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大阪刑務所から松山刑務所へ移送

5月9日に7か月いた大阪刑務所から松山刑務所に移送された。

5月2日には分類センターで多少の予兆があった。
唯一の気がかりは、父から来た手紙に「5月9日(月)」に面会に来ると書いてあった点だった。
5月9日は火曜日で、(月)は5月8日だ。
5月2日にはまだ1週間前の検温は来ていなかったけど、G.W.明けの8日には領置物調べ、9日㈫に移送でほぼ確定だった。
タイミング悪く9日㈫が面会だったら会えない・・・。
東京から大阪まで来てもらって、会えないのは残念すぎる。
待ちに待った移送のはずなのに、どこに移送されるかより面会のことが気になったのは意外だった。

5月3日からのG.W.は洋画とコナンの映画だけ見て、あとは勉強をして過ごした。
7か月間一番の関心だった移送先の施設については、松本少年刑務所か甲府・静岡・長野などの一般B級刑務所だと考えていた。
大阪刑務所の分類センターから移送されるルートは、加古川刑務所・松山刑務所・姫路少年刑務所・島根あさひ社会復帰促進センター・山口美祢社会復帰促進センターがある。
ただ川越少刑や松本少刑に行く確率もゼロではないし、神戸や長野のようなローカル施設だってゼロではない。
同じ時期に入った人たちがすでに上記のルートの美祢以外に送られていて、事件や刑期的に美祢はないと考えていた私は、”例外として”松本や一般Bのローカル施設に送られるものだと思っていた。
松本だったら・・・甲府だったら・・・と頭に色々思い浮かべて5日間の休みを過ごした。

休みの真ん中に風呂があって、分類センターの副担当職員が終わった後に部屋へ来て、激励してくれた。
「自信を持って送り出せる子の1人や。」と言って頂いたのが嬉しかった。
「どこ行っても君の話が聞けるようにしとくわ。」とも言われた。
全て伝わってます。これからも恥じないようにやっていこうと決心した。

G.W.明けの月曜には、朝一で正担当職員も「君なら大丈夫や。身体に気いつけてな。」と激励して下さった。
その後、荷物をまとめて、布団をシーツで包んで領置物の確認へ。
私が暮らしていたのは4階だったので、100キロ近いスーツケースをどうやって持って降ろすか、ずっと気がかりだった。
しかしその時は台車に乗っけてエレベータを使った。

移送待ちの棟に着いて一安心していると、すぐに「荷物を持って出て来い。」と言われて、結局3階から100キロを降ろすことになった。
入所してきたときの新入調べ室で領置物品の確認をして、医務で鼻の検査をした。
このとき、同じ日に移送される13人と対面したが、眉毛をいじりまくっている20代のヤンチャくんと、松山造船所行が内定している子以外は、全員バリバリの累犯の懲役太郎おじさんだった。
私の心は20代のヤンチャくんと松本少刑か、オジサンたちとローカル刑務所の2つの可能性の中でソワソワしていた。

その後は移送待ちの部屋で午前中だけ作業をして、報奨金の清算をして、午後はキープした3冊の本を読んだ。
夜も特に眠れないということもない。
もっとドキドキすると思っていたけど、案外直前にせまってくるとケロっとしてしまう。

移送当日は、朝いつも通りレーズンパンを食べて、ヨーグルトとお茶を飲んだら、即呼び出しだった。
驚いたことに、隣の部屋にいた松山造船所行きの人と一緒にでた。部屋に入ると昨日のヤンチャくんが着替えをしていたので、”あ、この人と松本少刑か・・・もう1人の彼は1人で松山に行くんだ。オジサンたちはいないから、全然別だったんだ・・・”と思った。
私達も着替えを済ますと、写真撮影を行い、席に座って告知を待った。
若い職員が来て説明する。
「これから別の職員が来るから、1人ずつ称号番号・氏名を言ってください。そしたら職員の方から、あなたは○○刑務所という風に告知されますから、返事をしてください。」

さすがに緊張してきた。2分が15分位に感じた。
金バッチの職員が入ってくると私たちは立たされ、まずはヤンチャくんが番号名前を言った。
私はてっきりその場ですぐに「○○刑務所」と返されると思ってた。が、金バッチは次に造船所の彼に促し、そして次に私にも。
この瞬間、確信した。
3人一緒なんだ。松山刑務所だ。
「はい。今日君たち3人を松山刑務所へ移送する。」
緊張が一気に解けて喜びに変わった。
松山は初犯のA級(比較的犯罪傾向の進んでない者)刑務所だ。
私はB級を覚悟していたので、かなりホッとした。

その後、松山刑務所の職員に手錠をはめられてバスに乗った。
大阪府堺市から愛媛県東温市は約5時間。
驚いたことに道中水分補給はなく、車酔いする私はダウンしてしまった。途中でサービスエリアのトイレに2回寄って、午後1時くらいに松山刑務所へ到着した。

高速を降りるとカーテンが閉まってしまうため、施設まわりはうっすらとしか見えなかったが、わりとキレイな感じはした。
着いてすぐにまずは荷物を領置物調べのために運び、食事を取った。
職員のいる棟の1階にある取り調べ等のための部屋に一人ずつ通された。
そこに置かれていたのは、大きな器のうどん(牛肉・なると・ごぼう・ネギ)、野菜ハンバーグ、菜の花のお浸し、半ライス。
正直、量の多さに面食らった。
すでに冷たくなっていたが、猛烈に腹が減っていたのでがっついた。
味も美味しい。一安心してそのご領置物確認と医務を済ませて、併設されている拘置所の1階雑居に3人で入った。


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