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天才の育ち方
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分野を絞るか/幅広くいくか
チェスのプレイヤーが初心者から名人レベルになるまでに必要な「知識」は、どのくらいの年月で身につくのでしょうか。
これを調べた研究があります。
「10年の法則」の発端になった調査です。
最近では「1万時間の法則」を唱えるジャーナリストもいらっしゃいます。
毎日3時間練習を積めば一人前になる
1万時間を10年で割り、さらに365日で割れば1日約3時間となります。
毎日このくらい練習を積めば一人前になるというのは、いかにもありえそうな話です。
創造的天才さえよく考えられた練習によって作られる
専門知識(ルーチン)と練習(プラクティス)に関する研究の対象は、すぐにスポーツや音楽など他の分野にも広がりました。
その結果、創造的天才さえよく考えられた練習によって作られるということが分かってきました。
但し「よく考えられた練習」というのがポイントです。
1日3時間、漫然とチェスゲームで遊んでいてもチェスの名人にはなれません。
専門知識を身に着けるための「準備期間」が異様に早い方もいる
但しこうした練習の時間を、専門知識を身に着けるための「準備期間」と呼ぶとすれば、きわめて少数ながら異様に速く、その準備期間を終えてしまう天才がいらっしゃいます。
ダ・ヴィンチ、パスカル、ゲーテ等です。
彼らの生涯の時間と活躍した分野の「多様さ」は、とても10年の法則では説明がつきません。
完璧主義か/失敗を厭わないか
ニュートンやミケランジェロ、映画監督のスタンリー・キューブリックなど、完璧主義で知られた創造的天才もいらっしゃいます。
しかしながら基本的には、科学の天才が平均的な人より完璧である可能性は低い。
不完全さは、創造的天才にとって欠くことのできないもの
芸術の天才が完璧である可能性はさらに低いのです。
いやこう言い換えるべきでしょう。
不完全さは、創造的天才にとって欠くことのできないものだと。
失敗は愉快なことではない
もっと平易に言えば、失敗は必要なものです。
創造、発見、発明には大きなリスクが伴います。
失敗を進んで受け入れる準備がなければ、到達することは難しい。
失敗は愉快なことではない。
だがこれまで知らなかったものを知ることが成功なら、失敗は成功の必要条件と言えます。
例えばエジソンの64年のキャリアは、まさに大成功と大失敗の入り混じったものでした。
まとめ 生産性が十分高ければ、たとえ偶然にせよ完璧、あるいはそれに近いものが生まれる
こうしたことから導き出されるアプローチは「量産」です。
最低条件を満たすことを考え、完璧主義は放棄します。
どの仕事も最低限の基準に達すれば良いとし、成功のための基準を全て満たすことを考えません。
但し完璧主義を放棄するといっても、完璧なものが出来ないわけではありません。
生産性が十分高ければ、たとえ偶然にせよ完璧、あるいはそれに近いものが生まれるはずです。
量産が一番の戦略なのです。
【参考】ディーン・キース・サイモントン・小巻靖子(訳)(2019).『天才とは何か』.大和書房
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