トライブグループのロゴができるまで。 -再現性あるロゴ作りを目指して-
こんにちは!初めましての方は初めまして。トライブグループという会社でCDOをやっている、原田佳樹 @yoshigorouu と言います。今年はこんなフォントの記事や、デザインシステムについての記事を書いてました。
2019年10月4日に弊社はグループ会社として生まれ変わり、それにあたってロゴをはじめとしたCIデザインに取り組みました。今回はそのプロセスを詳細に書いたので、ロゴ等を作るときに何らかの参考になればと思います。
本記事は2部制になっています。1〜4は弊社のCIプロジェクトについて、5は制作に参考にしたプロセスのTIPSまとめになっています。
◾️引用元: TRIVE GROUP コーポレートサイト
1. ことのきっかけと、プロジェクトのゴール
ことの始まりは、年明けの代表籔本との1on1にありました。私たちはもうすぐ4年目を迎えるスタートアップですが、会社を3年やってきて少しずつフェーズの変化を感じていました。
ステルスでやっていたものを、リリースを出して人材市場で目立つ必要性が出てきたり、最初のメンバー10人くらいとは違うステータスを持った人でも働けるような環境を作る必要性が出てきたり。
これまで特に何かしてこなくても回ってきたものが、何らかの形で組織がスケーラブルになるようなものを作って行かないといけない、こういった課題を感じていました。
そこで出てきたのが、1つがコーポレート・アイデンティティ(CI)を作ること、もう1つが人事制度を始めとしたHRの土台を作ること、この2つです。つまり、CIという感情的な部分と、HRという仕組みの部分という両面に取り組むことで、課題を解消できるのではないかと考えました。
こうして始まった両プロジェクト、CIを私がメインで担当しました。とはいえ、私たちはまだまだプロダクトの成長に時間をかけるべきフェーズなので、全体会議は週に1回、私の作業時間も1日に1,2時間と制限を設けて取り組みました。
プロジェクトのゴール
・人材市場に対して産声をあげること
・CIの第一弾を確立して、社内に浸透させること
・社内の帰属意識、会社への好きを増やすこと
上記を当時のプロジェクトのゴールとして進めました。(現在は、CIや会社のブランディングに関わる部分をHRに紐付けてKPIを設けています。例えば、社内のリファラル採用率やスカウトを送った時の返信率等。ここに関してはまた効果を測れ次第、共有していきたいです。)
2. CI要件を決めるための膨大なリサーチ編
CIを作り始めるにあたって、まずはリサーチから始めました。企業ロゴの制作経験がそこまでなかったのと、ロゴという抽象度の高いアウトプットの方向性を絞り込むのにリサーチは必須でした。
リサーチ対象としたのは、グローバル企業と東証一部上場企業、マザーズ上場企業のインターネットの会社です。私たちは前から「日本を代表するような会社を作りたい」「世界に通用するブランドになりたい」と宣言しているので、将来的にベンチマークになり得る会社をリサーチの対象としました。
これらはリサーチの一部です。それぞれのコーポレートロゴの成り立ちや変更までの経緯、どんな想いが込められてるかを調べました。オレンジで記載しているのは私のメモです。およそ50社分ほどリサーチをしました。
◾️引用元: 「会社やサービスのロゴ変更【2018年まとめ】」一部筆者作成
次にリサーチしたのは、直近のリニューアルまたはリファインを行っているロゴ、トレンドとされているロゴについて。ここでは実際に制作するときに、他のデザイナー達がどう世の中を捉えていて、どういうテンションで作っているか、ここのズレが大きくならないようにリサーチをしました。
◼️ロゴのトレンドとして認識できるもの (2019)
① 2色グラデーション
② シンボルのフラットに化、凝縮
③ より鮮やかではっきりした色
④ セリフ体の復権
⑤ 色、シンボルのオーバーラップ
⑥ サンセリフ化の流れ
⑦ ラウンデットフォントの親近感
ここまでリサーチが出来たら、次はポジショニングの確認と要件定義です。リサーチで拾えた情報を元に、いくつかの観点から自社の持つ独自の価値や立場を確認する作業を行っていきます。
①時間軸、②会社の作り方、③ビジュアルの3つの観点から自社のポジショニングを確認しました。まずは時間軸についてです。
2-1 時間軸
グローバル企業や名の知れている会社は1日にしてならず。
何百年も続く歴史があって、初めて世界を代表するブランドになります。その過程で、理由は様々何らかの大きな転機でロゴの変更があって今に至っています。例えば1866年に創業されたネスレは、これまでに6回ものロゴの変更がされています。
薄いオレンジの帯を引いた場所が、現在の弊社の立ち位置です。このリサーチとポジショニングによって、今回制作するロゴをいつまで使うのか、これから何回ロゴの変更があり得るのかを確認することができました。
今回制作するロゴは、弊社が目指す上場までの3-5年を寿命に想定しています (株式上場前後にロゴをリニューアルするメリットについてはまたどこかで話せればなと思います)。また、会社のロゴとして初めて作るもので、かつ次回の変更はおそらく一般化に寄せるリニューアルになるため、今回はビジュアルにある程度の特徴を持たせることが必要、ということも確認できました。
2-2 会社の作り方
次は、ロゴの見せ方と会社の作り方です。大きく分けて、グループへの展開が顕著かどうか、ブランドの統一しているかどうかで4つに分類することが出来ました。
ここでは、今後拡大していくグループ関連会社のロゴへの展開をどうするのかと、本体の親会社と関わり方をどう見せていくかを定義しました。
一番イメージに近しいのは、DeNAやサイバーエージェントといったグループへの展開をしながら、ブランドを複合している企業です。
例えばサイバーエージェントは、ロゴそのものが関連会社に使用されているのはほぼないものの、「CYBER ○○」といった名前を受け継いでいるパターンと、全く関係のない社名とロゴを用いているパターンが両立しています。
◾️引用元: 「主要関連会社 | 株式会社サイバーエージェント」
弊社においても、関連会社に関してはその責任者が社名とロゴを決める方針なので、ロゴへの展開はしない方向で進めています。一方で、グループ本体が持つサービスを事業群として見せたい場合も考えられるので、それを考慮したロゴ展開も出来たらベターとして、プロジェクトを進めました。
2-3 ビジュアル
同じようにビジュアルに関しても自社のポジショニングを定めていきます。ここでは大きく2つ、色の使い方と文字のウェイトを確認しました。
色の使い方に関してはロゴに採用する色を極力他社と被らないオリジナルな色合いにすること、また私たちが目指している日本を代表するような会社のロゴと見比べたときに、タイポグラフィの存在感が見劣りしないこと、この2つをビジュアルの要件としました。
その他に、今回のコーポレートロゴが第一弾なことを踏まえ、シンボルとタイポグラフィの両方を合わせたロゴにすることも定義しました。
2-4 要件定義のまとめ
これまで3つの観点からリサーチをし、ポジショニングを確認してきました。この作業によって、実際に制作を進める際にある程度の方向性を定めることが出来ました。以下にまとめましょう。
◼️要件定義
・近年のトレンドとの大きなズレがないこと
・3-5年使うことを想定すること
・見た目の引っ掛かりがあるビジュアルにすること
・サービスを事業群として見せられる方法を考慮すること
・ベンチマークの会社と被らない色を採用すること
・タイポグラフィの存在感が見劣りしないこと
・シンボルとタイポグラフィからなるロゴにすること
3. 言葉を紡いで、形を生み出すアイデア出し編
リサーチとポジショニングの確認が済んだので、ここからようやくロゴ作りに入って行きます。デザインツールで作り始める前に、まずは紙ベースでスケッチをして、アイデアをたくさん出していきます。
3-1 キーワードとなる言葉を探す
言葉が無ければ形を生み出すことは出来ません。例えばサービスロゴを作る時は、サービスを始めた想いや実現したい世界を元にデザインを考えますよね。コーポレートロゴも同様に、その企業に込められた想いや目指す世界を深掘ることから始めます。いわゆるミッションビジョンバリューです。
創業当時から大事にしている言葉はいくつかあったものの、CIプロジェクトが始まった時点で明確には決まっていなかったので、ロゴを作る作業と並行して、この言語化も進めていきました。
◼️ビジョン: 「more than a company 会社以上の存在に」への理解
TRIVE = 一族とかファミリーみたいな意味。会社でありながらも部活のような一体感がある状態。勝利を目指しながらお祭りのような熱狂や高揚感を楽しもう。道のりはすごく長いけど、スタートアップは思い出作りだからその旅路をみんなで楽しもう。日本一、働きがい・やりがいのある会社に。仕事とプライベートの境目が限りなく薄い状態。労働がエンタメ化してる状態。仲間になって一緒にやろうよ!
上記はコーポレートについて話し合った時のメモと、ビジョンについての私なりの解釈です。会社の想いを作り整理していきながら、自分の中での理解を深めていきました。
左の3つはビジョンから、右の2つはバリューからの引用です。
ミッションビジョンバリューを明確化し、「うちのことを最もよく表しているであろう言葉」を明確にすることが出来たので、それらをキーワードとして抽出して、ロゴのビジュアルの一要素とすることが出来ました。
3-2 ムードボードを作って、イメージを醸成する
使うキーワードを決めることが出来たら、次はその言葉達が持つイメージを膨らませる作業に移ります。ここでは、手法としてよく用いられる、ムードボードを採用しました。
Pinterestやgoogle画像検索を用いて、キーワード毎にそれを最もよく表しているイメージを探して、自分の中でアウトプットイメージを膨らませて行きました。この作業によってビジュアルの方向性を決めることが出来ます。
例えば、ビジョンの「思い出作り・仲間創り」にはずっとこの先続いてく広大な道のイメージを、バリューの「熱量・熱狂」には盛り上がっているお祭りのいを、といった具合にです。
このように、ピックアップしたキーワードとセットでメインビジュアルを定義し、リサーチの際と同様にビジュアルの方向性で迷った時に「本当にこれで良いのか?」と戻れる起点として定義しました。
3-3 アイデアスケッチ
ビジュアルのイメージを膨らませることが出来たので、ここでようやく具体的にロゴの形を検討していく段階に入ります。
まずはムードボードをヒントに、それぞれのキーワードを示す形をラフにスケッチしていきました。クオリティは考慮せず、とにかく数を出して理想の形状を追い求めていきます。(例えば、右下のスケッチは「思い出作り・仲間創り」を示すもの。)
すると、スケッチレベルで形の方向性を見つけ出すことが出来ました。形状は、①四角や丸などの形、②色のコントラスト、③位置関係の組み合わせで何通りも出せますが、抽出したキーワードとラフスケッチによって形の要件を絞り込むことが出来ました。具体的には以下の通りです。
◼️形の要件
・角のある長方形を3つ以上を用いること = 強い事業家
・それぞれが重なり合っていること = 一体感・仲間意識
・上に向かって小さくする、奥行きを出すこと = 旅路を楽しむ
・どこかを欠けさせること = 仲間集め
・オレンジ〜赤を用いること = 熱狂、お祭りとカオス
これらの形の要件の中、さらにスケッチを続けていきます。
この過程を続けた結果、デザインのベースとなるいくつかのテーマを生むことが出来ました。形の要件は前提としてあるものの、ひたすら書き続けることによって初めて、感覚的にしっくりくるものを発見することが出来ます。
ここまで、キーワードの抽出 → イメージの醸成 → ラフスケッチという順番で説明してきましたが、これは振り返って綺麗にまとめたものなので、実際はこのプロセスを何度も何度も行き来して、最終的な形に至りました。
4. ストーリーを加え、クオリティを磨き続けるデザイン編
考えられるところまで考え詰めたので、ここからようやくデザインツールを使った作業に入っていきます。完成度は徐々にあげていくスタイルで、細かく早めに共有していくことを意識しました。
4-1 テーマの提案とシンボルの決定
ラフスケッチのプロセスの中で見つかったテーマを整理して、いくつかのロゴ案として提案していきます。
本当はここで一つ一つ詰めてから提案すべきところですが、今回はスピード重視で、割と完成度は低めで早めに共有していきました。(スピード早いまま完成度高く、多くのコンセプトを提案出来たらベストですね)
提案した中で、明らかに皆からの評価が良いものと、これまでのプロセスを振り返って「込めた意味を順序立てて説明出来る」ものを判断軸にして、シンボルの種類を絞りました。
(余談ですが、「この中だとこれが良いな」というフィードバックは明らかに好きじゃないケースが多いので、心の底から出てくる「良い!」を当てにした方が良いなと思いました。)
ロゴタイプに関しても同様です。ピックアップしたキーワードを元に、どういった意味を持たせたら良いかを意識しながら、イメージに合うフォントを選択していきました。
今回は、シンボルとの兼ね合いで既存フォントを適応するのは難しかったので、オリジナルのロゴタイプを作成しています。
また、ロゴタイプはそれ単体で使われることが考えられるので、シンボルがなくても意味として成り立つような形になるようデザインしました。
派生されるクリエティブに当てはめながら、ロゴの見栄えをチェック。しかしながら、どこかしっくりこない。たしかに、シンボル・ロゴタイプ共に意味は説明できる。だけど形が好きじゃない。
そんなモヤモヤを抱えながら毎日を過ごしていました。
4-2 ストーリーを持たせることの重要性
ロゴについて考える日々。ずっと考えていると、あることに気づきます。それは、シンボルの形を一言で説明することが出来ていないということです。
今回はコーポレートロゴということで、必然的に抽象的な形になることはわかっていました。しかし、このままでは誰もがロゴの説明をわかりやすく他人にすることが難しい。
誰もがわかりやすいもの、そしてそれに共感して賛同を得られるもの。そう、ストーリーが足りてなかったのです。CIやブランドといったものは、それに共感した人たちによって少しずつ出来上がっていくもの。今回のプロジェクトには、その視点が足りてませんでした。
ラフスケッチで書き続けていたときに、自分の中でこういうストーリーを持たせたいというのは何となくありました。それをもう一度深掘りして、整理しました。
「TRIVE GROUP」という名前にあるように、最初は一族(TRIVE)だったものが、徐々に仲間が増えていく。それは終わることなく増え続け、最終的には大きな部族集団になる。一つの部族のモチーフ(剣)を旗に見立てて、それを円状にすることで永遠に増えることを意味しています。
◼️引用元: 「傘連判状 hashtag on Twitter」
すると、これが一つの形に似てることに気づきました。それは連判状です。連判状は「志を同じくするものが契約の印としてサインするもの」として江戸時代の一揆の際に用いられていました。意味もビジョンにピッタリくるものだったので、この形をモチーフとすることにしました。
こうして、一言で説明することが出来なかったシンボルの形を連判状として形どることで、ストーリーを持たせることに成功しました。これが完成形の原形となったシンボルになります。
4-3 最後まで高いクオリティを目指してブラッシュアップ
シンボルの方向性は定まったので、完成に向けて磨きをかけていきます。ここからがデザイナーの腕の見せ所。ブラッシュアップにおよそ10日間ほどかけましたが、この期間はずっとPCと一緒に寝て、寝て起きてすぐロゴを見たときに、好きと思えるかを判断軸にしていました。
まずはロゴタイプ。「R」「I」の切り方をどうするかを検討した後に、文字の詰め具合と長体具合、ウェイトの3軸で調整。ちょっとした違いで大きくニュアンスが違ってきます。
次に黄金比を用いてシンボルとロゴタイプを調整。黄金比を使うまでは、自分で角度や重なり方を何パターンも出して調整していましたが、黄金比を用いた途端に一気にクオリティアップ。恐るべし黄金比。
最後に、シンボルとロゴタイプのバランスを微調整。横並び、縦並び、シンボルなし版など様々なパターンで見え方を確認しました。最後は黄金比からズレていても自分の感覚を信じました。
こうして、現在使われているロゴが完成しました。
途中で書いたように、ブランドは作って終わりではなく、人々からの共感を得て初めて成り立っていくもの。これからじっくり時間をかけて、誰もが知るような会社になるよう、大切にブランドを育てていきたいと思います。
--
5. 再現性のあるロゴ作りTIPS編
さて、ここまで割と詳細にロゴ作りのプロセスを書いてきました。こういったブランドロゴを作るのはほぼ初めてだったので、いくつか躓くポイント、逆にこれはやって良かったことなどが多々ありました。
ここでは最後に、上では書ききれなかったこと、要点としてまとめきれなかったことを参考事例と合わせながらTIPSとしてご紹介出来ればと思います。
TIPS1「リサーチでポジショニングを明確にする」
ロゴを作るとき、ほぼ誰もがリサーチを挟んでいると思います。リサーチが必要なのは、そのサービスや会社が世の中でどういう立ち位置なのかを確かめることが出来るからです。
私がよく、「カレーの中辛だということがわかるのは、甘口と辛口を知ってるからだ」という例を出すのですが、取り巻く相手の環境を知ることで初めて自分の「味」を知ることが出来るので、リサーチは必須だと考えてます。
◼️引用元: 「フリルのロゴができるまで」
現ラクマのロゴを作られた、wariemonさんは「フリルのロゴができるまで」の記事の中で、以下のように述べています。
「周囲を知ることで、自らの持つ独自価値や持つべきものに気づくことができるのと、表現としてのバッティングを防ぐことができます。」
その上で、
「リサーチをしてみると、フリマアプリや、ファッション系のサービスで多い表現は、「ロゴのみ」「購入する商品(服・雑貨など)」(中略)」が多いことに気づきます。そこで、「フリマ」自体を表現するモチーフを見つけることで、他とも差異の生まれる表現ができるのではないかと考えました。」
とリサーチの重要性がよくわかります。
◼️引用元: 「リニューアルした SmartHR ロゴの作り方」
「メディア掲載時に他社ロゴと並ぶことを考慮し、この表の中での9〜10くらいの太さを目指すことにしました。」
また、SmartHRさんも同様に、他社ロゴのリサーチによって自社ロゴの文字ウェイトをどうするかを決めていることがわかります。
TIPS2「形の組み合わせでアイデアを考えてみる」
ロゴのアイデア出しは様々な方法があると思いますが、今回のプロセスで行った「キーワードごとに形の要件を出して、それらを組み合わせる」というやり方は非常に再現性があり、誰もが取り組める方法だと考えています。
◼️引用元: 「ロゴマークの刷新を通じた自社理念の強化と共有へのトライ - 後編」
記事中で利用したキーワードと形の組み合わせの方法は、プレイドさんのこの記事を大変参考にさせて頂きました。プレイドさんも今回と同様にコーポレートロゴですが、
ここまで得たMIとBIから、以下のようなキーワードを抽出できました (中略)。このステップでは、「これらのキーワードをどのようなモチーフで表せるか?」を検討し、以下のモチーフをロゴマークの構成要素とすることにしました。
と書かれている通り、ミッションビジョンバリューから言葉をピックアップして、それらに合うモチーフを探して定義してからスケッチをしていることがわかります。
また、heymeshさんの事例でも同様のことが書かれており、ここからも再現性のある作り方であることがわかります。以下は、シンボルの組み合わせのイメージを図式化したもの。
◼️引用元: 「スタートアップにおけるスピーディなロゴメイキング - 3D検索サービス「heymesh」の事例」
キューブのシルエットをイメージさせる六角形ベースのシンプルな形状。頂点同士をつなぐエッジにポリゴンメッシュ、heymeshの「mesh」の頭文字である「M」が隠されています。(中略) また、heymeshの「hey」という言葉と連動するようにハイタッチしてるようにも見えることから、最終的に上記の案が採用されました。
とあるように、いくつかの込めたい意味とそれに関連する形を組み合わせてロゴを作られていることがわかります。
TIPS3「ストーリーを元にシンボルの形を作る」
今回のプロジェクトで欠けていた視点、それはロゴにストーリー性がないということでした。今回はたまたま、TIPS2に加えてストーリーをロゴの意味として込めましたが、これ方法だけでもロゴを作ることは出来そうです。
一つ目は、PKSHA Technologyさんの事例です。
◼️引用元: 「CI | Company | PKSHA Technology Inc.」
新しいCIは、象徴的な三角形を中心にして設計されています。人工知能技術分野における PKSHA Technology の専門領域と、市場の交差点を “アルゴリズムと社会の接点” とし、楕円形に力学を加え「アルゴリズムを社会へと浸透 (インストール)させていきたい」という私達の想いを込めました。
この図からわかる通り、シンボルとなっている形は、PKSHA社が「社会の接点からアルゴリズムを社会に浸透させたい」というストーリーが元になっていることがわかります。
もう一つは、mamariさんの事例です。
◼️引用元: 「ママリのブランドロゴに込めた想い」
想いを形にするにあたって、一連の流れがストーリーとして伝わるようなシンボルを目指しました。ママの心情が変化する過程を表現することで、立ち止まるママへの"道しるべ"となるシンボルになること、それが「ママリらしいシンボル」であると考えたからです。
こちらも図解にある通り、ママリで使われているシンボルにはストーリーが込められていることがよくわかります。
正直、初見でこれらの記事を見たときは、このやり方を参考にするのは大変難しそうだと思いました。しかし、キーワードを出して、ストーリーに繋げていくのは、意味を込めたいときに大変効果的。この方法は中級者向けかもしれませんが、チャレンジしてみたい方法です。
TIPS4「ひたすら書き続けると、形としていい物が見えてくる」
スケッチを始めてからデザインツールで作るまでは結構時間をとりました。キーワードを出して、ムードボードを作って、スケッチをするというプロセスは王道ですが、これは一筋縄ではいきません。
とにかく量を出して、書き続けた先に何となく良さそうな形が出てくる。これが現実です。なので、納得いくものが出るまで考え続け、書き続けるのが得策。
◼️引用元: 「heyインサイドストーリー 〜heyのCIデザインプロセス全記録〜」
今年話題になったhey社のCIデザインのプロセスでは、とにかく数を出していることがわかります。A4用紙にして約300枚くらい描き続けたそうです。
ブログからの引用ではないのですが、先日こちらのイベントで松本さんが
「書き出していったなかで、たまたま右脳的に気づいた。」
とおっしゃっていたことが非常に印象的で、こういった完成度の高いロゴはとにかく数を出していくなかで後から気づくもの何だなと思って、今回のプロジェクトに取り組んでいました。
おわりに
またまた長文の記事を書いてしまいました (笑) 弊社TRIVE GROUPのCIデザインのプロセスと、再現性のあるロゴ作りということでいくつかTIPSを紹介させて頂きました。皆さんがロゴを作るときに何らかの参考になれば大変嬉しく思います。
--
最後に、TRIVE GROUPでは来年からいくつかの新規事業に取り組んでいくので、一緒に事業を作りたいデザイナーを募集しております!もしよければまずはお茶でもいきましょう。DMください!