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ヴィーナスの意味は「肉体的愛」

 引き続き、ローマ神話由来の名前について解説します。一連のシリーズは以下の記事です。


ヴィーナスとフェリックス

 春の女神にして美の女神「ウェヌスVenus」は、ギリシャ神話のアプロディーテーに対応するローマ神話の女神です。ウェヌスの原義は肉体的愛であり、英語読みした「ヴィーナスVenus」の方が私たちには馴染み深いですね。ヴィーナスという名前は、元女子プロテニス選手のヴィーナス・ウィリアムズがよく知られています。
 ウェヌスの添え名のひとつに「フェーリークスfēlīx」があり、「幸運」を意味します。「フェリックスFelix,Feliks」というと黒猫のキャラクターであるフェリックスくんが思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか。歴代ローマ教皇にもフェリックス○世という名前が見られます。フェリックスの女性名は「フェリシアFelicia」「フェリシティFelicity」です。いずれもウェヌスに由来する名前と言えるでしょう。
 ゲーテの作品の主人公「ファウストFaust」もラテン語「ファウストゥスfaustus」に由来する名前で、「幸運な、祝福された」を意味します。

ウゥルカーヌス

 火の神、鍛冶の神「ウゥルカーヌスVulcānus」は、ウェヌスの配偶神です。ギリシャ神話のヘーパイストスと同一視され、シチリア島のエトナ山の内部に鍛冶炉を持っていました。
 英語名はヴァルカンであり、火山を意味する「ヴォルケーノvolcano」の語源となっています。

カエキリウスとセシリア

 「カエキリウスCaecilius」は多くの共和政ローマの執政官を輩出した、平民に属するローマの氏族名で、盲目を意味する「カエクスcaecus」に由来しています。カエキリウス氏族の祖先カエクルスは、ウゥルカーヌスの火花から生まれた息子とされています。この名前は、音楽家と盲人の守護聖人、聖セシリア(ラテン語名カエキリア)にちなんだ名前として広まりました。
 英語名は、「セシールCecile」です。元メジャーリーガーで、日本のプロ野球でも活躍したセシル・グラント・フィールダーが知られているでしょうか。カタログ通信販売会社のセシールを思い浮かべる方も多いかもしれません。
 女性名は「セシリアCecilia」です。愛称には、「シシイSissy」「セシリーCecily」「セリアCelia」があります。

 いかがだったでしょうか。様々な名前がローマ神話に起源をもっていましたね。ローマ神話にちなんだ名前はまだまだあるので、次の機会に取り上げたいと思います。

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