第2回蜃気楼大学
第1回に引き続き、第2回蜃気楼大学に参加してきた。
参加した講義
公開対話「KitCoinを巡る未来のお金と、お金の未来」(斉藤賢爾
早稲田大学 大学院経営管理研究科教授、橘川幸夫『イコール』編集長、高野雅晴 株式会社ビットメディア 代表取締役社長)「「当事者」としての組織作り:縁起的な組織観に基づく実践のアプローチ」(山田 裕嗣)
声と目が身体性ワークで1時間でどこまで変わるか参加型極限セッション」(宮崎要輔)
「日本人論」~「日本人の幸福論」PJCTの発表(久恒啓一・垣内武・鈴木章子)
他にも受けてみたい講義はあったがマルチセッションなので参加できるものも限られている。
1.公開対話「KitCoinを巡る未来のお金と、お金の未来」(斉藤賢爾 早稲田大学 大学院経営管理研究科教授、橘川幸夫『イコール』編集長、高野雅晴 株式会社ビットメディア 代表取締役社長)
高野さんがモデレーターをして橘川さんと斉藤さん(サイケ)がお金の未来をテーマに対話する。
8割方のいやなことはお金絡み(言い方は少し違ったと思う)。それほどお金は強力だ。暗号通貨は新しい貨幣の可能性を秘めているが、キットコインは橘川さんなりの端境期としてのパロディアだが本質をついている。
橘川さんのコンテンツに関わるとバーターでキットコインをもらえたり、払えたりする。キットコインは社会自我で他人とつながれるツールである。
コインも発行されているわけではないが、キットコインはP2Pだ。橘川さんの考えにはP2Pがいろんなところに染み出してくる。キットコインは知らない人に渡しても意味がない。個人という中央が周りとつながることによって信用される、まさにネットワークが信頼を担保するような考えだ。
橘川さんが発行した「キットコイン」
印象に残ったのは「分業」だ。ここ数年分業が幸せを感じにくくしているという持論があった。今の社会は「分業」しないとお金が成立しない。
自分で食べるものを作らない、安全保障を担う国家。国家が成立する要件として、分業社会とお金は三つ巴だ。
テクノロジーは社会の分業化を進めてきた側面もあるが、一方で小さな力で作り出せる範囲を拡大しつつもある。計算機、インターネットでだいぶ景色が代わり、LLMの流れからのAI、ロボティクスでずいぶん景色が変わりそうだ。
つまり、自分たちでなんでもできちゃうし、資本があまりいらなくなる社会も少し可能性が見えてきた。これも、いまは少数のビックテックにおけるAIに莫大な投資に支えられている側面もあるが、Open AIは2023年で375人しかいない。幸せ側面でいえば、分業しなくてもできることはインターネット上に限らず、ロボティクスの支えでより広がってきそうだ。
と、こんなことよりももっとシンプルにやりたいドリブンであれこれやれるようになるのだということなのだと思う。それを自分のなかに社会を持ち関係性を作っていく。だから、雑誌を出したい人が雑誌を作り、それが『イコール』なのだろう。
自分に大事なメモとしては、端境期はパロディでいいのだということ。そうしても思考が「変わる」というようなことを目指して、どっぷりそっちの概念で成立させようとするクセがある。
2.「「当事者」としての組織作り:縁起的な組織観に基づく実践のアプローチ」(山田 裕嗣)
あまり仕事に直接的なテーマじゃないほうが蜃気楼大学はいいかなぁと思っていたのだけども、山田さんのプロフィールや内容がとても気になったので参加した。
「演技的」。めちゃくちゃ気になる。
話としては、自分が経営者として常に考えているところと直結する内容に加えて、いま幸福論や組織論でも気にかけている仏教の話もでてわくわくした。
ありがたいことに資料が公開されている。
気になったところ
まずこの意図しているところが素敵だ。会社は「ステークホルダーが幸せになるための道具」と定義し、ビジョンを「自律した関係であること」としているINIでもこれはとても難しく模索中だ。
ここらへんの、どの時間軸、レイヤー、構成要素でどこを話しているかをはっきりさせる。仮に合意する。そうなんだよなぁ。大体において抽象度が高いことをやりたがってしまうのはグサっとささる。話が噛み合わないのは、どの時間軸、レイヤー、構成要素なのかを揃えずに会話していることが多い。そして、「具体的に」現場で変わることが大事なのだ。
過去の歴史は「与件」になる
これもなかなかしびれる。社史をつくるとかの意味はほぼこれだ。過去にどのような事実に対して意思決定してきたかは行動指針であり判断基準。過去を語るというのがどうも思い出になりがちだが、この視点は重要だ。
ここで仏教の話が出てくることでずっとアプローチしてきたところが似通っていて強い共感。幸福論を考えていく中で、一番自分のマッチする考えがこの「苦をなくす」というところが今の一番スジが良さそうなアプローチ。だが、OSは西洋的なのでミックスなのだけども、ベクトルはこの方向だ。
そういえば、クラシコムの青木さんが松波龍源さんと会話していたところでは、ミドルマネージャーの苦をなくすということを話していたのが強く印象に残っていて、少しずつ実践していっている。
自分用のメモ
自分で決められるなにかの「枠」を持っておくことが大切な実践なのかもしれない。これも時間軸、レイヤー、構成要素だ。
3.声と目が身体性ワークで1時間でどこまで変わるか参加型極限セッション」(宮崎要輔)
去年、宿泊者の皆さんと合流させてもらって、宮崎さんの話がめちゃくちゃおもしろくて、今年は講義も受けてみたいと思っていた。宮崎さんはトップアスリードのトレーナーをおそらく他に似てる方がいない、かなり独自のメソッドでやっている方。
1時間という短いワークショップだが、みぞおちのちょっと上のあたりを意識することや宮崎さんの身体性へのアプローチが日本人らしい、そして、能から保存されてきた動きだったりと文化にアプローチしたところが個人的に刺さる。筋肉ではなく腱を使う。懇親会でもいろいろと話しをさせてもらって、一本歯下駄GETTAをおみやげに持ち帰った。楽しかった。
4.「日本人論」~「日本人の幸福論」PJCTの発表(久恒啓一・垣内武・鈴木章子)
日本人論、幸福論と個人テーマのキーワードが2つも並んだので参加せざるを得ない。内容は久恒さんがやっている塾の発表会的な内容。
公、個、(もう1つ失念、家族を示す言葉だったと思う)の3つのベン図でバランスを取れていることが幸福というようなところだったと思う。そこに対して、塾で研究した人物を多様に研究して発表するアプローチだった。なるほど。
日本の歴史や中央かつある意味都合の良い形で編纂されてきたもので、そこに対する個人のアプローチというのは重要だ。私が恩師、大浜徹也先生から学んだ勝手口の視点と合致する。西洋哲学、宗教とも対比しながら、いまは仏教、東洋思想を勉強してみたい。
『イコール』出版パーティー
やっと裏方的なお手伝いもできることだけやって参加。マルチセッションで会話できなかった方々を少し話すことができた。
徳谷柿次郎さんとこんなところで会うとは思わなかった。たぶん10年ぶりくらいにいろいろと話せた。
田畑 智子さんとも1年ぶり。去年講義に参加してagency(エージェンシーは周囲との関係を重視しており、社会を理解し、自分がやるべきことに気づき、世界に影響を与えることまでをも含んだより大きな概念)ということを知っていろんな方面から似た概念が広がってることを知った。
今年は講義には参加できなかったが、パーティーであれこれ話をさせてもらって、ブースではタロットをしてもらった。これがめちゃくちゃおもしろくて大笑いしてしまった。(これはまた別で)
最後撤収の手伝いをさせてもらい、浅沼さんと立ち話もできた。経営者や深呼吸学部の話もしてみたかったのでお話できてよかった。
今年も当日できるだけのことをやるアプローチだったけれども、また1年積み重ねていくものを小出しにしながら参加チャレンジしてみたいと思う。