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【番外編】商標登録の方法と商標侵害された場合の対策
商標登録の手順とそれぞれの費用
商標登録の費用は、手続きを自分で行うか、弁理士に依頼するかによって異なります。また、特許庁に支払う法定費用(印紙代)と、弁理士に支払う手数料の両方が発生します。
1. 自分で手続きを行う場合:
出願時の費用: 3,400円 + (区分数 × 8,600円)
登録時の費用(10年分一括納付の場合): 区分数 × 32,900円
例えば、1区分で出願し、10年分を一括で納付する場合、合計で約44,900円となります。
2. 弁理士に依頼する場合:
弁理士手数料は事務所によって異なりますが、一般的な相場は以下の通りです:
出願時: 約66,989円
登録時: 約45,409円
これらに特許庁への法定費用が加わります。1区分で10年分を一括納付する場合、総額で約157,298円が目安となります。
3. オンラインサービスを利用する場合:
オンラインの商標登録サービスを利用すると、弁理士手数料を抑えることが可能です。例えば、Cotoboxを利用した場合の費用例は以下の通りです:
出願時:
特許庁印紙代:12,000円
弁理士手数料:11,000円
登録時:
特許庁印紙代:32,900円
弁理士手数料:16,500円
合計で約72,400円となります。
注意点:
区分数: 商標登録の費用は、指定する商品やサービスの「区分」数によって増加します。例えば、2区分を指定する場合、特許庁への法定費用は倍増します。
弁理士手数料: 弁理士に依頼する場合の手数料は事務所によって異なります。事前に見積もりを取ることをおすすめします。
更新費用: 商標権は登録から10年間有効で、更新する際には別途費用がかかります。更新登録料は、区分数 × 43,600円です。
商標登録の費用は、選択する手続き方法や指定する区分数によって変動します。ご自身の状況や予算に応じて、最適な方法を検討されることをおすすめします。
商標登録後に商標侵害された場合の対応
商標を登録した後、他者が無断で使用している場合、 「商標権侵害」 に該当し、適切な対応を取ることで 使用停止や損害賠償 を請求できます。以下、具体的な手続きと得られるものを解説します。
1. 商標侵害の確認
まず、相手が本当に 商標権を侵害 しているかを確認する必要があります。
(1) 商標権侵害の条件
以下のいずれかに該当すると商標侵害になります:
同一の商標を使用 している(例:「マインドパス診断」を無断で使用)
類似する商標を使用 している(例:「マインドパステスト」など混同を招く名称)
指定した商品・サービスと同じ or 類似の業種で使用 されている(例:心理診断サービスで類似商標を使用)
→ 登録商標と相手の商標を比較し、侵害が成立するかを確認する。
2. 侵害に対する対応手順
商標侵害が確認されたら、以下の手順で対処します。
(1) 相手に警告書(内容証明郵便)を送る
弁護士を通じて 「商標権侵害の警告書」 を送る
商標の使用停止 を要求し、損害賠償の請求 を示唆
販売・広告の中止 を求める
→ 早期解決を目指し、まずは話し合いで解決するのが一般的。
(2) 裁判外での交渉(示談)
相手が警告に応じれば、話し合いで 商標の使用停止 や 和解金の支払い を要求できる
ライセンス契約 を結び、相手に使用許諾することで ロイヤルティ収益 を得る方法もある
→ 交渉が成立すれば、裁判なしで解決可能。
(3) 裁判(民事訴訟)
交渉が決裂した場合、 裁判 を起こし、以下を請求できます。
請求内容具体的な内容使用差止請求相手に商標の使用停止を命じる損害賠償請求被った損害の補償を請求(売上減少・弁護士費用など)不当利得返還請求相手が不正に得た利益を返還させる信用回復措置請求謝罪広告やサイト削除を要求
→ 判決が出れば、相手は法的に使用を禁止される。
(4) 刑事告訴(悪質な場合)
悪質な商標侵害(意図的な模倣や詐欺的行為)に対しては、 警察や検察に刑事告訴 することも可能。
10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金
法人の場合は最大3億円の罰金
→ ただし、民事訴訟よりハードルが高いため、通常は示談や民事訴訟で解決する。
3. 商標侵害対応で得られるもの
商標権侵害に対処することで、以下のメリットがあります。
対応策得られるもの使用差止請求競合が不正に商標を使うのを防げる損害賠償請求売上減少分の補填、精神的損害の補償不当利得返還請求侵害者が得た利益を回収できるライセンス契約逆に利用許諾して収益化することも可能信用回復措置公式発表や謝罪を通じてブランドを守る
4. 商標侵害を防ぐ方法
商標侵害を未然に防ぐため、以下の対策を講じることが重要。
(1) 商標の適切な運用
登録した商標を 公式サイト・パンフレット・広告 で積極的に使用
商標登録の証明(®マーク) をつけ、商標権の存在を周知
(2) 定期的なモニタリング
Googleアラートを設定し、類似商標の使用を監視
特許庁の 「商標検索システム」 で新たな登録をチェック
競合サイトやSNSを定期的に確認
(3) 侵害の証拠を確保
相手のサイトや広告のスクリーンショットを保存
商品の販売履歴・売上データを記録
弁護士に早めに相談し、法的手続きを準備
まとめ(商標侵害対策)
商標侵害が発生した場合、以下の流れで対応できます。
侵害の確認(商標が無断使用されているかチェック)
警告書を送付(弁護士を通じて使用停止を求める)
示談交渉(和解金やライセンス契約も選択肢)
民事訴訟(使用差止請求、損害賠償、不当利得返還)
刑事告訴(悪質なケースでは刑事罰も可能)
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