
英国国旗は3人の聖人旗でできている
今回は、英国国旗であるユニオンジャックについて解説します。
ユニオンジャック
ユニオンジャックはユニオンフラッグともいいます。
ユニオンジャック?ジャックって何だ?と思いますよね。ジャックとは「船首旗」のことをいいます。国旗などを船首に掲げることによって、どこの国の船かを識別するためのものです。
船首旗がなぜジャックと呼ばれるようになったかというと、この場合のジャックは通常よりも小さいサイズのものを意味し、船首旗は通常の旗より小さかったからだと言われています。スチュアート朝の創始者であるスコットランド王ジェームズ6世が、イングランド王ジェームズ1世として即位し、同君連合が成立しました。船首には同君連合旗、艦尾に所属国旗を掲げるように命じたことが船首旗の慣習の始まりです。
やがてユニオンジャックは船首旗の意味を離れて英国国旗そのものを指す言葉となり、ユニオンフラッグよりも一般的な呼び方として定着していきました。
聖ジョージ
ユニオンジャックは、聖ジョージ旗、聖アンドリュー旗、聖パトリック旗の3つを合成した旗です。ジョージ?アンドリュー?パトリック?誰?と思うでしょうから、まずこれらの聖人について、由来を紐解きましょう。
聖ジョージは、イングランドの守護聖人です。聖ゲオルギウス(ジョージ)は、ローマ軍人としてパレスチナに派遣され、その地を荒らしていた龍を退治し王女を救うとともに、パレスチナをキリスト教化したとされる殉教者です。
時代は下って、十字軍がシリアの首都アンティオキアを攻めあぐねていたときに、白い甲冑、白馬に乗って白地に赤の十字が描かれた旗を掲げて現れ、十字軍を勝利に導いた、という伝説が西欧に伝えられました。この旗が聖ジョージ旗です。その後、聖ジョージは、オクスフォード宗教会議で正式にイングランドの守護聖人と定められました。
サッカーやラグビーの代表戦では英国全体ではなくイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドがそれぞれ別の代表として出場するので、イングランド代表はユニオンジャックではなく聖ジョージ旗が使われています。
聖アンドリュー
聖アンドリューは、スコットランドの守護聖人です。聖アンデレは布教に努め、パトラスという現ギリシャの都市でΧ十字にかけられ殉教しました。その聖遺物が聖レグルスにより殉教地から掘り起こされ、コンスタティノープルに向かったものの、嵐で遭難し、スコットランドの東岸に流れ着いた(エーゲ海から北海に…?)という伝説があります。青地に白のΧ十字が聖アンドリュー旗です。
聖パトリック
聖パトリックは、アイルランドの守護聖人です。レランス修道院で修道したパトリックは、アイルランドでキリスト教の布教に尽力しました。白地に赤のΧ十字が聖パトリック旗で、最初は聖パトリック騎士団の勲章として使われました。
ユニオンジャックの青地は聖アンドリュー旗の青を濃紺に変更したもの、真ん中の赤十字とそれを縁どる白は聖ジョージ旗から、斜めのクロスの白部分は聖アンドリュー旗、赤部分は聖パトリック旗から、という構成になっています。
よく見ると聖ジョージ旗のデザインが一番前に配置されているのがわかると思います。