企業法務のお仕事と「読む」ということ
こんばんは、お久しぶりです。
何があったわけでもないのですが空いてしまったので、ちょっとしたショートエッセイをば。テーマは「契約書を読むという仕事」です。
ヨシダは人生の一時期を法務のお仕事に費やしておりました。今は全く違う仕事をしているのでそこまで深みのある話ではないかもしれませんが、思っていることを記します。
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法務の仕事のうちの契約書のチェックって、端的に言うと
「本気で文書を読む」
という仕事なんですよね。(なので別に誰でもできるっちゃできる)
・文書に何が書いてあるかを正確に読み取り、
・事実関係と相違がないかをチェックし、
・構造化し抜け漏れがないかを確認し、
・自社にとって著しく不利な条項がないかをチェックし、
・法律上の定め(違反しちゃいけない系の奴)に反することがないかをチェックする
みたいな感じになります。
このうち、
「文書に何が書いてあるかを正確に読み取る」
ということについては、
例えば以下のような契約書をある程度真面目に読むことが必要になります。
(これは政府がモデル契約として作成した契約書です。全57条30ページ)
これは僕の感覚ですが、これはたぶんできる人とできない(苦手な)人がいます。
訓練である程度はできると思いますが、こういった技術文書(でいいのかな)に、苦手意識ある人はそれなりにいて、スタートの段階から「自分には無理」となる人が多いのです。
契約書は法務部門が見ればいいだけではなくて、
元々の部署が「事実と相違がないか」「自分たちがやりたいことをできるようになっているか」
という目線でチェックいただく必要があり、法務はそれを一緒にやるという感じになります。
(ここは法務部門だけが頑張ってもできない項目です)
僕はそれなりにこれは特殊技能だと思っていますが、どうなんだろうなあ。
翻訳やプログラミングのようなわかりやすさはないし、
整理後のアウトプットを見ると(なんか自分でも見れたかも)と思われる場合が多いんですよね。
技能のうち、主に執筆活動や芸術系はそういう方向が多いのですが、
「誰でもできる行為(読む、書く、聞く、話すなど)をつきつめていったもの」
は比較的(何と?)「言うてそれ誰でもできるんちゃう?」と思われる傾向が多いのかな?と思うことがたまにあり、
自身のやりたいことに、執筆活動、自身の過去からの積み重ねに法務があるヨシダとしては
このあたりの仕事の評価をどのように適正に行うか(今が低い、というだけでなくて)はちゃんと考えたいなあ、と思うのです
(了)