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かいりきベアさんは悩める少女の孤独を表現している

『ボカロ大全』という本を出しました。

良かったらどうぞ!


※挿絵は全部作者が描いてます!

 かいりきベアさんは、日本のボカロP、ギタリスト、ソングライターであります。代表曲に『ベノム』、『ダーリンダンス』などですが、正直全曲ヒットという感じです。

 そして、誰が聞いてもすぐ『かいりきベアさんの曲だ』と分かります。

エレクトニックギターを基調としたボカロ曲

 学生時代にプレイしていた『GUILTY GEAR』のBGMをきっかけにギターを始め、インターネットを通じてヴィジュアル系バンドに加入したそうです。    

 バンド内ではギターを担当し、海外公演も行ったが2011年にバンドを脱退しました。

 同年よりVOCALOIDを使用した楽曲の投稿を開始し、第1作「ワカレノオト。」でデビューしました。

 その背景もあり、かいりきベアさんのボカロ曲はエレクトニックギターを基調としボカロ曲です。

最大のヒット曲『ダーリンダンス』

『存在証明 愛だって愛だって吐いたって
嗚呼 寝転ン ゴロンて 嫌ん 嫌んプリティプリティダイエットDAY
曖昧 一回楽に アイマイミー快楽に
病み悪化してんだって愛だ 恋だ 何だってんだ』

【歌詞引用】かいりきベアさん『ダーリンダンス』

 『ダーリンダンス』のMVといえば、ハートの目を持つツインテールの女の子が印象的ですよね。彼女はいわゆる『地雷系女子』だと思います。

 地雷系女子とは、依存性が強く自虐的でかまってちゃんな女子のことです。

 MVにもハート型のキャンディー(正直私はアレにしか見えないのですが)や缶チューハイにストロー、薬のカプセルといった、地雷系女子をイメージするアイテムが描かれています。かいりきベアさんのボカロ曲は全てのうさんが手掛けていますが、全て可愛い。

『ダーリン』は本命のダーリンのことではない

 制作したかいりきベアさんは自身のTwitterで「ダーリンは本命のダーリンのことではない」と語っています。

 また偶然にも『ダーリンダンス』の頭文字が「DD」であることにも言及しています。

 「DD」とは「誰でも大好き」という意味で、日本のアイドル文化から生まれた言葉です。そこから推測するに「いいね」をもらうことで承認欲求を満たし、自身の存在を証明しているように思えます。

『生命線は 愛だって愛だ 嘆いたって
ああでもない こうでもないな 寂しい寂しいナンセンスDAY』

「私変われない」

なにもない なにもない 私 なにもない (ねぇ)
変われない 変われない 私 変われない (ねぇ)
分からない 分からない「わかる」分からない
はーい 目もと以外は隠して

 【歌詞引用】かいりきベアさん『ダーリンダンス』

 「なにもない」と、自分自身を空っぽに感じているようです。

 だからといって今の自分や生活を捨てて変われるかと言われたら、「私変われない」

 結局現状から逃れることもできないまま、相変わらず『目もと以外は隠して』SNSに自撮り写真を上げる日々が続きます。

自分を見失っているという歌詞のボカロが流行

 ツミキさんのフォニイのサビも『簡単なことも解らないわ あたしって何だっけ』でした。

 正直、「自分を見失っている」という歌詞がヒットしているボカロの共通している事項です。

 JCやJKにヒットしているということは、共通の悩みの種なのでしょうね。

 『あの子可愛いけど私には何もない』、
 『あの子には友達がたくさんいるけど私には誰もいない』、
 『あの子は勉強や運動が出来るけど私は何も出来ない』。

 私は豊かさによる「錯覚」だと思います。

 これは残念ながら、大人になっても続きます。

 『あの人は結婚して子供がいるけど私には何もない』、
 『あの人は友達がたくさんいるけど私には誰もいない』、
 『あの人は仕事が出来るけど私は何も出来ない』。

ダーリンダンス

『さよなラ。』だけで天才だと思った

 2019年を代表するボカロ曲「ベノム」です。

『足りないもの なーんだ 僕らの人生
正解どこなんだ 探せよ探せ
例外ない 二進(にっち)も三進(さっち)も 零下以内なら 劣化以外ない
正味クソゲーだ カラ空回れ』

【歌詞引用】かいりきベアさん『ベノム』

 私凄く落ち込んだ時は「ベノム」を聞きます。「詰んだ」状況というのを5行で的確に表現しています。

 かいりきベアさん以外思いつかない歌詞です。そして押韻の数がえぐい。

『ドクドク呑み込んで 苦しんで泣いて吐き出せないの ベノベノム
さよなラ』

 「さよなら」の「ら」を「ラ」にしているだけで私はもう天才だと思いました。

学校内の孤独を描いた4行

『倦怠モード「苦」だ 僕らの人生
校内猛毒だ 屈めよ屈め
盛大KNIGHT 和気あいゴッコは成敗DIE by 生産性ない
後悔もう「独」だ 笑えよ笑え』

 『校内猛毒』、『和気あいゴッコは成敗』、『後悔もう「独」』から学校の状況に当てはめられていることがわかります。

「校内猛毒」学校の内部が毒に犯されていること、
「和気あいゴッコは成敗」は、女性のグループごっこ、
「後悔もう『独』」は学校内での孤独。

 そんな状況を「嗤えば良い」。

 主人公は、学校に生きづらさを感じていて孤独であることが推測できます。

 女子のグループを『成敗DIE(死)・生産性ない』と表現していることも「群れること」に何の意味があるのか疑問を抱いています。

ベノム

 かいりきベアさんは天才です。

 そして、かいりきベアさんは悩める少女の孤独を表現しているのです。

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