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今こそソフトウェア業界はグローバルの打席に立とう

メッセージ多すぎ時代のためのツール、Zenmetry(ゼンメトリー)を開発している長友です。
このたび「内閣府『スタートアップ・エコシステム形成推進事業』拠点都市8カ所をはじめとする日本全国のスタートアップを対象としたアクセラレーションプログラム」でのPlug and Play Japan社が運営する「Global Preparationコース」の50社としてZenmeryが採択されました。

前回の資金調達のご報告でのnoteにも記載させていただきましたが、Zenmetryは最初から海外で利用されることを想定したソフトウェアにしていきたいと考えています。これは私が起業した理由の1つでもあるからです。
そのためのビジネス基盤を整えるためにも、今回のアクセラレーションプログラムは弊社にとって大切なステップと考えています。最後のプログラムまで進んでいけば、2023年2月22日に渋谷QWSでのピッチ大会に出場でき、シリコンバレーでのピッチもできるチャンスが得られると聞いております。是非そのチャンスを掴めるように取り組んでいきます。

このnoteでは、なぜ私が最初から海外を目指すことを大切にしているのかについて書きます。

海外で利用されている日本のソフトウェア企業はとても少ない

この10数年、日本からもたくさんのソフトウェアスタートアップが生まれました。ただ、日本のソフトウェア企業で海外に本当の意味で利用されているソフトウェアといえば、メルカリやヌーラボなど非常に少数ではないでしょうか。特にBtoBは日本市場、さらに日本市場の中でも中小企業に特化している企業が多く海外で利用できるソフトウェアは残念ながらほとんどありません。本当に悲しい現実です。なぜなのでしょうか?

「大きくなったら海外に行きたい」は、いばらの道

ソフトウェア企業自体は、海外に出たい!と思っている企業はいるはずです。みなさんも企業の資金調達のニュースなどで「日本市場で成功したら、将来的に海外展開も視野に入れたい」といった抱負をみかけたことがあるでしょう。
でも私自身は「日本で成功したら海外に!」という発想ではうまくいかないのでは?と考えています。理由は、製品の基本設計からの見直しが必要になるケースが多く、いま稼働している製品に大幅に手を入れる必要が出てくるからです。
実際に日本から海外進出に向けて取り組まれているcommmuneの高田さん(超尊敬!)のnote記事にも以下のように記載されています。

プロダクトが一定発展してからのグローバライゼーションは大変です。上記のi18nも、初期からグローバル対応を前提とした設計にしていればどんなによかったか、、、と思います。

単純に所要時間が変化するだけでなく、グローバライズの過程でどうしても日本に影響が出てしまう部分が発覚することもあり、そのたびに対応に悩みます。

高田優哉さんのnote記事より

サラっと書かれてますが、commmuneのチームの方々は相当大変なチャレンジをされていると思います。(心より応援しております!)

日本と海外のBtoBソフトウェアの基本設計は想像以上に違う

ここからは私の経験に基づいて、もう少し具体的になぜそんなに大変になるのか?の一例をお伝えします。
私はワークスアプリケーションズという国内のERP会社で会計ERP製品の導入チームの立ち上げを経験後、外資系の経費精算のコンカーに2012年に導入の立ち上げメンバーとして転職しました。グローバルで利用されているソフトウェアとはどのようなものなのか?を見たかったからです。
導入の仕事は製品の仕様に熟知する必要があるのですが、初めて外資系のソフトウェアを理解していく中で、「グローバルで利用できるソフトウェアってこんなに基本設計から違うんだ!」と衝撃を受けました。

たとえば、みなさんは普段、経費精算した際に自分の口座に振り込まれるお金は「日本円」だと思います。日本市場だけで使われるソフトであれば、この振込時の通貨の概念を仕様に織り込む必要性は低いはずです。USドルなど外貨で経費を振り込む必要がある日本在住者はかなり少数派だからです。でも、海外で利用されることを想定したらどうでしょうか?USならドル、香港なら香港ドル、と利用される国によって支払う通貨が異なります。すなわち、システム側で何かしら支払通貨を判定する項目がなければ、経費精算システムとしては海外で利用される事自体が難しいのです。

これは一例にしか過ぎませんが、「日本だけで使うならシステム上考慮がいらない」けれど、「海外で利用されることを考えたら絶対に必要」という事がBtoBのソフトウェアには多くあります。
海外に行く= 英語画面を用意する、という単純なことではなく、基本設計から考え直す必要性がかなり高いことが想像いただけるでしょうか。

日本で成長した後に海外に行きたくなっても、製品面では基本設計から見直す必要が出てきてかなり難しいチャレンジになってしまい、結果海外に出ていくのが難しい、というのが今の日本のBtoBソフトウェアの状況なのではないかと考えています。

だからDay1からグローバルの打席に立った方がいい

上記のような状況を踏まえ、初期からグローバル対応を前提とした設計にしていくことが、結果としてグローバルへ出る近道だと考えています。
現在開発中の製品は最初からUIを英語で作っています。多言語で初期からリリースするのは理想的ですが、英語UIであっても初期のZoomやSlackが利用されていたように、日本であっても英語UIのソフトウェアは利用される土壌自体はあります。(なお、日本市場はいまはある程度の規模があるので海外のソフトも日本語対応していますが、将来市場が小さくなっていけば、日本語化しないソフトウェアも今後さらに増えていくと想像します。)
ベータ版ができた際には、Product Huntなど海外の人にも使ってもらうべく取り組んでいます。

エンジニアをはじめとした働く人の待遇面の改善につながる

優秀なエンジニアをはじめとした人材が、外資系企業に流れるのは非常によく聞く話です。外資系IT企業と日系IT企業での給与の格差は確実にあります。USで2000万円、3000万円稼ぐというエンジニアもいますが、日本ではほとんど聞きません。この待遇差が生まれるのは、市場の大きさの違いも大きいと私は考えています。
1行のコードが1000人に影響があるのか、1億人に影響があるのか?
と考えれば、1億人に影響がある製品に携わっている人の方が、高い収入が得られる確率が高いでしょう、という話です。BtoBソフトウェアが日本市場だけに留まる限り、いつまで経ってもUSの開発者並みに稼ぐという世界線はなかなか訪れません。市場規模が違い過ぎます。
ソフトウェアという業界は、特にグローバルで利用されるソフトウェアはもっと夢がある世界なんです。たとえばSaaSの神様、Salesforceの2022年通期の売上は264億ドルです。今年は300億ドルに届くのではと予想されております。日本円で考えたら売上4兆円超えですよ、4兆円!(神様・・・!)

Salesforceに及ばずとも、グローバルで稼げるソフトウェアがもし日本から10社近く現れたら、日本の経済にとってかなりポジティブな影響が出てくると思いませんか?日本の未来が不安な今こそ、グローバルの打席に立つ挑戦をして未来に種を蒔く時だと考えます。
PMFに向け創業メンバー募集しております!特にエンジニアの方々、副業、業務委託など雇用形態を問わず参画をご検討いただけないでしょうか。
ハッカー飯またはTwitter(@yoshienagatomo)でお声がけください!



もちろん弊社に興味を持ってくれたら嬉しいのですが、ぶっちゃけ弊社でなくてもいいんです。みんなでどんどんDay1からグローバルにチャレンジしましょうよ。グローバルの打席に立って、その学びをどんどんシェアして、日本のソフトウェア会社がグローバルでもブランドが認知される、そんな未来に一歩でも近づけて子供達に渡したいのです。
実は本当に最初からグローバル狙ってて、という起業家の方や予備軍の方々、私の限られた知見でよければ喜んでお話しします。上記で是非お声がけください。


おまけ:現代短歌コーナー

noteで最近ハマっている現代短歌を勝手に紹介したいと思います。
短歌にハマったきっかけの、木下龍也さんの歌集から。

「悩む」とは想像力に火をつけて無数の道を照らすことです

木下龍也

31文字に痺れますね。10/2の情熱大陸は必見です!

*2022/11/24追記:
Meetyの利用を停止したため、ハッカー飯とTwitterへの表記に変更しました。

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