【2020年8冊目】ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー
3週間ほど前のある日、ふとラーメン屋に立ち寄ると、テレビで「世界一受けたい授業」が流れていました。
そこに、この本の著者の、ブレイディみかこさんが出演されていました。
ブレイディさんはイギリスにお住いのようで、私が見たシーンでは、「タンタンタンゴはパパふたり」というイギリスでは知らない人がいないという絵本のお話をしていました。
この絵本の概要は次の通りです。ペンギンのタンゴの両親は、どちらもオスのペンギンでした。その2羽のオスペンギン、ロイとシロは非常に仲が良く、いつも一緒にいました。やがて、他のペンギンのカップルが卵を温める様子を見て、ロイとシロは石を拾ってきて、温めるようになりました。しかし、石は石なので、赤ちゃんペンギンが生まれることはありません。それを見た飼育員さんが、他のペンギンが育児放棄をしてしまった卵をそっと巣へ置いておきました。するとロイとシロはその卵を毎日毎日温め続け、ついには赤ちゃんペンギンのタンゴが誕生した、というお話です。
このような多様性のお話や、他にもイギリスで息子が経験した人種差別のお話などをされていて、この本を読みたいと思い、次の日に早速書店で買ってみました。
気になったところを抜粋していきます。
・人種の多様性があるのは優秀でリッチな学校、元底辺中学校のようなところは見渡す限り白人英国人だらけだ。
・イギリスの中学校教育では、「ドラマ(演劇)という」教科があり、自己表現能力や創造性、コミュニケーション力を高めるための教科である。
・また、同様に幼児教育施設では、演劇的な指導を取り入れている。壁に様々な表情をしている人々のポスターを貼って、「これはどんな顔?」と繰り返し質問し、その後同じ表情をさせてみる。そこから、「どういう時にこんな顔をしたい?」と話を展開し、「気持ち」と「それを表現すること」「それを伝えること」はリンクしていると教える。問題行動が見られる子は、相手が嫌がっていたり、痛がっていたりする表情を、「ストップ」のサインだとわからない。
・ブレイディさんの息子さんのアイデンティティは、「アイリッシュ&ジャパニーズ&ブリティッシュ&ヨーロピアン&アジアン」である。何か一つに決めろという風潮が、物事を悪くしている。
・「『安全基地(セキュア・ベース)』に恵まれずに育った人は、どうやって自分が安全基地になっていいかわからないから、子育てで苦しむ」
ここでは私が気になったところを簡単に抜粋しましたが、この本の内容はノンフィクションなので、他にも興味深いストーリーがたくさんありました。
貧困の友達に、ボランティアで回収した古い制服をあげたいが、ただ単にあげてしまうと、「お前の制服、サイズ合ってないよ」と言っているみたいになってしまうので、どうやって渡したらいいか悩む話。ブレイディさんが託児所で働いていた時に世話をしていたとんでもない暴君の少女が、その後養子としていいところの家庭に拾われ、息子の水泳教室で偶然再会する話。夏休み中にアフリカに帰省し、去勢されてしまうのではないかと心配されている少女に、なんとかして注意喚起しようとする学校の話。などなど・・・
「多様性」というものを根本から考え直させられました。自分は海外旅行が好きで、さまざな人種や言語があるということは人よりも理解していたつもりになっていましたが、もっとディープな問題がこんなにも存在するとは思いませんでした。
こういった類の本も、もっと読んでいかなければならないなと実感しました。もし皆さまでおすすめの本があれば、コメントよろしくお願いします!