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三番叟を知るべし(前編)

吉福社中の使命は、人々に福をもたらす事。人々に代わって、舞と囃子をもって神に感謝の念を伝え、その代償として神から頂いた福を人々に分け与える。神楽師とは神と人とを繋ぐ媒介を担う者であるのです。

今年で10周年を迎えた吉福社中ですが、その10年間の大半は「如何にして福をもたらすか」という命題への挑戦だったと言えます。

その答えを求めて古代からの歴史文化を紐解けば、浮かび上がってくるワードはやはり「五穀豊穣」でした。農耕民族たる日本人にとって、とにもかくにも願うは「豊作」その一点。その「豊作」を祈る舞の代表が「三番叟」という事になります。

一言に「三番叟」と言ってもその様式形式は多岐にわたります。各様式が「○○三番叟」と名乗り、それらを総称して「三番叟もの」というひとつのジャンルを形成するほどです。歌舞伎や日本舞踊の世界では「操り三番叟」や「舌だし三番叟」などが有名ですが、我が吉原にちなんで、遊女が舞う「廓三番叟」なんてのもございます。

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故に私も、吉原の狐舞をメインとしていた創成期には「狐三番叟」を考案し、それこそ百回以上披露して参りました。近頃では弟子の照千代にこれを譲り、私自信が狐三番叟を舞うことは殆どなくなりましたが、決して引退したわけではございません。

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私は私で、次のステップへの準備に勤しんでいるのでありまして....。狐三番叟とは別の新しい三番叟ものを構想中なのです。

そのあたりの事も踏まえながら、奥深い三番叟の世界を覗いてみると致しましょう。

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