見出し画像

【経清】島津の白狐なり

お久し振りでございます。島津の白狐、経清にございます。

画像1

ある使命を帯びて、故郷の薩摩に帰っておりました。久方ぶりに江戸に戻ってみれば、感染爆発だの首都封鎖だのと物騒な文言が飛び交うただならぬ情勢。聞けば吉原神社や千束稲荷の例大祭や、花魁道中などの恒例行事も全て中止となったとか。いやはや、世も末とはこの事か。

我が薩摩は長い事、疫病感染者が出ておらず、最近ようやく三人程感染が確認されましたが、雰囲気としてはあまり危機感もなく、通常通りの生活を送っておりましたので、江戸の有り様には愕然と致しました。夢にまで見た花のお江戸の変わり果てた惨状に涙がこぼれます......

しかし、落ち込む我に百合之介様はおっしゃいました。

画像2

「案ずる事はありません。我が大江戸は、この国の中心となりて四百年余、幾度も壊滅の危機から立直り、そのたぴに発展して参った。今更疫病ごときに負ける様な柔な街ではない。江戸の事は心配せず、お前はお前の道を突き進むがよろしかろう」

懐深き我が師、百合之介太夫に背中を推され勇気百倍!我は脇目もふらず、為すべき事に邁進する事と致しました!

我が為すべき事。それはもちろん「島津の白狐舞」を究める事!遥々薩摩から江戸に上り、吉原狐舞を起こして名を馳せた狐太夫百合之介様に弟子入りしたのも「島津の白狐舞」を完成させ、故郷に錦を飾らんが為。

......我はふと気づいてしまった。「我は島津の白狐なり」とか「島津の白狐舞を究めん!」とか、折に触れて口走って参りましたが、これを聞いた人々は、そもそも「島津の白狐」を理解しているのだろうか?💧考えてみればちゃんと説明した事が無いのではないか?

......説明させて頂きまする。

ここから先は

1,100字 / 2画像
創作神楽団「吉福社中」の公式ファンマガジンです。他SNSには書けない(!?)先行情報やウラ話が読めます。売上は活動資金として大切に活用させていただきます。

吉原の狐舞をはじめとする、新しくて面白い民俗芸能を創出する神楽団「吉福社中」の有料ファンマガジンです。 演目やメンバーのウラ話、出演イベン…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?