見出し画像

令和7年度税制改正③ iDeCo5年ルール→10年に延長で裏技NG、退職金改悪

前回・前々回のコラムでは、令和7年度税制改正大綱について次の2つをお話ししました。

1. iDeCo・企業型DCの拠出限度額引き上げ
2. 60歳以降、 iDeCoに加入できなかった人でも新たにiDeCoに加入できるようになる改正(就労形態により加入できない不整合の改善)

今回は3回目のコラムになりますが「退職金やiDeCoの一時金を複数回にわたって受け取る場合の退職所得控除の重複期間が、5年から10年へ延長される」という改正を取り上げます。

*このコラムはChat GPT o1 により作成、私が監修したものです。

YouTubeはこちらからご覧頂けます

動画配信準備中です。


SNS(Xなど)では「iDeCoが改悪された」と言われがちですが、正確には、「iDeCoを先に受け取った後に続けて受け取る退職金が重複期間にひっかかりやすくなる=退職金改悪」です。

なぜ「5年→10年」への延長が問題視されているのか

(1) 従来の“5年ルール(4年超空ければOK)”とは?

iDeCoや企業型DCを60歳で受け取り、4年を超えて(5年経過して)、例えば65歳で企業から支給される退職金を受け取ると iDeCoと退職金について、退職所得控除の計算上の重複期間があっても、重複とみなされず(別の退職所得とみなされて)、 iDeCoのあとで支給される退職金が課税されにくい状況でした。

iDeCoと退職金それぞれの退職所得を計算する上で、重複している期間があったとしても受け取る時期次第で退職金にかかる税金を計算する際に退職所得控除がフルに“復活”して使えたわけです。

これ、改悪と言われてますが、そもそも変です。世間はネガティブな反応ですが、そもそも裏技のようになってしまってますので不公平と私は思います。

*文章だけで理解頂くのもなかなか難しいと思います。随分前に配信した過去動画ですが、全くちんぷんかんぷんな人はコラムとあわせて視聴してみてください。

【企業年金と税金】確定拠出年金を先に受け取り、4年超えて退職金をもらうとお得!?を解説します

退職金と確定拠出年金を別の年に受け取る場合の退職所得控除【コメント回答・解説】

(2) 今回の改正で「重複期間」が5年→10年に延長へ

令和7年度の税制改正大綱では、1回目の iDeCoの受給時期から10年以内に2回目の退職金を受け取る際、従来よりもさらに厳格に重複計算する方向になっています。

その結果、iDeCoを60歳で受け取ったあと、65歳で退職金を受け取ると5年空いていて退職所得控除を2回フルに使える現状から税制改正大綱に記載された通り10年ルールにひっかかり、思ったより退職所得控除が減ってしまった結果、課税されやすい、税額が多くなるケースが増えるかもしれないと懸念されているのです。

「iDeCo改悪」? それとも「退職金改悪」?


SNSで「iDeCo改悪」と言われることが多いのは、先にiDeCoを受給するとあとから受け取る退職金の税優遇が目減りするため、iDeCoに入らなければよかったと思うのかもしれません。

しかし、厳密には「iDeCoを受け取った後に (10年以内に) 退職金を受け取ると、退職所得控除が重複制限されやすくなる」= “退職金改悪”ともいえるというのが実態に近いでしょう。

課税強化回避のテクニック

今回の退職所得の重複期間の見直しにより、退職所得に課税がされやすくなるわけですが回避する方法はあります(使えるケースは限られていますが・・)。

もし、リクエストがあればYouTubeで語ってみますので動画のコメントで教えてください。

ただ、イタチごっこですね。目立つ裏技は塞がれます。

大森 祥弘の視点

退職所得の課税見直しは、退職所得控除額について近年、頭出しされています。勤続期間が20年を過ぎると退職所得控除の増加幅が増える、言い換えると勤続20年以上の長期勤続が税制上優遇されているとも言えます。

この状況について、勤続期間の長短により控除額が違うのは転職の一般化という観点、労働移動を阻害するという観点でネガティブに扱われています。

この意見について、色々な考え方があると思います。私も勤続20年を境に退職所得控除額の増加幅が増えていくという点、勤続20年で区切っていることに疑問を持ちます。

ただ、なぜ20年で区切っているかご存知ですか?

税法に限らず、私が近年の法改正に懸念を持っているのは「なぜその数字になっているのか?、そういった制度設計がされているのか」について背景を含め語れる人がいないということです。

なぜそうなっているのか、数字を決めた時の検討経過をしっかりと掴んでいない状態で現状の情報だけに基づいて税法を変えるということは未来への説明責任が果たせません。この点はしっかりしてもらいたいと思っています。

また、退職金制度ってオワコンに近いというか、かなり使いづらいなと改めて思いました。特にiDeCoと退職一時金制度の併用の場合、先に退職金もらって後でiDeCo受け取るパターンだと自分で税制メリットを考えてiDeCoに加入したのに先に支給された退職金で退職所得控除が一部使われちゃうのでiDeCoにしっかり取り組んできた(または頑張って満額近く入金してきた)人からすると企業が支給する退職金って変なタイミングで変な金額を支給されちゃうと余計なんですよ。

コラムや動画をご覧いただいて、ぜひ皆さんの意見や考えをYouTubeコメント等で寄せて頂けますと嬉しいです。最後までご覧いただきありがとうございました。