
飯島真理子先生「コナコーヒーのグローバル・ヒストリー」とオックスフォード大学の博士論文
上智大学教授、飯島真理子先生から、「コナコーヒーのグローバル・ヒストリー」(京都大学出版会)をご恵送いただきました。さっそく、読み始めてすぐにわかったのはサクサクと読めるような軽い内容ではない、コーヒーだけでなく、日系史だけでなく、ハワイの歴史や地球規模の移民の動きなど、あらゆる意味で非常に示唆に富み、飯島先生のこれまでに積んでこられた深い知識が根幹にあり、真剣に時間がかかっても丁寧に読み解くべきだと。
「あとがき」に、オックスフォード大学では、「今は亡きAnn Waswo先生からはコナコーヒー産業で働く日系移民を日本農村史の文脈から考察することを促され、それまでの米国エスニック・スタディーズとは異なるアプローチからコナ日系史を検討することが可能になった。」とあり、久しぶりにWaswo先生を懐かしく思い出した。
私が、オックスフォードで博論を提出後、主査や副査の先生方からいろいろな修正を指摘されて、自信を無くして落ち込んでいると、Waswo先生が、「あなた如きの一学生の博士論文をこんなに丁寧に読んでもらえることに感謝しなさい。自分の論文を一字一句、目をこらして、丁寧に読んでもらえるのは、一生に一度博士論文の今しかないかもしれないのよ」といわれた。今になると本当にそのとおりだと思う。学内主査のジェームズ・マクマラン先生からはフォント9で脚注に書いた参考文献の記載の綴り間違いまで指摘された。
毎年、博士論文の査読依頼がきたらありがたいと思い、引き受けるのは、あのとき丁寧にみていただいた論文主査や副査の先生方への恩返し。しかし、あの時の先生方にはまだまだ及びもつかない。
飯島先生、心してゆっくり拝読させていただきます。ありがとうございました
