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共働き社会の「落とし穴」
今までのあらすじ
男性も女性も自立し、自由に結婚したり別れたりするような社会が到来したのか
しかし、男性も女性も自立し、自由に結婚したり別れたりするような社会が到来したのだろうか。
私たちが向かっているのは、一組の男性と女性がともに稼いで協力して家族を支える「共働き」社会でした。
男女が雇用を通じて経済的に自立し、自由に人間関係を築くためには、次の3つの条件が必要となるでしょう。
①安定した雇用が男女に行き渡っていること
②家事や育児のサービスが何らかの形で提供されていること
③高齢者が少なく、高齢者を支えるコストが小さいこと
共働き社会への移行
性別分業の社会から共働き社会への移行には、いくつかの背景があります。
1 女性が雇用労働の世界に入った
まずは、オフィスワーク中心の働き方が普及し、女性が高学歴化するにつれて、女性が雇用労働の世界に入ったことです。
2 男性の雇用の不安定化
もう1つの背景は、男性の雇用の不安定化です。
欧米では、男性の10%以上が失業しており、この傾向は特に若い男性に顕著です。
そこで、欧米の若者は、異性と同居し、共に稼ぐことで困難を乗り切ろうとしています。
女性も男性と同じくフルタイムで働くことが多いため、長時間働くケースは少ないのです。
ワーク・ライフ・バランスの実現
女性が働きやすいように、様々なサポート制度や労働規制が発達しましたた。いわゆるワーク・ライフ・バランスの実現です。
「共働きの異性愛カップル」の増加は、日本政府がワーク・ライフ・バランスの実現や女性活躍推進に力を入れていることからわかるように、理想の状態だと考えられています。
共働き社会の「落とし穴」
しかし、共働き社会には、「落とし穴」と呼ぶべき問題があります。
その1つは経済格差に関わる問題だ。かつての性別分業の時代には、夫が働いて給与を得るので、多くの妻は専業主婦になり、労働所得を得ることはなかったのです。
夫の所得では子どもの教育費を賄えない場合、妻がパートで働いて家計を補助してました。
「ダグラス=有沢の法則」
つまり、夫の稼ぎのある家庭のほうが、妻の稼ぎは少なくて済みます。経済学では、これを「ダグラス=有沢の法則」と呼びます。