では第2回十字軍に出陣した神聖ローマ皇帝フリードリッヒ1世、愛称バルバロッサ「赤ひげ」がよく知られています。
 フリードリッヒはドイツ語名であり、ゲルマン祖語の*friðuz「平和」+*rikjaz「支配者」で構成され、「平和の王」という意味になります。
 フリードリッヒの英語名は「フレデリックFrederich」、フランス語名は「フレデリクFrédéric」です。ポーランドからフランスに移住したピアノの詩人フレデリク・ショパン(フランス語名)が有名です。
 イタリア語名、スペイン語名は「フェデリコFederico」といいます。ナポリ王やシチリア王にフェデリーコ○世の名前が見えます。
 フリードリッヒの愛称は「フリッツFritz」「フレディFreddy,Freddie」であり、「進撃の巨人」のフリッツ王や英国のバンド、クイーンのフレディ・マーキュリーが知られています。

アルフレッド

 フレイはアールヴヘイムAlfheimr「妖精の国」の支配者であり、アールヴはエルフのことです。
 アールヴの要素を持つ人物には、ウェセックス王の「アルフレッドAlfred」大王がいます。-redが「指導者」なのでアルフレッドは「エルフの王」、つまりフレイを意味します。

オリヴァー

 「オリヴァーOliver」という名前にもエルフが含まれています。
 オリヴァーは中低地ドイツ語のalfiharに由来し、alf「エルフ」+hari「軍隊」で「エルフの軍隊」という意味です。古フランス語でOlivierという形になって英語に取り入れられました。

ユングヴィ

 「ユングリンガ・サガ」によると、ユングヴィはオーディン、ニョルズの跡を継いで神々の司祭となり、スウェーデンのユングリング王家の祖となりました。古ノルド語「ユングヴィYngvi」、古高地ドイツ語「イングIng」は豊穣神フレイの古い名前であり、つまり同一神です。
 「ユングヴェYngve」という名前はスウェーデンやノルウェーで男性名として使われています。
 この他にもゲルマン民族の多くの王や貴族の系図は、オーディンの子孫であるとされています。
 「あれ?神々はラグナロクで滅亡したのでは?」と思うかもしれませんが、パラレルワールド的な展開だと考えてください。一人の作者が整合性を考えてストーリーを作ったわけではないからです。

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