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Real GDP growth | データで世界を見てみる

今回は、IMFの「Real GDP Growth (Annual Percent Change)」について見ていきます。
Real GDP Growth とは、物価変動の影響を除いた実質国内総生産 (Real GDP) の年ごとの増加率を示す指標です。経済の成長スピードを評価する際に用いられ、国や地域ごとの経済活動の動向を把握するのに役立ちます。

データはこちらからダウンロードできます。

なぜこのデータを見るのか?

経済成長率は、国や地域の経済的な活力を測る重要な指標の一つです。このデータを見ることで、以下のようなことが分かります:

  • 世界経済の中で、どの国や地域が現在注目すべき成長を遂げているか

  • 成長率の高さが投資やビジネスの機会を生む可能性がある国の特定

  • 経済成長の偏りや、課題がある地域の把握

特に、GDP成長率の高い国では、新興市場としてのポテンシャルが期待される一方で、成長が持続可能かどうか、貧困問題や格差拡大などのリスクも併せて考える必要があります。このような観点を持ちながら、データを分析する必要があります。

まずは地域別のGDP成長率(2025年)を見てみましょう。


1.地域別に眺めてみる

IMF, Real GDP growth Annual percent changeより作成

本図は、ヨーロッパ(青色)、アジア・太平洋(緑色)、アフリカ(ピンク色)、中東(紫色)、西半球(赤色)の5つの主要地域における経済成長率を比較したものです。
地域別の成長率では、アジア・太平洋が4.4%で最も高く、次いでアフリカが4.2%、中東が3.8%という結果になっています。

さらに、各地域を詳細に分類した結果を見ると、特に注目すべきは南アジアで、成長率が6.0%と突出しており、他の地域を大きく上回っています。一方、ヨーロッパ内では東ヨーロッパが2.1%、西ヨーロッパが1.3%とやや低調な成長にとどまっています。アフリカでは北アフリカが4.0%、サハラ以南アフリカが4.3%とほぼ同水準の成長率を示しています。


2.グループ別に眺めてみる

IMF, Real GDP growth Annual percent changeより作成

本図は、グループ別に分類された実質GDP成長率を示しています。
全体として、新興市場および発展途上国(Emerging Market and Developing Economies)の成長率は4.2%と、他のグループを圧倒的に上回る結果となっています。一方、先進国(Advanced Economies)は1.8%と比較的低調であり、その中でも欧州連合(European Union)は1.6%と特に低い成長率となっています。

新興市場および発展途上国の中では、アジアの新興国および発展途上国(Emerging and Developing Asia)が5.0%と最も高い成長率を示しており、特にASEAN-5(インドネシア、マレーシア、タイ、フィリピン、ベトナム)の成長率は4.5%と高い水準を維持しています。
一方で、新興国ヨーロッパ(Emerging and Developing Europe)は2.2%、ラテンアメリカとカリブ地域(Latin America and the Caribbean)は2.5%と、相対的に低い成長にとどまっています。

このデータは、新興市場の中でも特にアジアが世界経済において重要な成長エンジンであることを示唆しており、地域やグループごとの成長パターンの違いが鮮明に浮き彫りになっています。


3.国別に眺めてみる

全ての国を一度に把握するのは難しいため、GDP成長率の数値を基に、次の4つのグループに分けて整理しました。

  • 第1グループ: 5.0%以上

  • 第2グループ: 3.5%~4.9%

  • 第3グループ: 2.5%~3.4%

  • 第4グループ: 2.4%以下

※ 世界平均: 3.2%

それでは、2025年のデータを見てみましょう。以下のグループごとのデータを基に、それぞれの国や地域の位置づけを確認していきます。


第1グループ(5.0%以上),第2グループ(3.5%~4.9%)

IMF, Real GDP growth Annual percent changeより作成
IMF, Real GDP growth Annual percent changeより作成

第3グループ(2.5%~3.4%),第4グループ(2.4%以下)

IMF, Real GDP growth Annual percent changeより作成
IMF, Real GDP growth Annual percent changeより作成

GDP成長率だけで国の良し悪しを判断することはできませんが、こうしてグループ化すると、ある程度の傾向が見えてきます。

特に日本の位置には注目してみてください。(下から数えてみてください)


おわりに

今回は、IMFが発表している「Real GDP Growth (Annual Percent Change)」のデータをもとに、地域別▶グループ別▶各国という順番で実質GDP成長率を比較してきました。地域ごとの動向から、新興市場や先進国のグループ単位での特徴、さらに各国の位置づけまで、多角的な視点で経済成長率を眺めることで、世界経済の全体像とその多様性を理解することができました。

特に、新興市場および発展途上国が世界経済の成長エンジンとして重要な役割を果たしていること、そしてその中でもアジア地域が突出した成長を遂げていることは非常に印象的でした。一方で、先進国の成長率が相対的に低調であることから、地域や国ごとの課題と機会が明確に分かれていることも確認できました。

ぜひ皆さんも、ご自身が関心を持つ国や地域の成長率を調べてみてください。そこから見えてくる新たな発見が、世界経済をより深く理解するきっかけとなるはずです。

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