ライブスクリーンと境界面
COMPLEX、Red Hot Chili Peppersと東京ドームの音楽ライブに遠い席からほぼ真正面でステージに近い席まで3回立て続けに参加してきた。遠い席といっても1階スタンド前列ではあるのだけどそれでも100m以上離れているのでアーティストは豆粒にしか見えない。必然的にスクリーンを観ることになる。
遠い席の回、ふとライブ中に、あれ、なんだこの、冷めた感じになるのは……と違和感を感じた。そう感じさせたものの1つはスクリーンによる「境界面」だった。最近よく気になるここでも境界面か!
ライブスクリーンに限らず、私たちがスクリーンで観るものは、レンズによって切り取られた映像だ。レンズはなにかにフォーカスすることで一点に集中させ、観るものをそこだけに集中させる特性がある。
ライブ会場という空間にいるけれども、スクリーンのこのような特性からステージパフォーマンスの一部が切り取らせて、視点が固定化されて客観的に観ている自分がいた。ライブなのに身体性がない。そういうことか……。
さらに、ライブスクリーンには、リアルタイム編集技術が向上したことで、様々な「演出」が入るようになった。複数台のカメラでアーティストのカットが目まぐるしく変わるだけでなくVJ的なエフェクトが多く入ることによってリッチな演出にはなったのだが、より肉眼で観ている世界とスクリーンを通して観ている世界が同一に見えない。より境界があるように映ってくる。
「演出」としては必要なところもあるのかもしれないが、物理的な観客席の距離をカバーするスクリーンということなのであれば、この演出は、より境界面を観ている人に意識させるものになってしまっているように感じた。ライブを体験されるのであれば、定点やアーティストをただ追いかけるようなカメラワークのほうが体験が深まるように思うのだけれどどうなんでしょうか。
ライブの楽しみ方は会場の空気、一緒に観ている観客との一体感など様々だと思う。遠くでも周りはめちゃくちゃ盛り上がってたので私が妙にここらへんいま気になってるだけかもしれません。アーティストのライブパフォーマンスとしてはどの回も最高でした。
ドーム級で鳴らす音ってどうなってるんだろうというのもも少し調べたのでどっかでさらっと書いておこうかなぁ。だいぶこっちも進化してました。