「シングル」としての幸せとは
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幸福感の高い「シングルシニア」
これまで人々を結婚へ駆り立ててきたのは、年老いてから誰とも関わらずに一人で生きることになるかもしれないという「孤独への恐怖」でした。
しかし、30カ国の複数の年齢グループを対象とした調査によると、孤独感に対する結婚の効果は「結婚したことがある人たちのグループ」で年々低下していき、78歳を境に「結婚したことのない人」たちよりも孤独感が高まるという結果が出されたのです。
つまり、シニア期の孤独感に対して「結婚」というソリューションの効果は強くないのです。
家族のために尽くしてきたことで友人や知人などとの繋がりが欠如してしまう
その理由としては、家族のために尽くしてきたことで友人や知人などとの繋がりが欠如してしまうことや、配偶者に先立たれて突然ひとりぼっちになってしまうことなどが挙げられます。
一方、高齢のシングルの人たちは、もともとひとりでいることに順応できています。
特に、自分の人生を受け入れ、ひとりでいることの楽しむコツを知っているシングルシニアほど幸福感が高いのです。
「独身差別」を乗り越える
これまでシングルでいることは克服すべきスティグマ(汚点)であるとされ、結婚していないことはネガティブにとらえられることが多かったのです。
女性には男性以上に偏見や差別が向けられる
特に、女性には男性以上に偏見や差別が向けられます。
カップルや家族にはある社会保障制度がシングルの人には与えられないことや、不当に残業を課せられたり家を借りるのにも苦労したりするというのも「独身差別」の一種であります。
独身差別は人種差別や男女差別などのよく知られる差別と異なり、無意識的に行なわれています。
独身差別に立ち向かうためには「戦略」が必要
このような独身差別に立ち向かうためには「戦略」が必要です。
そして差別的な習慣を真正面から拒絶して、よりシングルに好意的な社会になるよう周囲に働きかけることです。
人は必ず、人生のどこかでシングルとして生きることになります。
結婚は、孤立に対する最も一般的に普及したワクチンというのは「幻想」
結婚は、孤立に対する最も一般的に普及したワクチンだと考えられています。
しかし、これは社会の偏見が反映されたものです。
かつては人が障碍を抱えたり失業したりしたときには、家族がその人を支える役割を果たしていたが、最近では個人同士のつながりへとシフトしています。
シングルの人たちは豊かで多様な社会的生活を維持する傾向があるため、相互に助け合う準備が出来ています
既婚者が障碍を抱えたり失業したりすると、離婚の可能性が高まるだけでなく、孤立してしまいがちだ。それまで夫婦生活にリソースを集中させ、社会的なつながりをあまり作ってこなかったからです。
一方、シングルの人たちは豊かで多様な社会的生活を維持する傾向があるため、相互に助け合う準備が出来ています。
因みに編集部もそういうコミュニティにしたいです。
「社会関係資本(相互利益のための集団行動を促進する規範とネットワーク)」
「社会関係資本(相互利益のための集団行動を促進する規範とネットワーク)」は、ここ数十年で注目されるようになった、個人の幸福やウェルビーイングに影響を与える概念です。
社会的関係資本が形成されると、健康状態や生活上の満足感、ストレスに対処する能力が向上し、結果的にウェルビーイングの向上に繋がります。
結論 友人や親戚と積極的につながりを保っているシングルの人たちは幸せ
社会的にアクティブで、友人や親戚と積極的につながりを保っているシングルの人たちは、カップルや結婚している人たちよりも大きな幸福を感じている場合も多い。
つまり、社交的であることで、結婚している人たちとの「ウェルビーイングギャップ」を埋めることができるのです。
【参考】エルヤキム・キスレフ・舩山むつみ(訳)(2023).『「選択的シングル」の時代』. 文響社